2011年5月9日 (月) 掲載

◎夫婦の歩んだ人生 感動の涙 松前で手紙コンクール 

 【松前】「夫婦の手紙第4回全国コンクール」(実行委主催)の公開発表会が8日、松前公園内の夫婦(めおと)桜前の特設広場で開かれ、松前高校の生徒が入賞作品10通を朗読した。満開の夫婦桜の下、それぞれの夫婦のドラマが読み上げられ、会場は感動に包まれた。

 同公園の天神坂にあるソメイヨシノと南殿が接ぎ木によって一つの根で結ばれ、寄り添うように立っていることから、夫婦になぞらえ「夫婦桜」と名付けられた。命名を記念し毎年、妻や夫に宛てた手紙を全国から募っている。今年の応募総数は553通。先月、町民約120人が集まり審査を行った。

 作品を朗読したのは、同校3年の野坂勝矢君と岡井綾乃さん。2人は、夫婦が歩んだ道のりや互いを思いやる愛の言葉がつづられた手紙を感情を込めて朗読。来場者らは時折、目頭を押さえて愛情あふれる手紙に聞き入っていた。

 最優秀賞に選ばれた大阪市の主婦、吉田薫さん(63)の作品は夫に宛てた手紙。がんを患い闘病中だという吉田さんは、自分が亡くなった後、自宅近くの桜の木の根元に骨のひとかけらを埋めてほしいと訴える。最後に「桜と一緒に、天国からあなたを見守っています」とつづった。

 会場を訪れた町内の長谷川あつ子さん(48)は「亡くなった夫のことを考えながら聞いていたので、涙が止まらなかった。手紙の中の夫婦の人生に自分をだぶらせてしまった」と感想を話していた。実行委では、入賞作品を一冊にまとめて発行する予定。 (松宮一郎)



◎函館市の公共工事、2年連続で100億円超

 函館市は、2010年度の公共工事実績(財務部調度課、水道局、交通局、病院局発注分)をまとめた。調度課発注件数は445件で前年度比102件、18.7%減と大幅に減少したが、金額は74億5512万円で同2億4882万円、3.3%減と小幅にとどまった。4発注部署のトータルでは605件、103億6300万円(同4.0%減)と、2年連続で100億円を上回った。

 調度課発注分は受注金額上位16社までが1億円以上で、トップ3はいずれも地元企業。

 同課によると1位の高木組は8位・三光工業など3社と共同事業体(JV)を組み、弥生小学校校舎1工区の新築主体工事を受注。2位の今井工務店は市立障がい児・者統合施設新築主体工事1工区、3位の徳建設も同2工区をメーンで受注した。このほか、6位の曲小小倉工務店は中道四稜郭通道路改良工事、7位の平林組は市道大野新道舗装道新設工事などを受注している。工事1件あたりの平均受注額(緊急修繕工事を除く)は1675万円で、前年度から48万円減となっている。

 調度課発注分のうち主要7工種の件数と金額は、土木が29件9億925万円、建築が24件24億7543万円、電気が22件4億9707万円、管が25件7億7216万円、舗装が62件13億7722万円、造園が9件6872万円、鋼構造は4件5103万円。

 また10年度の水道局発注工事は147件、27億4763万円で、交通局は12件、1億5693万円。病院局も1件発注し、332万円だった。

 件数、金額はここ数年、厳しい経済状況を受けて減少が続いていたが、昨年度は弥生小などの大型工事に加え、市が09年度同様に緊急経済対策として年度末に前倒し発注を行ったことや、100万円単位の小規模工事などを実施したことで、2年連続で総額100億円規模となった。

 本年度の公共工事のうち、大規模なものでは北消防署庁舎改築、弥生小の屋内運動場新築などが予定されている。  (千葉卓陽)



◎復興願う「癒やし」の音色

 音楽が持つ癒やしの力で東日本大震災の被災地復興を支援しようと、チャリティーコンサートが8日、函館市五稜郭町37の市芸術ホールで開かれた。同コンサートの趣旨に賛同した音楽家24人がステージに立ち、思いのこもった演奏を披露。会場を訪れた300人の聴衆から大きな拍手を受けていた。

 市文化・スポーツ振興財団主催。被災地からの避難者や市民に音楽で心の安らぎを感じてもらいたいと無料でで開催し、出演者も無償で出演した。会場入り口には復興に役立ててもらおうと募金箱も置かれた。

 コンサートはクラシック、邦楽と多彩なジャンルの曲が演奏された。ソプラノの次藤正代さん、畑野祥子さん、ピアノの伊藤亜希子さんによる3人編成の「ラ・ソリダリテ」は「見上げてごらん夜空の星を」など7曲を演奏。美しい歌声が会場に響き渡った。箏奏者の宮崎加奈古さんは吉崎克彦さん作曲の「PRIZM(プリズム)」で雅な音色を奏で、幻想的な雰囲気を作り上げた。

 友人とともに会場を訪れた市内在住の公務員、寺川亜希さん(34)は「コンサートの趣旨に共感し参加した。恩師のステージも12年ぶりに目にすることができ感激」と話していた。 (黒田 寛)


◎ホタテすくい盛況

 函館市営熱帯植物園の第5回花の市・子ども祭りが8日、市内湯川町3の同園で開かれた。恒例の花苗プレゼントやガーデニング用品の販売に加え、今回イベントに加えたホタテすくいなどが来場者の人気を集めた。

 同園を管理運営するNPO法人函館エコロジークラブ(福西秀和理事長)の主催。園芸への関心を高めてもらうとともに、東日本大震災の影響で元気のない子どもたちを元気づけようと、毎年別々に開いている花の市と子ども祭りを一緒に行った。

 販売コーナーではシイタケのほだ木110本が開場から約1時間で売り切れたほか、腐葉土、鉢花・園芸用品などが来場者の人気を集めた。リンゴやジャガイモをたっぷり詰めたサル用の餌も多くの人が買い求め、園内のニホンザルへの餌やりを楽しんだ。

 ホタテすくいは八雲産の稚貝を約60`用意。家族連れなどが次々と水の中から3枚ずつすくうと、横のコンロで焼いて食べ、道南ならではの味覚を満喫していた。(千葉卓陽)