2011年6月17日 (金) 掲載

◎盛岡・渋民小児童 啄木一族の墓訪問

 修学旅行で来函している岩手県の盛岡市立渋民小学校(佐々木健校長、児童247人)の6年生31人が16日、石川啄木一族の墓(住吉町)を訪れた。同校出身の啄木が眠る墓を掃除し、校歌を斉唱。潮風を受けながら、大先輩への思いを新たにした。

 同校では1年生から啄木や金田一京助ら盛岡ゆかりの人物について学ぶ授業を実施。今回の修学旅行は、今年が啄木の百回忌の年であるのに合わせ、先人教育の集大成との位置付け。数年前に佐々木校長(55)が発案し、1泊2日の旅程で今年初めて実現した。

 同日早朝に盛岡を出発して来函した一行は市文学館での見学後、啄木の墓を訪問。同館の森武館長も見守る中、雑巾やタワシで墓石の汚れを丁寧に落とした後、花を供えて全員で合掌。「大先輩への尊敬の念を新たにし、これから頑張ります」と墓前に誓うと、1953年から歌い継がれる啄木作詞の校歌を高らかに歌い上げた。

 児童会長の玉山紫野さん(11)は「宮崎郁雨らとの交流など啄木の人間関係を学ぶことができた」と笑顔。同会副会長の三浦鈴香さん(12)は「今日は一生に残る思い出になった。お墓に眠る啄木一族の皆さんはきっと喜んでいるはず」と目を細めていた。

 来年も修学旅行で来函するという佐々木校長は「啄木を縁に函館との距離がぐっと縮まった。児童には良い経験になったと思う」と話していた。 一行は17日午後に帰路につく。(長内 健)



◎公立学校 耐震化54.5%…函館市

 函館市内の公立学校で、震度6強以上の地震でも倒壊しない耐震基準を満たしている校舎・体育館の割合(耐震化率)は4月1日現在、54.5%にとどまっていることが分かった。学校の大半が市が指定する災害時の避難所だが、全体の3割が耐震診断すら手付かずの状態。東日本大震災で市民の防災意識が高まる中、肝心の学校の地震対策の遅れが浮き彫りになった。

 市教委によると、市内の公立学校は小学校45校、中学校27校、高校1校、幼稚園2園の計75校で、棟数では計233棟に上る。このうち耐震診断が必要なのは、1981年施行の現行耐震基準の前に建設された132棟で、昨年度までに診断を終えているのは21校62棟。31校70棟は診断も行っていない。

 震度6強以上の地震でも倒壊しない耐震基準を満たしているのは、82年以降に建設された101棟と、診断で基準をクリアしていた15棟の計116棟。診断の結果、21校47棟で補強が必要とされたが、これまでに改修が済んだのはわずか2校11棟で、19校36棟が依然として未着手のままだ。

 市教委は2008年から本格調査に乗り出し、09年から耐震化の状況を公表している。昨年度は深堀小、東山小、五稜中の3校の体育館の耐震化を済ませたが、小中学校の耐震化率では前年度比1・8ポイント上昇の52.7%。昨年度公表された小中学校の耐震化率の全国(73.3%)、全道(60.6%)平均を大きく下回る。

 国は震度6強の大地震に対する鉄筋コンクリート造の建物の耐震性を表す指標(Is値)を定めていて、数値が0・3未満の場合「倒壊または崩壊する危険性が高い」としている。市内では凌雲中体育館が0.10、亀田中体育館が0.13、青柳小校舎が0.18と低く、本年度に補強工事の実施設計に入る予定だ。

 地震対策の遅れが目立つ背景には市の財政難がある。市教委は耐震化の優先度を調査し、危険度が高い順に補強工事を急ぐ方針だが「外注する診断調査だけで1校当たり500万〜1000万円、改築工事となれば数千万〜数億規模になる」(施設課)という。

 一方、保護者の声は切実だ。小学5年の娘を持つ女性会社員(33)は「学校が崩れることなんて考えたこともない。現実的に建て替えが難しいのも分かるが、子どもが校舎の下敷きになってからでは遅い。震災の恐怖を感じた今だからこそ、避難訓練や防災対策に力を入れてほしい」と訴える。(森健太郎)



