2011年6月22日 (水) 掲載

◎大門キッズスタジアムにチョウザメ

 函館市若松町の和光ビル5階の子育て支援施設「大門キッズスタジアム」に、チョウザメの水槽がお目見えした。7月1日に迎える施設開設1周年に合わせて設置。水中をすいすいと泳ぐ8匹に親子ら来場者は歓声を上げ、関係者は「ちょっとしたミニ水族館のような雰囲気を満喫してほしい」と紹介している。

 利用者により愛着を持ってもらう施設を目指し、市から事業を委託している同ビルの運営会社NAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)が20日に水槽を設けた。

 施設内ではこれまで、函館高専など地元の教育機関と連携した科学イベントなどを開催。その一環である今回は、北大水産学部の水産学博士、足立伸次教授が無償でチョウザメを提供した。

 年齢は3、4歳だが、体長20〜30センチと小ぶりなことから看板を「チョーザメの赤ちゃん」に。200リットルの水槽の中でとがった鼻を突き出すようにして泳ぐ様に「大勢の親子が食い付いて観賞している」(布村社長)という。

 長女の沙華ちゃん(2)を連れて同施設を訪れた関里香さん(31)は「娘は魚が大好きだからとても喜んでいる。チョウザメは見る機会が少ないし、自分も楽しい」と笑顔を見せた。

 同施設の来場者数は6月21日現在でのべ6万1000人に。7月1〜3日は記念イベントを開く予定で、布村社長(46)は「地元の大学などに関心を持ってもらい、ゆくゆくは函館のために尽くす人材が生まれれば」と期待している。

 この水槽は無料スペースに展示してある。(長内 健)



◎総額3億 公共工事前倒し…函館市

 函館市は緊急経済対策の一環として、総額3億円規模で公共工事を前倒し発注する方針だ。本年度分としては初めての景気対策で、来年度に予定していた工事のうち、道路の新設舗装や五稜郭公園の転落防止柵付け替えなど、老朽化が進んでいるインフラを中心に整備を進める。30日開会予定の市議会第2回定例会に提案する。

 市財政課によると、約60件程度を前倒しして発注し、財源は2億2000万円を起債で賄うとともに一般財源8000万円を充てる。これまでは緊急総合経済対策に基づいて国からの交付金を活用するケースが多かったが、今回は市単独での景気対策と位置付けられる。

 一般会計分では、道路の新設舗装(予算額7500万円)のほか、公園の環境美化(3300万円)として市内の街区公園、児童公園での草刈りの発注を予定。東日本大震災関連では大手町、若松町などで街路樹が津波で浸食したことを受け、街路樹を新たに植栽する(1700万円)。

 五稜郭公園では郭外のコンクリート製転落防止柵の腐食が進んでいることから木製の柵に入れ替える(6500万円)。2カ年かけて行い、本年度は全体の半分程度で行う考え。

 特別会計は椴法華港の船揚げ場の軌道補修(1000万円)を実施する。水道や公共下水道整備では配水管の敷設作業やマンホールの補修作業を1億円分盛り込んでいる。

 予算が議決され次第発注する方針。市財政課は「高度成長時代に整備した設備が多く、少しずつ手入れをしながら景気浮揚につなげていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎ソウル便 再開要請へ…工藤市長ら韓国へ出発

 東日本大震災の影響で運休が続いている大韓航空の函館―ソウル(仁川)間の定期便の早期運航再開に向け、函館市の工藤寿樹市長らが21日、韓国でのトップセールスに出発した。23日までの2泊3日の日程で、ソウル市内の大韓航空本社のほか、8月にも姉妹都市提携を予定する高陽(コヤン)市などを訪れる。

 同路線は震災に伴う福島第1原発事故の影響で、5月の大型連休期間を除き、3月22日から運休中。今月16日にはこれまで8月末までとしていた運休期間を10月27日まで延長した。今回は函館観光の安全性をPRし、風評被害を払拭(ふっしょく)しようと、緊急的に訪韓を決めた。

 一行は工藤市長をはじめ、函館商工会議所の松本栄一会頭や函館空港ビルデングの木村孝男社長ら7人。羽田経由で韓国入りし、22日に大韓航空本社の役員らと会談するほか、高陽市では8月で調整中の姉妹都市提携に向けた具体的な話し合いを進める。

