2011年6月15日 (水) 掲載

◎「父の日」商戦 クールに熱く

 函館市内の百貨店などでは、19日の「父の日」に向けた商戦に熱を入れている。相反して、ことしのトレンドははずばり“クール”を意識したギフト。節電の広がりで例年以上に暑さが予想されることから、夏を快適に過ごせる肌着などに注目が集まり、各店とも涼しさにおしゃれさを加えた商品展開で、「感謝を伝える日」を盛り上げている。

 丸井今井函館店(本町32)では、下着だけではなく部屋着としても使える「ステテコ」を一押しする。3000円前後と手ごろな価格帯も手伝って、靴下などと一緒に贈る人が多く、人気の出始めた昨年より5割ほど購入者数が増加したという。同店では「暑い時期の汗でのべたつき感を解消してくれ、柄のバリエーションも豊富。老若男女問わず愛用できます」と薦める。3150円以上の商品購入者には、フォトメッセージを添えるサービスも実施している。

 テーオーデパート(梁川町10)や棒二森屋(若松町17)でもステテコを買い求める人は多いというが、父の日ギフトとして定着したポロシャツやビジネス小物も変わらぬ人気だ。テーオーではクールビズに対応した、ポロシャツ素材を使用し通気性を高めたワイシャツが売れ筋。「3045円以上のシャツを2枚以上を購入した人には特典もあり、購入代金の一部は東日本大震災の義援金として寄付している」と同店。棒二でも下着や衣料品をまとめたギフトを展開。3150円以上の購入者には抽選で商品券が当たるイベントも19日まで行っている。

 酒ショップみのや(昭和町1)では、なめらかな口当たりにやや辛口が特徴の「開華・純米大吟醸ありがとうボトル」(3150円)をプレゼントにと挙げる。同店では「味のあるふろしきや手ぬぐいなどでラッピングもします。最高のお酒を父の日に贈ってみては」と紹介している。(小杉貴洋、平尾美陽子)



◎工藤市長初の政策予算、18億円補正 一般会計1329億円

 函館市の工藤寿樹市長は14日、就任後初となる政策予算を盛り込んだ本年度の補正予算案を発表した。一般会計は18億3200万円を増額し、当初予算も加えた総額は前年度当初比4.2%増の1329億2700万円となった。工藤市長が選挙政策の柱に掲げた「経済再生」に向け、商店街への支援交付金などを盛り込んだ一方、前市長が導入した校長先生の「知恵の予算」は廃止。東日本大震災対策の関連経費には約4500万円を計上した。30日開会予定の定例市議会に提案する。

 工藤市長は今回の補正予算案の編成について「4年間の出発点として厳しさを増す地域経済の再生を最優先課題と位置づけ、予算化できるものは盛り込んだ」と経済第一を強調。今後の政策については「行革でどれだけ財源を捻出できるかが鍵」と述べた。

 一般会計の補正額は骨格予算後の補正予算としては過去20年で最小規模。厳しい財政状況を踏まえ、主な財源に前年度繰越金8億8000万円を活用し、将来的な財源確保に向け、このうち半分の4億4000万円を留保した。財政調整基金からの取り崩しはしなかった。

 一般会計に特別、企業会計を合わせた補正後の全会計の総額は同0・6%増の2549億8700万円。一般会計の補正後の事業費総額は108億4600万円で、前年度当初予算より11億1800万円増えた。

 主な事業では、「元気いっぱい商店街支援交付金制度」を創設し、事業費4330万円を計上。各商店街が企画した販売促進事業や集客イベントに対し、参加店数に応じて交付金を最大300万円配分する。首都圏の有識者を招いて経済振興策を検討する「経済再生会議」の開催経費に250万円を盛り込んだ。

 また、都内のコンビニ店内の一角に「ミニアンテナショップ」を開設し、函館の地場産品の販売や観光情報を発信する事業費に380万円、東京事務所機能を持つ「函館観光物産館」(仮称)の開設検討調査費30万円を盛り込み、首都圏へのPR戦略も鮮明に打ち出した。

 震災関連では、他の融資制度が活用できず、業績が悪化している事業者向けに「緊急小口運転資金貸付金」として1950万円、市内被災者の見舞金に670万円、若松地区の防潮堤整備費に1000万円を計上。景気対策として公共事業の前倒し発注に3億円分を確保した。

 「知恵の予算」を廃止する一方、本年度からの新学習指導要領に対応した教材整備費に2250万円、地域人材活用・体験学習活動費に750万円を充て、私学助成も拡充した。若者向けのまちおこしイベントとして9月に緑の島で予定されている「HAKODATE黒船2011」の開催補助金も200万円を計上した。

