2011年6月14日 (火) 掲載

◎伝統漁「ホッキ突き」盛んに

 【北斗】北斗市沿岸で今期のホッキ漁が解禁となった。七重浜から富川にかけての沿岸約12キロに渡って、漁業者が専用の漁具を使って、海底のホッキを探し当てる伝統的な「突き漁」が行われている。

 ホッキ漁は、産卵期の4〜5月を禁漁期として、抱卵状況を確認した後、漁の解禁を決め、今年は11日から漁がスタート。資源保護のために出漁時間は午前8時から午前11時までに限られている中、連日、上磯郡漁協所属の約40隻が出漁している。

 突き漁に用いられる専用の漁具は5メートルほどの矛の先端に4本のヤスを付けたもの。海底の砂地に隠れている貝を突きながら、ひとつひとつを水揚げしていた。

 上磯群漁協上磯支所によると、11日、13日の2日間で各1・2トンの水揚げがあった。「スタートとしては例年よりも水揚げが多い」とし、1キロ当たり500円で取り引きされた。近郊のほか、道内、関東方面に出荷されるという。漁は来年3月下旬まで続けられ、昨季並みの90トンの水揚げを目標としている。(今井正一)



◎多重債務相談 昨年度550人

 多重債務に悩む市民の相談窓口として函館市が設置している「くらし支援室」は昨年度、550人から505件の相談が寄せられた。昨年度からはほぼ横ばいで、不況の中で市民ニーズの高さを示している。昨年6月の貸金業法改正など、多重債務を取り巻く環境は複雑に変化しており、同室は「関係機関と情報を共有しながら、問題解決に当たりたい」と話している。

 同室のまとめによると、月別の相談件数は4月が62件と最多で、5月以降は1カ月当たり30〜40件台で推移。550人中、電話のみの対応だったのは193人(35・1%)、面談を予約して来庁対応したのが357人(64・9%)。このうち弁護士や司法書士に対応を引き継いだのは185人(33・6%)あり、債権者と弁護士の間で返済方法を和解する「任意整理」が120人、自己破産が50人。裁判所が認可した再生計画に基づいて債務を返済する「個人版民事再生」も10人が使った。

 昨年6月、年収の3分の1を超える借り入れを禁じる、いわゆる「総量規制」を導入した改正貸金業法が施行され、それに伴いクレジットカードのショッピング枠を現金化する業者が全国的に横行。また無登録の貸金業者(ヤミ金融)に関する相談も増えるとみられたが、ヤミ金に関する相談は約20件と、09年度と同じ水準にとどまった。

 同室への相談者は年収が100万円〜300万円未満の市民が半数以上を占めており、小山内実室長は「所得が少ないと借りられる金融機関が限られ、高齢者や母子家庭など弱者を狙ったヤミ金も存在する」として注意、を呼び掛ける。

 昨年度の傾向ではこのほか、ギャンブルなどが原因で多重債務に陥る一方、家族の病気や子どもの教育費、不動産の返済などで相談に訪れるケースも多かったという。小山内室長は「切羽詰まってからでなく、早期に計画を見直せば手立てはしやすい。早めの相談を」と話している。

 同室の相談時間は平日午前9時から午後4時まで。問い合わせはTEL0138・21・3160。(千葉卓陽)



◎道内高校生で初 電卓範士10段に小松さん合格

 函館商業高校(難波繁之校長)の会計ビジネス科2年、小松麻梨乃さん(16)がこのほど、日本電卓技能検定協会が主催する電卓技能検定試験で範士10段を取得した。同協会によると、北海道の高校生では初の取得。小松さんの快挙に、学校中が喜びに沸いている。

 同校では2010年度に会計ビジネス科を設置。簿記会計の技能を支える電卓能力≠向上させるため、同科設置以来、全員が同検定1級以上の取得を目指して訓練してきた。2年生にった同科の1期生たちは、現在40人中39人が1級以上を取得している。

 同校入学後に本格的に電卓に取り組んだ小松さんは、部活も簿記部に所属し、日々訓練に取り組んできた。1年生だった昨年7月に初めて受けた検定で1級と3段、同9月には6段に合格と実力を発揮。しかし今年2月に9・10段に初挑戦するも不合格となり、悔しい思いを味わった。小松さんは「良い流れができていると思っていたので、ショックでした」と振り返る。

