2011年6月18日 (土) 掲載

◎ここまで津波がきました…金森商船がプレート設置

 東日本大震災で津波による大きな被害を受けたことから、金森商船(函館)はこのほど、津波に伴う冠水の高さや津波到来時刻などを記したプレートを、金森赤レンガ倉庫群の外壁2カ所に取り付けた。観光客らがプレートの前で足を止め、驚きの表情で津波の高さなどを実感している。

 赤レンガ倉庫群は同震災の津波で周囲が約1.2メートルほど冠水。飲食店などが入る4施設が床上浸水し、電気系統などに被害を受けた。

 函館観光の安全性をPRしてもらおうと、台湾の旅行会社や報道関係者らが4月11日に函館市などに招かれた際、同社が津波の日時などを英語で記した仮のプレートを同倉庫群に設置。それを目にした関係者は、津波の達した高さに驚きと戸惑いの表情だったという。

 プレートは縦8センチ、横20aのサイズ。外国人観光客にも伝わるよう国際表記のTSUNAMIと記し、外壁に溶け込み、長い年月に耐えられるようにと銅板を用いた。金森商船の柳谷一美営業部長は「同震災で得た教訓を忘れず、土のう訓練を定期的に行うなど今後の対応の仕方を考えていきたい」と話す。

 札幌から観光で訪れたという清水有紗さんは「プレートを通して津波の恐ろしさを肌で感じることができた」と話していた。(平尾美陽子)



◎道南観光 どう影響 高速道路の休日上限1000円19日で中止

 国土交通省は、高速道路の休日上限1000円と無料化実験を19日(20日午前零時)で中止する。同割引を利用し、函館・道南を訪れる観光客も少なくなかっただけに、今後の影響が懸念される。関係者からは「東日本大震災からの客足回復に水を差すのでは」との声がある一方、「大きな変動はないはず」などさまざまな意見が聞かれる。

 同割引は、景気対策の一環として、2009年3月28日から実施。09、10年の春の大型連休では、道南の行楽地は道内外の車でごった返し、この割引を利用して道央や道東方面から訪れたという声が聞かれた。割引の中止は、震災に対応した第1次補正予算の財源確保のためで、自動料金収受システム(ETC)の搭載車(小型、軽)を対象に土日、祝日の料金が上限1000円だったのが半額までとなり、道央自動車道で落部から札幌南まで1000円(小型)は、2650円となる(ETC非搭載は5300円)。

 震災の影響で減少した観光客も、春の大型連休でばん回。夏からさらに活気が期待されていたため、宿泊施設からは割引中止を惜しむ声が聞かれる。

 竹葉新葉亭(湯川町)は「例年6〜8月にお客さまが増えるので、正直なところ痛手。公共交通機関の事故があったことで、車での移動が増す可能性もあった。高速道路を気軽に利用できるように、この制度が長く続いてほしかった。ただ、どのような来客状況になるかは分からない」。ロワジールホテル函館(若松町)は「ゴールデンウイーク中は満館で、大震災による落ち込みから持ち直してきたところ。高速道路を利用しやすくすることは、遠出するきっかけになるので、この制度が長く続くのが望ましかった」と話す。

 津軽海峡フェリーでも「お盆などは元々、人が往来するが、それ以外は動くメリットがないと車で遠くへ出掛けることは少ない。この制度は旅行する機会づくりになっていたので、大いに残念」としている。道央道の八雲パーキングエリアに直結する「丘の駅八雲パノラマ物産館」の運営会社、八雲観光物産センターは「高速道を気軽に利用できることで、道東から日帰りで函館に足を運ぶ人もいた。また、例年今の時期はアジア方面からの観光客らでにぎわうが、今年はさっぱり。この制度が終わることで、相当の打撃が見込まれる」と懸念する。

 函館朝市協同組合連合会(若松町)の井上敏廣理事長(62)は「観光客減と、朝市の厳しい経済状況に追い打ちがかかる。経済を活性化しながら復興のための財源をねん出する政策を打ち出してほしかった」と注文を付ける。札幌へ年に数回車で向かうと言う柏木町の主婦、金田晃子さん(37)は「もともと景気対策とは言え、場当たり的な割引制度だった」とした上で「北海道も震災の影響を大きく受けたのに、全国的に中止するのは不合理。旅行を自粛せず、出掛けることも復興につながるという意見も多いのに」と指摘する。

 一方、五稜郭タワー(五稜郭町)は「上限1000円は魅力的だが、震災復興財源確保のためにはやむを得ない。高速道路の利用が被災者救援につながることを考えれば、観光客もたくさん来てくれるのでは」とみる。また、函館大沼プリンスホテルは「道南には道内の人を引き付ける素晴らしい魅力があるので、来たい人に高速料金は関係ないと思う。逆に一般道経由の人が増えれば、高速道の混雑が緩和され、訪れやすくなるのでは」と話している。



