2011年6月21日 (火) 掲載

◎若松地区の防潮堤増設 震災対策で1000万円

 東日本大震災に伴う津波被害を受け、函館市は函館湾に面した青函連絡船記念館摩周丸周辺の市内若松地区の防潮堤を新たに増設することを決めた。震災対策として6月30日に開会予定の定例市議会に提出する補正予算案に事業費1000万円を計上。早ければ9月にも着工し、年内の完成を目指す。

 今回の震災で函館では最大波2.4メートルの津波を観測し、函館朝市やベイエリアなどで建物や車両などに冠水被害が相次いだ。特に朝市のあるJR函館駅周辺では、湾に面した護岸が一部整備されていない個所があり、そこから海水の流入が目立ったことから、朝市関係者らが市に対策を求めていた。

 一方、2005年に策定した市の港湾計画では、若松地区に大型客船が停泊できる旅客船埠頭(ふとう)を整備する予定で、今回、津波が流入した個所は計画では埋め立て地化される場所だった。このため「護岸工事が無駄になる可能性があり、整備には二の足を踏んでいた」(市港湾課)のが現状だ。

 国の開発予算が縮小する中、埠頭整備の早期実現は厳しい情勢で、市は整備事業を待たずに既存の防潮堤を延長する形で増設に着手することを決めた。防潮堤はいずれも高さ3bで、摩周丸裏側14・5bと、函館駅裏側のコの字型56bの護岸2カ所。7〜8月の観光シーズンを避けて着工する見通しだ。

 このほか、今回の津波で函館湾に面した地域では、市水産物地方卸売市場や金森赤レンガ倉庫群などのある豊川地区も浸水被害が大きかったが、市港湾空港部は「船の荷役や景観上の問題があり、防潮堤の設置だけでは解決できない」と頭を悩ませる。「市として早急に整備できるところから着手し、少しでも地域の安全・安心につなげたい」としている。 (森健太郎)



◎5月の道内外国貿易概況 輸出入ともに前年同月比50%以上増

 函館税関がまとめた5月の道内外国貿易概況は、輸出入ともに前年同月比50%以上増加した。同税関管内の東北地区(青森と秋田、岩手の3県)では、輸出が同60%超減少する状況が続くが、港の機能は回復傾向にあるという。

 道内の輸出は一般機械や鉱物性タール・粗製薬品などが増加し、同52.0%増の363億200万円と3カ月連続のプラス。輸入も原・粗油などが伸び、同59.4%増の1389億4300万円で17カ月連続で増加した。

 輸出は一般機械がベネズエラ向けの石油精製機械が伸び、同3.8倍の182億9200万円と4カ月ぶりに増加に転じた。鉱物性タール・粗製薬品は、中国向けキシレンなどで同97.3%増の32億1100万円。鉄鋼は韓国向けビレットなどで同42.7%増加した。  自動車の部分品は米国向けのギアボックスの扱いが減り、同26.1%減の24億1500万円に。紙・板紙は、韓国向け梱包材を中心に同40.0%減った。

 輸入は中東情勢の影響で引き続き燃料の価格が上昇。原・粗油は数量が同53.6%増、金額は同88.9%増で6カ月連続の伸び。石炭は数量が同50.2%増、金額は同66.9%増加した。ウッドチップは米国向け需要の低下で同71.5%減となった。

 東北3県は、輸出が同68.3%減の76億8200万円と、震災の影響で引き続き大きく減少した。工場被災により鉄鋼の扱いが同90.4%減少し、半導体製造装置は輸出港を関東圏に変更した。ただ、前月比では16億4600万円増加し、八戸や釜石、大船渡での扱いが伸びている。輸入は前年同月比6・8%減の183億1500万円。こちらは前月実績を下回った。 (小泉まや)



◎工藤市長 現地視察へ 大間原発訴訟の会と会談

 青森県大間町で建設中の大間原子力発電所(現在は中断中)をめぐり、大間原発訴訟の会(竹田とし子代表)など4団体は20日、函館市役所で工藤寿樹市長と会談した。同市長は7月の定例市議会終了後をめどに、現地を視察する意向を明らかにした。

 同市長が訴えている、同原発の無期限凍結を内容を聞く趣旨で、訴訟の会メンバーなど13人が訪問。竹田代表は「原発は大間だけの問題ではない。福島第一原発事故の収束がはっきりしない中では、(原発は)危険なものとの認識を持ってほしい」と訴えた。

 市長はこれに対し、事業者の電源開発や国に無条件凍結を求めたことについて「反対と申し上げると推進派の抵抗が一層強くなる。新たに作らせなければいい」と趣旨を説明。その上で、「議会が終わったころに大間に行きたい」と現地を視察する考えを強調した。

 市長はまた、近日中に高谷寿峰北斗市長、中宮安一七飯町長と同原発の対応を話し合うとし、「道南の自治体の集まりに広げ、最終的には道の市長会で訴えていきたい」と述べた。       (千葉卓陽)


◎函館で今年初の夏日 

 20日の道南地域は青空が広がり、各地で最高気温25度以上の夏日を観測した。このうち函館市は今年初の夏日(昨年より7日遅い)を記録し、噴水がある函館公園(青柳町)は、涼を求める親子連れらでにぎわった。

 函館海洋気象台によると、北斗で26.8度、木古内が26.7度、函館は25.7度を観測し、いずれも今年最高。南から暖かい空気が入り、21日も各地で夏日になる見込みだが、22日以降は20度前後(平年並み)の推移を予想している。

 函館公園を訪れていた七飯町の看護師加藤友和さん(35)は、家族4人で水遊びを満喫。長女の結那ちゃん(4)と次女の英(はな)ちゃん(2)は「少し冷たいけど気持ちいい。水が大きく出たり小さくなったりするのが面白い」と笑顔だった。(田中陽介)


◎所得税納税額1.2%増 2010年分確定申告

 函館、八雲、江差の道南3税務署は2010年分の所得税などの確定申告状況を発表した。3署合わせた所得税の申告納税額は前年比1.2%増の40億7500万円で、前年をわずかに上回った。一方で納税者は同2.4%減の2万3401人に。函館税務署は、所得低下により非課税となる人がいる半面、納税者に限っては1人当たりの所得が増加する傾向を指摘する。

 所得税の確定申告をした人は同1.1%減の8万4989人で、3年連続の減少。実際の納税者2万3401人の所得金額の合計は、同1.0%減の864億5600万円で、過去10年間で最低に。しかし納税者1人当たりの所得は369万円と、前年を5万円ほど上回った。

 所得者別では、個人事業主や農漁業者などの事業所得者の納税者は同2・9%減の6047人。所得金額は同2.4%減、納税額も同0.2%減少した。その他の所得者では、給与所得者の減少が特に大きく同2.6%減の7465人に。所得金額も同1.3%減少した。同税務署は「現金支給が減る傾向にあり、景気低迷で申告者も減少している」とする。

 個人事業主を対象にした消費税の総申告件数は、同2.7%減の5731件。このうち納税申告件数は同2.8%減の5663件だが、納税申告額は同0.9%増の15億4200万円と上向いた。

 インターネットによる国税電子申告・納税システム「e―Tax(イータックス)」を利用して確定申告した人は、確定申告者全体の37.1%(前年比4.6ポイント増)を占める3万1503人。同税務署は「さらに普及に努める」とする。  (小泉まや)