2011年6月2日 (木) 掲載

◎新緑の駒ケ岳 満喫

 【七飯、森】本年度の駒ケ岳(1131メートル)登山が1日、解禁となった。昨年から一部規制が緩和された赤井川登山道に加え、今年は大沼湖畔側の銚子口登山道も開かれ、標高900メートルの馬の背を目指して、赤井川から31人、銚子口から8人が入山し、景色や眺望を楽しんだ。

 駒ケ岳は1998年の小噴火後、全面的に入山が禁止となっていたが、火山活動が静穏な状態が続いているため、昨年、曜日などを決めて一部規制を緩和。今年からは毎日の登山が可能となった。

 新たに解禁となった銚子口登山道は、入り口から林の中を通る別荘地の私道を抜けると本格的な山道。植生の変化も豊かでカラマツなどの若い木が成長していく様子を確認できる。赤井川登山道と合流する8合目までは2〜3時間程度かかる。

 銚子口登山道を訪れた函館市川原町の男性(64)は「駒ケ岳に登るのは約20年ぶり。新緑を堪能したい」と話した。また、赤井川登山道から馬の背まで上った森町赤井川の羽生秀範さん(64)は「解禁日を楽しみにしていました。馬の背からは函館山のシルエットが見えた。風も緩やかで気持ちが良かった」と話していた。

 登山期間は10月中旬までの午前9時から午後3時まで。入山者の届け出が必要で、事前に大沼国際交流プラザに申し込むか、当日、各登山道入り口でも受け付ける。問い合わせは同プラザTEL0138・67・2170。(今井正一)



◎観光客4年ぶり増加

 函館市は1日、2010年度の観光入り込み客数(推計値)を発表した。前年度比5・9%増の約458万6000人で、06年度以来4年ぶりの増加に転じた一方、東日本大震災が大きく影響し、下半期(10〜3月)は146万9000人(前年度同期比0・9%増)にとどまった。市観光コンベンション部は増加を受け「底を打った感はあるが、本年度は震災の影響がどう出るか心配」としている。

 昨年度はJRA函館競馬場のリニューアルオープンや箱館奉行所復元オープンなどで回復基調にあり、10年度上半期(4〜9月)は前年度同期比8・4%増の約311万7000人。月別では9、11、3月を除いて前年度を上回った一方、9月のシルバーウイークが前年度ほど大規模とならなかった点に加え、9、11月は「JR東日本の企画商品『大人の休日倶楽部会員パス』の発行がなかったことが影響した」(同部)と分析。3月は大震災の影響で落ち込みが激しく、前年度同期比17・2%減の16万6000人となった。

 函館を訪れる際に利用した交通機関別にみると、高速道路利用料金の休日割引制度が好影響をもたらし、バスは196万2200人(前年同期比14・6%増)、乗用車で75万5400人(同4・9%増)と伸長。一方、JRは昨年12月の東北新幹線新青森開業による伸びもあったが、東日本大震災の影響などで111万2900人(同2・9%減)。新幹線と接続する海峡線も56万9800人(同2・7%減)にとどまった。

 フェリーは21万3300人(同4・7%減)と不振。航空機は54万2400人(同2・3%増)で、海外からのチャーター便増加や夏季の関西空港便増便などプラス要素があったが、上半期(同9・4%増)からの伸びを維持できなかった。

 大震災を経て観光の手控え傾向が続き、福島第一原発事故が依然収束していないため、本年度の入り込みは苦戦が予想される。同部の布谷朗部長は「被災した地域も徐々に復興に向かっている。道内や韓国、中国、台湾などでの誘致活動を積極的に行っていく」とし、10月の縄文文化交流センターオープンや、街歩き施策の充実などで集客増につなげたい考えだ。(千葉卓陽)



◎肌寒いけどクールビズ

 夏の軽装「クールビズ」が1日、函館市内の官公庁や企業などで始まった。この日は市内の最高気温が15・1度と平年を3度ほど下回る肌寒い衣替えとなったが、多くの職員が早速ポロシャツ姿やノーネクタイで仕事に当たった。