 また、大口需要向けの下水道使用量の最大累進度のほか、青果物、水産物の地方卸売市場の施設使用料をそれぞれ引き下げ、企業の経営改善を支援する。一方、全面建て替えを検討中の市民体育館の整備事業費は今回は見送られ、JR函館駅前に建設を検討する集客商業施設についても「函館駅前市有地活用推進費」として50万円にとどまった。



◎ガゴメ使った焼きそば開発

 新たな函館の名物に―。ガゴメ(トロロコンブの仲間)関連の商品を開発・販売する企業などでつくる「函館がごめ連合」と函館市内のラーメン店「味処 昭和苑」、「元祖 バスラーメン」が、ガゴメを使った焼きそば「函館がごとろ焼きそば」を開発した。レシピを無償で提供する考えで、昭和苑店主の平原惣之助さんは「函館を代表するめんとして広めたい」と期待している。

 「函館特産のガゴメを使ったラーメンを作りたい」と考えた両ラーメン店が、連合や道工業技術センター、函館短大付設調理師専門学校などの協力を受け、3月から開発を進めてきた。塩ラーメンにガゴメを組み合わせるなどの試行錯誤もあったが、最終的にはガゴメの粘りを生かせる海鮮風スープ焼きそばを選択した。

 「以前は函館の焼きそばとして多かった」(平原さん)というやわらかいめんに、とんこつスープ、塩だれを中華鍋で合わせる。具材は地産地消にこだわったエビやホタテなど。盛り付けの最後に刻んだガゴメを適量加え、食べる時に混ぜるとガゴメの成分で絶妙なとろみが生まれる。

 14日に関係者を対象に開かれた試食会では、ガゴメの風味があとを引くうま味が好評だった。昭和苑とバスラーメンは25、26日に札幌で行われる東日本大震災復興応援事業で1000食を提供する計画。その後は昭和苑の通常メニューに加えるという。

 平原さんは「函館特産のガゴメを多くのラーメン店で提供し、新しい名物にしたい」と話し、希望店には無償でレシピ提供に応じる。問い合わせは昭和苑TEL0138-46-4835。(小泉まや)


◎泉沢トンネルが貫通

 【木古内】北海道新幹線の新青森―新函館駅間の「泉沢トンネル」が貫通し、木古内町橋呉のトンネル坑内で14日、貫通式が行われた。地元自治体や工事関係者らが出席し、工事の節目を祝った。これにより同町内にある4つのトンネル全てが貫通した。また、道新幹線全工区の工事の進ちょく率は事業費ベースで約29%に達し、2011〜12年度に土木工事のピークを迎える。

 泉沢トンネルは、新函館までの新設トンネル6本のうち、「渡島当別」「幸連」「札苅」に次いで4番目の貫通。総延長は1.72キロ。09年6月に着工、11月に掘削を開始した。トンネル部分の工事費は約25億円。今後はコンクリートの工事を行い、13年12月の完成を予定している。

 この日の式典には発注者の鉄道・運輸機構北海道新幹線局や木古内町などから関係者約150人が出席。同機構の高瀬昭雄局長や大森伊佐緒木古内町長、永井正博渡島総合振興局長らが貫通点で握手を交わし、万歳三唱で喜び合ったほか、みこしで酒だるが運び込まれ鏡開きも行われ、坑内は祝福ムードに包まれた。

 高瀬局長は「1年半の歳月をかけ、貫通の日を迎えたが工事の道のりは平坦なものではなかった。4本目の貫通で全線の工事もさらに進んだ。トンネルの完成に向け、安全に工事を進めてほしい」とあさいつ。また、大森町長は「新幹線開業は住民の夢であり、トンネルの貫通で大きく前進した。一日も早い開業に向けできる限りの協力をしていきたい」と語った。(松宮一郎)


◎被災地に文房具を、七飯の8校が町教委に渡す

 【七飯】東日本大震災で被災した子どもたちを励まそうと、町内の小中学校8校の児童生徒たちが支援物資として文房具を集めた。峠下小学校(林敏徳校長)で14日、受け渡し式が行われ、同小児童会長の高橋海月さん(12)らが「被災地のために使ってほしい」と吉田雅幸教育長に託した。

 被災地に向けた継続的な支援の取り組みとして、各学校単位で4月下旬から各家庭にある未使用の文房具の提供を呼び掛けた。集まったのは鉛筆2000本、ノート600冊のほか、消しゴムや筆箱などダンボール12箱分となり、校長会事務局の峠下小で物資を集約した。

 物資を寄せた学校のうち、軍川小学校からは、全校児童が被災地の仲間を励まそうとイラスト付きのメッセージも届けられた。吉田教育長は「被災地を思いやる子どもたちの温かい励ましを受け取った。被災地に必ず届けたい」と話していた。(今井正一)