◎木村副会頭が退任…函館商工会議所

 函館商工会議所が17日に開いた通常議員総会で、副会頭の木村孝男氏(69)=函館空港ビルデング社長=が30日付で退任することになった。空席となっていた専務理事は、元同会議所職員の酒井康次氏(61)の選任に同意した。

 木村氏は函館市職員時代の経験から同市助役退任後の06年に同社専務となり、07年から現職。正副会頭の業務多忙や厳しい経済情勢下の体制強化などを理由に、08年に副会頭となった。

 函館空港ビルデングの総会が行われる8月末までに70歳を迎え、常勤役員の定年(70歳)規定にかかることから、ことしの総会をもって社長を退任することが決まっている。このため同会議所副会頭も退任することになった。

 あいさつに立った木村氏は「就任後の2年7カ月は激動の期間だった。2会頭の体制下で務めることができたのは大変名誉だった」と述べた。松本栄一会頭は木村氏について「観光のベテランだったので退任は残念。支えてくれたことに感謝する」とした。

 副会頭の定数は4人で、木村氏の退任により3人となった。後任については当面空席とする。

 酒井氏は函館大学商学部を卒業後、同会議所に入所。中小企業相談所長や事務局長などを経て09年に退職。同年から函館国際水産・海洋都市推進機構の事務局長を務めた。選任が同意され酒井氏は「震災が地域経済に及ぼす影響は大きく、責務の重さを痛感している。スムーズな運営で1日も早く景気回復につなげたい」と述べた。 (小泉まや)


◎6月函館市 ガソリン148.54円 本年度初の値下がり

 函館市がまとめた6月の石油製品小売価格調査によると、ガソリン(1リットルレギュラー)の平均価格は前月比7.15円安の148.54円で、本年度に入って初の値下がりに転じた。家庭用灯油(1リットルホームタンク用)の平均も97.10円と、前月から1.61円値を下げたが、東日本大震災前の水準からは上回っている。

 調査は卸、小売りを兼ねる15店、小売販売点の計30店で、12日に実施した。

 ガソリンの平均価格は3カ月ぶりに150円を下回ったが、震災前の2月(138.03円)と比較すると、依然として高い傾向が続いている。最高価格は159円で前月比4.8円安。最低価格は139円で同13円安と一気に下落した。  家庭用灯油の最高価格は前月と同じ106円、最低価格は前月比2円安の91円。

 軽油(1g)の平均価格は同5・6円安の132.39円。最高価格は前月と同じ142円、最低価格は128円で、前月からは3円安かった。重油(1g)の平均は同2.78円下がり95.87円となった一方、プロパンガスの平均価格は5立方b5643.40円、10立方b9118.50円でともに前月を上回った。(千葉卓陽)


◎わが道 輝く功績 春の叙勲道南18人

 政府は18日付で、2011年春の叙勲受章者を発表した。全国4064人、このうち道内217人。道南からは18人(渡島管内14人、桧山管内4人)が栄誉に輝いた。旭日中綬章(地方自治功労)に北斗市中央の海老沢順三さん(79)=元北斗市長=、旭日双光章(生活衛生功労)に函館市日吉町の勝又敏さん(75)=道麺類飲食業生活衛生同業組合理事長=、同章(地方自治功労)に森町砂原の山内初雄さん(86)=元砂原町議会議員=、同章(同)にせたな町瀬棚区の柳田真さん(70)=元せたな町議会議員=がそれぞれ選ばれた。発令は4月29日で、東日本大震災の影響で発表が延期になっていた。

 道南からのそのほかの受章者は次の通り。名前、年齢、現住所、功労概要、主要経歴の順。  (敬称略)

 【瑞宝中綬章】

 折原久左エ門(79)函館市根崎町、教育研究功労、道教育大名誉教授

 【瑞宝双光章】

 河江誠司(70)函館市館町、郵便事業功労、元日本郵政公社職員(特定郵便局長)▽寺井富冶(71)函館市栄町、更生保護功労、保護司▽藤野隆子(70)函館市松川町、調停委員功労、調停委員▽吉田玄雄(76)函館市日吉町、学校保健功労、学校医

 【瑞宝単光章】

 荻野穂波(72)函館市本町、調停委員功労、元調停委員▽笠谷政弘(74)上ノ国町汐吹、消防功労、元桧山広域行政組合上ノ国町消防団副団長▽熊谷修(62)北斗市七重浜、気象業務功労、元国土交通技官▽近藤幸一(61)乙部町元町、気象業務功労、元国土交通技官▽鈴木伸一(63)函館市杉並町、矯正業務功労、元法務教官▽高田陽一(70)北斗市清川、消防功労、元南渡島消防事務組合北斗消防団分団長▽根布真行(80)函館市港町、鉄道業務功労、元国鉄職員▽山内進(72)せたな町北桧山区、消防功労、元桧山広域行政組合北桧山町消防団副団長▽吉田裕二(61)函館市高丘町、気象業務功労、元国土交通技官