2011年6月11日 (土) 掲載

◎イカール星人 ド派手に復活

 いつまでも自粛しているわけにはイカん—。函館市の観光PRキャラクター「イカール星人」が、東日本大震災から11日で3カ月経過するのを契機に“復活”する。10日から動画投稿サイト・ユーチューブ上で新作映像を公開、復興をテーマに函館観光の魅力をアピールする。イカール星人の生みの親で、映像編集会社シンプルウェイの阪口あき子社長(38)は「新キャラを活躍させ、新たな魅力を発信できるようストーリーを続けたい」と話している。

 新作のタイトルは「結集!函館の観光力!」。長さ約3分で、2008年の初登場から通算5作目。当初は3月下旬に公開する予定だったが、震災を受けて内容を一部見直した。

 ストーリーはこれまで同様にユニーク。イカール星人の侵略で函館が危機に陥る中、港に係留されている青函連絡船摩周丸が「星間連絡戦艦」に変身。1作目で無残に破壊された市役所も復活するほか、緑の島や国宝「中空土偶」といった観光資源が正義の味方となり、イカール星人打倒に立ち上がる内容で、最後には「ハコダテは負けません」とメッセージを込めた。

 これまでの作品はイカール星人が脚光を浴びていた。阪口さんは「今まではやられっ放しだったが、震災を経て力を合わせることが重要な時。新キャラを全部出し、総合力を結集する意味合いを強めた」と話している。

 また、各種イベントでの着ぐるみの登場も解禁し、23日にはJR函館駅で観光客を出迎えるほか、25、26日には札幌で開かれる「函館・東北チャリティープロモーション」に参加する。

 市ブランド推進課の池田敏春課長は「これまでの活躍で認知度は高まっている。映像を見ていただき、来ていただくきっかけになれば」と期待している。(千葉卓陽)



◎10月1日オープン 函館市縄文文化交流センター

 函館市南茅部地区で道内唯一の国宝「中空土偶」を展示する施設「函館市縄文文化交流センター」(臼尻町)が10月1日にオープンすることが決まった。市教委は周辺に現存する歴史的価値の高い遺跡群の世界遺産登録への弾みにしたい考えで、新たな縄文文化の情報発信拠点や今年開業の目玉の観光施設として期待される。(森健太郎)

 10日に開かれた市教委の定例会で、同センター条例の施行日が決まったことで開業日が確定した。同センターは2007年に国宝指定を受けた「中空土偶」のほか、付近の大船、垣ノ島、著保内野(ちょぼないの)遺跡などで発掘された土器、石器を展示し、縄文の文化や精神を紹介する。

 同センターは09年10月に着工し、鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積は約1700平方b。建物はほぼ完成し、現在は展示品の選定や備品の発注などの準備を進めている。国宝が見られる国内初の道の駅として「縄文ロマン南かやべ」(国に名称登録申請中)も併設する。 国宝を扱うため登録上は博物館という位置づけで、当面は展示に必要な学芸員の市職員を3人程度配置し、直営方式で運営する。清掃、警備などの施設管理や、情報発信、学習機能などのソフト面は業者に委託する。将来的には指定管理者制度への移行を目指す。

 市教委の種田貴司生涯学習部長は「いまに続く豊かな海のもとで、長年にわたり縄文文化が栄えた歴史やロマンを全国、世界に発信したい」とし、ポスターの作製などPR活動を本格化させる。一般の入館料は300円、大学生や高校生、函館市外の小中学生は150円。市内の小中学生と幼児は無料。開館時間は午前9時〜午後5時(11〜3月は午後4時半まで)。月曜定休。



◎開業近づく函館「時間大切に」

 函館市本町6のヤマムラ時計宝飾店は、6月10日の「時の記念日」に合わせた啓もう運動を毎年、展開している。今年は店内に新幹線のポスターを張り、山村豊社長(80)は「新幹線で盛り上がる青森を見習いたい。北海道新幹線の2015年度開業までの限られた時間を、将来の函館の未来を明るくするための、貴重なものにしなければ」と語る。

 「時の記念日」は日本初の時計が鐘を打った日にちなんで制定。同店では、1968年に店内で開いた古時計コレクション展を皮切りに、公共施設などへの時計寄贈など、44年間毎年欠かさず、企画を練ってこの日を祝ってきた。

 今年は昨年12月4日に全線開業した東北新幹線を題材にした。山村社長は長男の大介さん(40)と開業日を青森で迎え、「駅周辺の建物から何まで都会的。伝統的な田舎の雰囲気を大事にしつつ、新幹線時代に対応するまちづくりを進めていることに感心した」と2人は声をそろえる。

 この思いを函館市民に伝えたいと、青森市役所に依頼し、ポスターをもらってきた。山村社長は「函館にも新幹線が間もなく来る。チャンスを生かすために何ができるか、時間を大事に市民レベルから意識を変えていくことが重要では」と指摘。大介さんも「新幹線が来ることに注目するだけでなく、どのように対応し、そのプラス面を最大限受けられるかを考えたい」としている。


◎なるほど! ダムの役割学ぶ

 函館市の水道週間(8〜14日)に合わせ、市企業局主催の水道施設見学会が10日、開かれた。参加した市民らは市内のダムや下水道施設を貸切バスで巡り、日常生活で何げなく使っている水道について理解を深めた。

 見学会は市民に水の大切さや市の上下水道事業を知ってもらおうと、毎年この時期に開かれている。今回は公募した市民ら23人が参加。函館湾浄化センター(昭和町)や赤川高区浄水場(赤川町)、新中野ダム(亀田中野町)など4カ所を回った。

 新中野ダムでは、参加者が普段は立ち入ることができない地上約75メートルのダムの最上部を歩き、函館建設管理部の職員の案内でダムの大きさや役目について学んだ。参加者は「この水は何に使われるのか」などと質問したり、写真を撮ったりして眼下の雄大な景色を満喫した。

 初めて参加した市内榎本町の竹原照美さん(58)は「すごく勉強になり、当たり前に使っている水をより一層大切にしたいと思った。こんな立派な施設があるのだから市民にもっとアピールしてほしい」と話していた。(森健太郎)


◎「希望の森」育って 函大有斗高1年が七飯で整地作業

 函館大付属有斗高校(宮岡秀昌校長、生徒571人)の1年生175人が10日、七飯町字軍川のカリマ国有林のなかにある「有斗・希望の森」で整地作業をした。生徒たちは草木が茂る林で汗を流しながら作業に取り組んだ。

 2004年の台風18号による被害で壊滅状態となった同林を再生させようと、同校では08年10月に1000本のミズナラを植樹。その地に「有斗・希望の森」(0・52ヘクタール)と名付け、毎年1年生が総合学習の一環としてミズナラ周辺の雑草を刈る作業を行っている。

 開会式で瀬戸伸晴教頭は「森の大切さや森林がどのように再生していくかを、じかに学んでください」とあいさつ。応援に駆け付けた渡島森林管理署の池田正三署長は「天災で一瞬で失われてしまう自然だが、人間の技術や努力で再生できることを知り、木は使い、植え、育てる循環資源であることも考えてみて」と話した。

 生徒たちはミズナラを傷つけないように注意を払いながらカマを操り、懸命に雑草を刈った。作業を終えて高田航滉君(15)は「事前学習と今回の取り組みを通じ、台風でなぎ倒された木たちの悲しみや、自然の大切さについて考えさせられた」と笑顔で話していた。

 15日には同じく野又学園系列の柏稜高校の生徒が同地で作業を行う予定という。(堀内法子)