 市では国や道と歩調を合わせて2005年から実施し、今年で7年目。昨年より18日前倒ししたが、環境省が節電対策の一環で提唱したアロハシャツやTシャツも可の「スーパークールビズ」は、「来庁した市民が違和感を持つのでは」(人事課)と見送られた。

 市役所本庁舎には「軽装を励行しています」との掲示紙も貼られたが、初日は肌寒さも残り、ノーネクタイに長袖シャツ派が主流だった。

 40代の男性職員は「首元が楽で、自転車通勤に切り替えたい」と快適さを実感。一方、スーツ姿で出勤し「慌ててネクタイを外した」という職員もいた。期間は9月末まで。市では外の気温が28度以上の場合に冷房を付けるが、軽装により30度以上の場合に基準を引き上げる。猛暑だった昨年は7日分の冷房費節約効果があった。

 このほか、市内では1日から、函館商工会議所や渡島総合振興局でもクールビスがスタート。振興局では道人事異動の発令日で、肌寒かったこともあり、普段のネクタイに上着姿で仕事をする人も多かった。北斗市役所はもともと冷房はないが、「間接的な節電対策として効率的に仕事をしてもらおう」(総務課)と、今年は5月16日から軽装を実施している。


◎「福祉の店Cog」オープン 道南36施設の製品ずらり

 道南の各障害者施設で作った製品を販売する「福祉の店Cog(コグ)—はぐるま—」が1日、函館市若松町20にオープンした。初日は開店式典を行い、大勢の市民がパンやアクセサリー類などの製品を買い求めた。

 同店は函館市が国の緊急雇用創出推進事業の一環として開設。運営を南北海道知的障がい者協会(尾形永造会長)に委託した。

 店員は販売実務経験のある販売促進員3人と障害者6人、障害者支援員1人で、同協会加入の36施設で生産した工芸品や菓子類、花苗など約120品を販売する。店名のコグは英語で歯車の歯で、障害者や地域住民、行政、支援者らがかみあい地域の歯車になろうという願いを込めた。 開店式には市の幹部や施設の職員ら約20人が出席し、尾形会長が「店名の趣旨に沿った運営をしていきたい」とあいさつ。来賓の川越英雄市福祉部長も「障害者の社会参加につながるよう祈念しています」と期待を寄せた。その後、テープカットが行われ、開店した。

 店内には、クッキーやパン、毛織物製品、陶器、苗が並び、来店客が早速、目当ての品を買い求めた。千歳町から来た主婦(63)は「素朴な商品がそろっていて良いですね」と話していた。

 運営の準備に当たってきたワークセンター一条のサービス提供責任者、澤口雅宏さん(40)は「多くの市民に利用者の取り組みを知ってもらう機会になれば」と述べた。(鈴木 潤)


◎思い出の写真を供養

 6月1日の「写真の日」にちなみ、一般市民から寄せられた古い写真を供養する「写真供養祭」が1日、函館市豊川町16の「北海道写真発祥の地碑」前で開かれた。主催する道南写真館協会(加藤昇会長)の5店に持ちこまれたり、この日受け付けした写真をお払いした。

 供養祭は、各店の客から古い写真の処理に困っている声を受け、1996年から行っている。今年は、この数年で最も多い、段ボール約60箱相当分が集まった。中には、大正年間の古いアルバムのほか、東日本大震災で被災し、東北から函館に移住してきた人で、亡くなった親族の写真を修復し、その原版の供養を依頼されたものもあった。

 加藤会長が「震災の影響で、自分の身の回り品を整理した人が多く、数が増えたと思う。写真を持ってきた人の気持ちになり、供養したい」とあいさつし、亀田八幡宮の神職が碑に向かい祝詞をささげた。お払いを受けた写真は、後日焼却される。

 出席した北海道写真館連合会の原崎眞一会長は「震災後、写真の価値がクローズアップされている。1枚1枚、さらに心を込めてシャッターを押していきたい」と話していた。(山崎純一)