 進級した小松さんは、5月の検定でのリベンジに向けて前回の敗因を探り、イスの高さや電卓を打つ手首の角度など、フォームの見直しを図った。同検定は合計点だけでなく、見取り算や掛け算、割り算、伝票算など各部門の点数も合否に影響し、解く順番なども大きく点数に関わってくる。そこで、より正答率が上がり高得点が期待できる順番を自分なりに組み立て、ひたすら練習に取り組んだ。

 結果を待つ約1カ月は小松さんによると「今回もだめかも、とネガティブな気持ちの方が大きかった」と不安が広がる中、6月上旬に、学校にうれしい知らせが届いた。小松さんの合格にクラスメートも歓喜。小松さん自身も不安から開放され、涙を流し喜んだという。

 10段取得について小松さんは「2月の失敗があったからこそ、悔しさをバネに頑張れた。それに、支え励まし合える仲間の存在も大きい」と笑顔を浮かべる。

 次に狙うは名人位=B1982年に始まった同試験だが、まだ北海道からは名人位は誕生していない。小松さんは「10段と名人の壁は厚いけど、在校中に取得したい」と意欲。現在は今月18日に釧路で行われる簿記コンクールで入賞し、全国大会への切符を手にするため、土日返上で練習に励んでいる。(堀内法子)


◎北斗の特産品振る舞い 佐々木明さん桂島で炊き出し

 【宮城・塩釜】北斗市出身のアルペンスキーヤー佐々木明さん(29)らが立ち上げたNPO団体による東日本大震災復興支援活動が13日、宮城県塩釜市の浦戸諸島・桂島で始まった。佐々木さんが「北斗のうまいもの全部」と自慢する野菜や米、海産物などの食材を使ったホタテカレーやジンギスカンなどを振る舞い、避難生活を送る島民を励ました。

 NPO「スキーヤーズヘルプ財団」の取り組み。一行はこの日、桂島に渡り、15日までの3日間、計6回の炊き出しを行う。

 会場は、現在も避難所となっている旧浦戸第二小学校で、昼、夜ともに100人前後の島民が入れ替わり立ち替わり訪れた。昼にはホタテカレー、夜はジンギスカンを行った。佐々木さんが来場した人たちに声をかけながら、肉を焼いたり、島民と交流をしながら楽しんだ。トマトやアスパラ、ご飯、ホタテカレーなど、いずれも大好評という。

 佐々木さんは「景気づけにと宴会スタイルで盛り上がっている。島のお父さん、お母さんたちが『久しぶりに楽しい』と喜んでくれた。14日以降も島の人が集まりやすいように準備をしておきたい」と話していた。(今井正一)


◎新島襄の志 受け継ぐ 同志社フェア

 函館と深いつながりがある同志社大(京都)主催の学外向けイベント「同志社フェアin函館」が12日、函館市若松町のロワジールホテル函館で開かれた。同大の創設者である新島襄は幕末に函館から密出国して渡米。記念の地で、卒業生ら約150人が新島の志を改めて心に刻んだ。13日には、市内で特別企画「新島足跡ツアー」を行い、25人が海外渡航の地碑など9カ所に足を運んだ。

 12日は「全国同志社卒業生との集い」を開催。同大の八田英二学長が大学の教育改革について説明。2013年には京田辺キャンパス(京田辺市)にある文系学部が今出川キャンパス(京都市)に集結することを報告。都市回帰により学生の利便性を高め、生き残りをかける戦略を強調した。

 同大OBでラグビー元日本代表の大八木淳史さん(49)が講演。史上初の大学選手権3連覇など同志社ラグビーの全盛期に貢献した大八木さんはラグビーを通じ情熱や志、人間形成、社会貢献することの大切さを学んだと強調した。また、同大神学部の本井康博教授が講演、新島と本道とのつながりを解説した。

 このほか、函館水産高校の3年生9人が寸劇で、新島が脱国する夜の場面を熱演。生徒らは「今後も新島の脱国の精神(外向きの精神)でいろいろと活動していきたい」とアピールした。

 交流交歓会では、13年のNHK大河ドラマの主人公に、福島県出身で新島の妻八重が主役に決まったことを受け、大いに盛り上がった。

 13日は、バスで渡航の地碑のほか、新島が函館で最も長く滞在(下宿)した函館ハリストス正教会、新島が脱国した夜の出発地である山上大神宮、新島の遺髪を保管する函館千歳教会などを巡った。千歳教会の井石彰牧師は「新島の精神を受け継ぎ、脱国の地・函館で市民に教えを広めたい」と話していた。

 脱国記念日に当たる14日は、午前11時から渡航の地碑で市民も参加して碑前祭(学校法人同志社主催)が開かれる。(山崎大和)