2011年6月25日 (土) 掲載

◎児童集めた義援金 海を越え函館に ハリファクスから寄付

 地球の裏側から熱いエール—。函館市の姉妹都市・ハリファクス市(カナダ)の子どもたちから、24日までに東日本大震災の義援金が市に届けられた。現地の小学校3年生が震災を知り、フリーマーケットを開いて集めた約6万円を寄付した。

 きっかけは2009年9月、函館・ハリファクス協会の山崎文雄会長と妻の暁子さんが同市のプロスペクト通り小学校を訪れ、3年生を対象に函館や日本のことについて話したこと。その経験を覚えていた担任のサンドラ・ローリー教諭と、現在受け持つ3年生23人が「被災した函館の子どもたちや家族に義援金を送ろう」と計画した。

 子どもたちは5月、校内でフリーマーケットを開催。父母の協力を得て焼いたケーキや家の不用品などを持ち寄ったり、休み時間にもケーキを販売するなどして義援金を集め、現地のハリファクス函館友好協会(トマス・トラッペンバーグ会長)に寄付を申し出た。

 同協会から連絡を受けた山崎夫妻らがこのほど、市に義援金688カナダドルを手渡した。市は工藤寿樹市長名の感謝状を贈り、ローリー教諭のもとに届けられた。

 山崎夫妻は子どもたちに絵葉書や観光パンフレットを贈るなどの交流を続けてきただけに、喜びもひとしお。「子どもたちが自主的に活動してくれたことがうれしい。函館を思う気持ちが伝わってくれれば」と話している。(千葉卓陽)



◎椅子に座るだけで筋力アップ! 函館発健康器具「アピュア」開発

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)と健康器具メーカー「パテントワークス」(同、笠井文雄社長)などは、椅子に座ったまま体幹筋力を鍛え、美しい姿勢を身に付けることができる座面設置型の健康器具「apyua(アピュア)」を開発した。産学官が連携し、筋力や姿勢の維持につながる効果を実験で検証することで、一般的な健康器具と差別化を図った。付属エクササイズDVDを利用すれば、ダイエット効果も期待できるという。

 プラスチック製のアピュアは、座るとグラグラするため正しい姿勢を保とうと、腹や背中、腰回りなどの筋肉の活動を促す。

 同社は、現代人が日常生活で椅子に座っている時間が長いことに着目。家庭やオフィスで座った状態で、手軽に体幹筋力をトレーニング、美しい姿勢をつくるツールの開発を思い立った。笠井社長は「体幹筋力の低下は、姿勢の悪さにつながると言われる。姿勢の悪さは医学的にもさまざまな病気と深い関係があるとされる」と説明。同センター、同社、道総研工業試験場、札幌医科大がタッグを組み、構想から約4年で商品化に成功した。

 開発では、同センターが強度評価を実施。体重90キロの人が使うと想定、132キロの力を10秒間かけ、それを10回繰り返す試験を行ったところ、破損せずに十分な強度があった。さらに最大816キロの荷重にも耐えられることを確かめた。

 同試験場は動作解析を担当。アピュアを使った場合とそうでない場合に体の動きがどう変化するかを調べた。15人がそれぞれ15分間座ってもらい、上半身の前後の傾き具合を測定。アピュアを使わない場合は徐々に猫背のような前傾姿勢になっていくのに対し、使った場合は着座開始時の姿勢を保つことができた。

 札医大は筋活動を解析。腹、横っ腹、背筋にある5部位について15分間の活動量を調べたところ、アピュアを使わない場合は背筋の活動量が最大30%低下するのに対し、使った場合は活動量を維持。腹と横っ腹の下部は筋活動量が高まることが分かった。

 同センター機械電子技術科の村田政隆主任は「アピュアは場所を選ばず、振動や騒音の心配もない。自分の生活リズムの中でトレーニングできるのが利点」と話している。

 同社は昨年10月に販売を始め、これまでに900個を売った。赤、青、オレンジの3色。1個エクササイズDVD付き7980円。全国の東急ハンズ、スポーツ用品店・ヴィクトリアで販売している。特許出願中。

 問い合わせはパテントワークス電話0138・34・7892へ。(山崎大和)



◎子ども条例制定へ本格調査

 函館市は本年度から、子どもたちの健やかな成長を地域全体で支えるための指針となる「子ども条例(仮称)」の制定に向け、本格的な調査に乗り出す。現段階で具体的な制定時期は決まっていないが、本年度は先行して条例化した他都市の事例を視察し、盛り込む内容を精査する考えだ。