◎園児親子でイチゴ狩り

 【七飯】森町の駒ケ岳保育園の園児と親約30人が16日、七飯町鳴川のマルサン宮田果樹園(宮田学代表)を訪れ、甘酸っぱい香りが漂うビニールハウスの中でイチゴ狩りを楽しんだ。

 同保育園で毎年行っている親子遠足としてイチゴ狩りが行われ、昨年に続き2回目の来園。

 同果樹園は今月上旬からイチゴ狩りをオープン。ビニールハウス2棟で栽培し、品種は定番の「けんたろう」のほか、今年から酸味の少ない「北の幸」も植えた。

 宮田代表の説明を受けた園児と親たちははさみを手にビニールハウスに入り、イチゴ狩りを体験。園児は親の手ほどきを受けながら赤く色づいた果実を摘んで容器に入れ、中にはその場でほおばる園児も。容器いっぱいに摘んだイチゴはハウスの外で味わい、園児は「おいしい」「甘い」と歓声を上げていた  両親と一緒に参加した村上蓮ちゃん(6)、稜ちゃん(5)の兄弟は「いっぱい食べた。また来たい」と喜んでいた。

 今年のイチゴ狩りは、生育がやや遅れたものの実付きが良く宮田代表は「今月いっぱい楽しめます」と話している。(鈴木 潤)


◎函館港の活用策探る…みなとまちづくり女性ネット勉強会

 みなとまちづくり女性ネットワーク函館(折谷久美子代表、13人)の勉強会が16日、函館市海岸町の函館開発建設部函館港湾事務所などで行われた。専門家の講演と港内見学で、国の制度に基づく函館港の活用策を探り、知識と親ぼくを深めた。

 道開発局港湾計画課企画担当係長の千葉俊夫さんが、全国有数の港で登録が進む「みなとオアシス」(本登録55港)制度を説明。登録によって直接的な金銭支援はないものの、シンボルマーク使用の許可やPR強化が図られるとし「港を拠点に住民や観光客らが交流し、安らぎや憩い、経済も支える地域のにぎわいの原動力として期待できる」と強調。

 主な登録要件に▽交流場所▽トイレや駐車場▽継続的な催しの実施▽住民参加型の運営体制―を挙げ、「新しいものをつくる必要はなく、既存のもので活用できる制度」とした。

 港湾管理者が登録申請者であり、函館港では函館市となるため、メンバーは「行政の理解と協力も得ながら、この制度の利用、登録実現を目指していきたい」とした。勉強会に出席した函館市の担当者も「相談にいつでも応じていきたい」と前向きな姿勢を示した。

 港内見学では、港湾業務艇「みずなぎ」に乗船し、函館港をぐるり巡った。参加者は普段見られない眺めに港への関心を高め、折谷代表は「函館の港まちづくりのさらなる充実のために、みなとオアシスの存在は力強いはず」と話していた。(田中陽介)


◎自慢の「食」売り込む…商談会に大手バイヤーら10社

 北海道の「食」特別商談会in函館が16日、ホテル函館ロイヤルで開催された。国内の大手スーパーなど10社のバイヤーが参加。函館市内の水産加工業者が、塩辛や珍味などの商品を売り込んだ。

 道銀と函館特産食品工業協同組合、全国いか加工業協同組合函館支部などが主催した。今回4回目となり、買い手はイズミヤ(大阪)やイトーヨーカ堂(東京)、京北スーパー(千葉県柏市)、万代(大阪府東大阪市)など、大手や質などにこだわりを持つ小売業者が参加。函館からは水産加工業者20社が訪れ、各企業のブースで自慢の自社商品を売り込んだ。

 開催に当たり同支部の高野元宏支部長が「バイヤーの方にはきたんないご意見をいただきながら、函館の水産物を広く全国に広めていただきたい」とあいさつ。各バイヤーは売り込まれた商品に対して、仕様や鮮度へのこだわり、出荷方法などを確認するため積極的に質問していた。

 参加した紀ノ国屋(東京)商品部の中村佳幹さんは「添加物が少ない商品や今まで扱ったことのない商品を求めている」と話していた。 (小泉まや)