2011年6月16日 (木) 掲載

◎函館スイーツアンテナショップ 独立事業化へ正念場

 道南の和洋菓子メーカー8社でつくる「函館スイーツの会」(佐々木博史会長)のアンテナショップ(函館市松風町)が14日で、開店2周年を迎えた。2年目は観光客の落ち込みや商品のマンネリ化が響き、売り上げが大幅に減少。運営費の大半を占める国の交付金が本年度末で終了するため、同会は来年度以降の独立事業化に向けて正念場を迎えている。

 アンテナショップは国の緊急雇用対策事業「ふるさと雇用再生特別交付金」を活用し、2009年6月にオープン。3カ年事業で店舗スタッフらの雇用を生み出す自治体の事業に国が人件費などを補助する仕組みで、本年度末までに総額約6800万円を補助する。現在は5人のスタッフが勤務している。

 スイーツの会は開設当初は9社だったが、現在は五島軒(同市末広町)やジョリ・クレール(北斗市)、千秋庵総本家(函館市宝来町)など老舗を中心に8社で構成。地元食材を使った各社の商品を「函館スイーツ」に認定し、昨年夏には統一テーマの「箱館奉行所最中(もなか)」を発売するなどオリジナル商品も開発している。

 認定スイーツは約60種類あるが、市民の認知度はいまひとつ。常時店頭に並ぶのは約30種類で、内藤茂樹店長は「商品に変わり映えがなく、徐々に飽きられていた」と打ち明ける。売り上げも1年目は約1870万円だったが、2年目は約830万円まで減少。関係者も「普通の菓子店ならとっくに廃業している」と指摘する。

 また、東日本大震災の影響で春以降は主力だった観光客の利用が激減。あらためて地元に愛される店を目指そうと、4月からは取扱商品も認定スイーツにこだわらず、各社のおすすめや売れ筋も並べ、品数を従来の倍に当たる約60種類に増やした。利用客から要望の多かった生ケーキの販売や誕生日ケーキの予約販売も始めた。

 今月18日からは2周年を記念したフェアを開き、7月9日には近隣の「はこだてグリーンプラザ」でケーキセットなどを提供するオープンカフェイベントも企画している。内藤店長は「今後、独立して店舗運営していくには10月までの実績が勝負。大門地区の活性化と連動し、地元客をもっと取り込みたい」と話している。(森健太郎)



◎サケから医薬品原料生産へ…乙部町

 【乙部】乙部町は、医薬品や健康食品の原料として注目されるタンパク質の一種「プロテオグリカン」を含む、サケの鼻軟骨の採取技術の確立と原料生産の事業化を視野に入れた研究事業に取り組む方針を決めた。15日の第2回定例町議会で、総額100万円の関連予算を盛り込んだ一般会計補正予算案を可決した。

 町は2009年度から、釧路市、釧路根室圏産業技術振興センター、名古屋大、道立工業試験場、道立釧路水産試験場のほか、バイオ関連企業が参画する農水省の研究プロジェクトに参加。町内でも本年度から、サケの鼻軟骨の採取技術の確立に向けた研究事業に着手することを決めた。

 研究事業は、町内の食品メーカー・はまなすフーズ(三上岩雄社長)に委託。工場の遊休時間を活用して、道内では大半が廃棄処分されているサケの頭部から鼻軟骨を手作業で採取する。不純物の除去や脱臭のほか、医薬品などの原料に適した粉末化や溶解工程の実用化を目指すという。

 町は「地元の水産加工技術や人材を活用することで、新たな雇用創出につながる。技術の確立と定着による起業化にも期待している」とする。

 プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸と並ぶ動物の軟骨の主成分。コンドロイチン硫酸が主成分。高い保湿性が特徴で、化粧品のほか高齢者に多い関節炎の治療薬や健康食品の原料となる。

 議事では、寺島光一郎町長が、電源開発が、青森県で建設中の大間原発をめぐり「道内144町村が納得できる形で安全対策を講じる必要がある」とし、道町村会として道に対応を申し入れる方針を示した。安岡美穂氏の一般質問に答えた。定例会は一般会計補正予算案など6議案を可決し、同日閉会した。(松浦 純)