 国内各都市では一般的に、1989年に国連総会で採択され、日本が94年に批准した「子どもの権利条約」の理念に基づき、いじめや虐待防止に向けた施策指針などを盛り込んでいる。道内では、道や札幌市、十勝管内芽室町、幕別町、空知管内奈井江町で制定されている。函館市福祉部によると、同市と同規模の中核市では東大阪、尼崎、岐阜で実施している。

 市はこれまで、制定済みの都市については制定後の子供をめぐる環境の変化や、未制定の都市が制定しない理由などを調査してきたが、4月に就任した工藤寿樹市長が同条例の制定を政策に盛り込んだ。

 補正予算案では関係経費20万円を計上し、6月末開会予定の定例市議会に提案する。同市長は「虐待やいじめ防止への啓発を中心に、地域としていかに子どもに関わるかを定められれば」と話す。

 市子ども未来室は「調査は議決を経てからになるが、現段階では関東地方を中心に、2カ所ほどを視察したい」とし、「子どもの権利だけにとどまらず、健全育成など視野を広げて取り組みたい」と話している。(千葉卓陽)


◎佐藤陽子さん「幸せペインティング」個人部門で大賞

 函館市でトールペイント教室「アトリエSunシュガ—」を開く佐藤陽子さん(61)が、トールペイント専門店(本社千葉県)のアシーナが主催する第一回「幸せペインティング大賞2011スプリング」の個人部門で「幸せペインティング大賞」を受賞した。このほど賞状が佐藤さんの手元に届き、喜びをかみしめている。

 トールぺイントはヨーロッパから広がった伝統的な図案から、自由な発想で描くものまで幅広い。時計、家具など身の回りのさまざまな素材にアクリル絵の具などを使ってペイントしていく。一回目となる今回は、9つの規定素材から1つを選び、テーマは自由。「楽しい、元気が出る、面白い」が伝わる作品を重視し、全国から個性あふれる作品が集まった。

 「遊び心あふれる楽しい絵を描くようにしている」と話す佐藤さんは、応募紙を目にした時、自分の作風にぴったりだと直感。パリコレの華やかな世界をイメージし、うさぎ年にちなんだ「ラビィッ・コレ」を制作した。中心に描いたウサギの新婦のチュールやドレスを色の濃淡さからふんわり感、透明感を表現。華やかなものやシックな洋服に身を包むウサギたちは、幸せいっぱいの笑顔を浮かべ、楽しげな様子が作品から伝わってくる。

 佐藤さんは「自分のイメージ通りの作品に仕上がるかは顔の表情や細かな部分で決まる。色の濃淡、服のデザインなど細かな部分が難しかった」と振り返る。その上で「描きたいものが次々頭に浮かぶ。挑戦したい絵柄もたくさんある。見た人が心を癒し、和んでもらえるような作品作りを今後も続けていきたい」と今秋の作品展に向け意気込みを新たにしている。(平尾美陽子)


◎住警器 普及率足踏み 函館市内75%

 6月1日から全ての住宅に設置が義務化された住宅用火災警報器(住警器)の函館市内の普及率が、5月末現在で推計75・1%にとどまっていることが市消防本部予防課の調べで分かった。3月末現在から10・8ポイント増と伸び悩む格好で、同本部では新たにチラシを作製して粘り強く設置を呼び掛けていく。

 今回の結果は、消防職員が前回調査で未設置だった世帯を対象に4、5月に実施した戸別調査で分かった。

 普及率の伸び悩みについて「火災が起きるはずがないと考えていたり、単純に無関心であったりしている人が依然として多いのでは」と同課。ただ「調査後に取り付けた世帯も多いのでは。実際にはもっと数字は高くなっているはず」とみている。

 同課によると、住警器のおかげで大事に至らなかった市内の今年の奏功事例は約半年間で11件。昨年1年間の14件を上回るペースで、「(住警器の)普及につれて一命を取り留める人が増えた証し」と強調する。

 そこで今回、こんろの火を消し忘れた人が警報音に気付き難を逃れるなど、奏功事例を表面に掲載したチラシを作製。町会・自治会で回覧板に入れてもらうほか、街頭啓発やイベントなどの機会でもPRしていく。

 今年の火災死者数は23日現在で4人。いずれも住警器のない建物での火災で、このうち3人が高齢者だった。同課は「6月にも70代男性が1人亡くなっている。お年寄りの世帯に限らず、未設置世帯は早く設置を」と話している。(長内 健)