 出発前、工藤市長は函館新聞の取材に対し「函館が既に震災から復興し、安全であることを現地でPRし、ソウル便の早急な再開を要請したい。8月の高陽市との姉妹都市提携についても詰めの協議を行いたい」と話した。一行は23日午後に函館に戻る。(森健太郎)


◎藤田さん 全国2位…「この花コンテスト」アレンジメント部門

 浅水フラワーガーデン(函館市昭和2)のフラワーコーディネーター藤田優花さんが、フラワーギフトのアレンジ技術を競う「この花コンテスト」(イーフローラ主催)アレンジメント部門で全国2位に輝いた。このほど賞状が手元に届き、喜びをかみしめている。

 全国大会では地区ブロック予選を勝ち抜いた8人のファイナリストが競った。同団体ホームページに作品写真を提示。全国のイ―フローラ加盟参加店1300店とネットからの一般投票で約1カ月間をかけて実施した。

 藤田さんは家族へ贈る花≠コンセプトに「エスぺランサ〜希望のランタン〜」を制作。自らが一番好きな花というサンダーソニアをメーンに、家族への感謝の思いを込めたという。

 投票結果や順位は2月に知らされたが、東日本大震災発生の影響もあり、表彰の盾の送付が大幅に遅れた。いざ手元に届いて藤田さんは「震災により命について色々考え、改めて花のパワーを感じた。喜びも悲しみも、花はいつも人のそばにある。これからも花の力で人の心を癒やしていきたい」と話す。

 現在は社長である父・春雄さん、専務の母由紀子さんを助け、店を盛りたてる日々。「親子だからこそ厳しさは容赦がない。追いつくのは難しいですね」と藤田さん。今回の大会では全国各地のプロ仲間と交流し、刺激を受けた。「尊敬する両親のように、技術と感性を磨いて誠実に花と向き合っていきたい」と晴れ晴れとした笑顔を浮かべていた。(堀内法子)


◎太平洋マイカ調査 昨年同様「来遊まだ」

 函館水産試験場(函館市湯川町)が21日発表した道南太平洋側のスルメイカ(マイカ)漁場調査結果によると、青森県下北半島東沖で漁獲されたが、函館市木直沖と日高管内浦河沖はともに捕れなかった。最も多く捕れたイカの胴長(サイズ)は12センチ(昨年11センチ)。同水試調査研究部の沢村正幸研究主任は「昨年同様に道南太平洋側では来遊がまだ見られていない」と話している。

 マイカは7月以降、太平洋側を北上してきた群が道南に到達、漁獲される。調査は釧路水試の調査船「北辰丸」(216トン、イカ釣り機6台)が今月14〜17日に行った。

 調査3地点のうち、下北半島東沖では6匹が漁獲され、イカ釣り機1台1時間当たりの漁獲尾数は0.2匹(昨年0.34匹)。木直沖と浦河沖は漁獲がなかった。3地点平均は0.07匹(同0.13匹)だった。

 魚体の大きさは胴長11〜17センチ(同8〜12センチ)。昨年見られた10センチ以下の小型は漁獲されず、昨年見られなかった15センチ以上の個体があった。これとは別に釧路水試が行った、より南側に位置する道東太平洋の調査では、昨年より大型の個体が多かった。

 イカの分布目安となる水深50メートルb水温は、下北半島東沖で9.9度(同10.7度)と昨年を下回り、木直沖で7.3度(同6.3度)、浦河沖で7.4度(同7.2度)とそれぞれ昨年を上回った。海域全体の水深50メートルの水温は浦河近辺沿岸を除き、昨年と同程度となった。

 しばらくの間は日本海側が漁場の中心。函館市市場課によると、漁解禁日(今月1日)から20日までの市水産物地方卸売市場(豊川町)でのマイカ取扱量は42トンで、前年同期の約3割。マイカ全体の平均市場価格は1キロ当たり444円で、昨年より74円高い。捕った後に船の生けすで生かしたまま港まで持ち帰る「生けすイカ」は同712円で、昨年より132円安く、魚体が小さいことが影響しているとみられる。 (山崎大和)