◎電源開発、政府に説明求める…大間原発建設で工藤市長と道

 【東京】青森県大間町で建設中の大間原子力発電所(現在は中断中)に関し、函館市の工藤寿樹市長と道の多田健一郎副知事は15日、事業者の電源開発や経済産業省などを訪問し、市民、道民に対し説明を求める要望を行った。工藤市長は同原発の無期限凍結を求めた。

 要望書では、福島第一原発事故で「原発の立地地域のみならず広範囲に影響を及ぼし、道民に大きな不安を与える」とした上で、電源開発に対し、安全確保の取り組みについて、周辺住民はもとより函館市民、道民に説明するよう要望。経済産業省には同原発の必要性と、電源開発が説明責任を果たすよう強く指導することを求めている。

 市総務部によると、一行は民主党の糸川正晃衆院議員、電源開発の日野稔副社長、中山義活経済産業政務官を相次いで訪問。工藤市長は日野副社長に対し「福島の事故を受けて全市民的に不安が高まっている。事故の原因が検証されない状況のままで、建設を再開しないでほしい」と無期限凍結を求めた。これに対し日野副社長は国から指示のあった緊急安全対策に基づき、防潮壁を設置する計画を示すとともに「今までは不足があった」として青森県と同様に情報提供を行う考えを示した。

 また中山政務官は要請に対し「国としても説明責任を果たしていかなくてはならない」と話した。


◎道内の「うまいもの」一堂に…丸井今井で始まる

 道内の物産が一堂に会する「第2回北海道うまいもの大会」が15日、丸井今井函館店で始まった。約60店が出店し、実演販売などでPR。来店客らは試食などで気に入った商品を次々と購入していた。20日まで。

 昨年に初回を開催。初日は、全道各地の物産が集まるとあり、待ちかねた客で開店と同時ににぎわった。札幌や小樽方面のスイーツをはじめ、オムライスやニシンの薫製なども並んだ。

 今回特に充実させた道南からは、同店地下で不定期開催する道南フェアの参加店を中心に28店が集まった。松前町の岩のりや八雲のローストチキンなどが人気で、中には数時間で売り切れる商品も。五勝手屋本舗(江差)は「中花饅頭」を会場内で実演製造し、客は熟練の職人技に見入っていた。函館市桔梗の主婦(38)は「ようかんが好きなので、ほかの商品も食べてみたい」と話し購入していた。

 同店は「道南フェアのリピーターが多く、食の良さが認められているのではないか」と話し、来場を呼び掛けている。(小泉まや)


◎中宮町長「大間原発、建設凍結求める」…七飯町議会

 【七飯】町議会第2回定例会が15日、開会し、会期を17日までの3日間と決めた。一般質問には3氏が登壇し、東日本大震災を踏まえた防災体制について質問した。青森県大間町に建設中の大間原発について、中宮安一町長は「藤城地区は大間から50キロ圏内。福島県の放射能の分散状況から、直接的被害、風評被害を懸念している。建設凍結を求めたい」と述べた。今月下旬にも函館、北斗両市長と意見交換の場を持ち、圏域での意思疎通を図る考え。

 長谷川生人氏、牧野喜代志氏が質問した。

 今後の原発の在り方については、国民、企業による節電の努力が必要とし、中宮町長は「人の手で制御できないものは作るべきではない」と述べた。稼働中の原発の安全対策として、地震、津波に加え、テロの脅威からの防御策も重要になるとした。

 また、長谷川氏が防災体制の強化を求めたのに対し、中宮町長は「仁山から矢不来には活断層があり、大地震の恐れがある。警戒のしすぎもよくないが、各地域で自主防災組織をつくり、有事に役立つよう訓練をしてもらいたい」と述べた。

 平松俊一氏は、地域防災計画が2001年の策定後、大規模な見直しがされていないことを挙げ、駒ケ岳噴火時の避難所の在り方や、高齢者や障害者ら災害弱者対策、災害備蓄の重要性を指摘した。中宮町長は、国の防災基本計画の見直しや道の動向を踏まえながら、来年度をめどに新計画をまとめる方針を示した。

 町総務課は、新計画の策定を進める中で、近隣市町の沿岸部で津波被害があった場合に備え、避難住民の受け入れや、原発事故への対応を盛り込むことを検討している。(今井正一)