2011年6月27日 (月) 掲載

◎車いす利用者に絶景を…ボランティアら仁山登山

 【七飯】車いす利用者がボランティアのサポートで山を登る「車いす登山」が26日、七飯町内の仁山で行われた。車いす利用者6人を含め学生や高校生ら約190人が参加し、登山を通した交流を楽しんだ。

 北海道難病連函館支部などがつくる実行委が主催。同登山は1995年に駒ケ岳で試験的に行ったのが始まり。その後、駒ケ岳が噴火したため一時休止していたが、99年から仁山で再開し、今年で11回目。昨年は口蹄疫の影響で中止したため2年ぶりの開催となった。

 登山道のスタート地点に集合した参加者は6グループに分かれ、車いす利用者1人につき約20人がサポートした。車いすにけん引用のさらしのロープを取り付けた後、頂上付近の広場を目指して順番にスタート地点を出発。車いすを押す人、ロープを引っ張る人と役割分担をしながら山道を登った。ボランティアで参加した市立函館高等看護学院2年の小笠原梨紗さん(19)は「皆と協力して車いすの人を安全にサポートできるよう頑張りたい」と意気込みを語って登山口を後にした。

 車いす利用者で、毎回参加している同町内の池田伸二さん(39)は「人とのふれあいを感じながら山に登れることが何よりも楽しい」と話していた。(鈴木 潤)



◎農水産物のビジネスマッチング9月実施…函館市

 函館市は一次産業の活性化に向け、農水産物の生産者と地元の加工業者や飲食店を結び付ける「ビジネスマッチング」を、ことし9月にも実施する方針だ。生産者が農水産物を加工し、商品化する場合の試作品開発を支援する事業と合わせて行う考えで、市農林水産部は「生産者の所得増加と、地場産品の高付加価値化を目指したい」と話している。

 マッチングは、生産者と市内の加工業者や小売店、飲食店との情報交換の場を設け、地場でどんな作物が採れているかを知ってもらい、ニーズを掘り起こす目的。加工業者や飲食店には新たな加工品や料理の開発、生産者にとっては販路拡大と、両者ともにメリットがある関係づくりを目指す。

 市は水産物、青果物の市場を抱えているが、いずれも地方卸売市場で、産品が道南圏域以外に流通しづらいのが難点。同部は「地場産品の販路開拓や高付加価値化にはこれまでも取り組んできたが、成果が見えづらい。生産者自らが値段を決める場面もない」(企画調整課)とし、生産量が少なくても、産品の価値を見いだして地元で高く買ってもらえるための方策として実施したい考えだ。

 また、生産者が自ら加工品を作るにあたり、試作品の開発や生産経費などに対し、500万円を上限に補助金を支給する。起業家を支援する目的で行っている「チャレンジ補助金」の手法を取り入れたもので、7月と11月の2度に分けてアイデアを公募する方針。11月の公募については「(9月に行う予定の)ビジネスマッチングの成果が表れてくれれば」(同課)と期待する。

 30日開会予定の定例市議会に、関係予算1040万円を提案する。同課は「一次産業が魅力ある産業にならないと後継者も育たない。ほかの産業にも波及する形で進めていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎多彩な催しにぎわう…どんぶり横丁6周年記念感謝祭

 函館朝市どんぶり横丁市場(函館市若松町)のリニューアル「6周年記念感謝祭」が26日、同市場正面特設会場で開かれた。日ごろの感謝の気持ちを込めるとともに、東日本大震災の津波被害からの復興を発信しようと、海鮮どんぶりなどを500円で提供するワンコインセールなど多彩な催しでにぎわった。

 函館朝市第一商業協同組合(井上敏広理事長、20店)の主催。同市場は2005年4月に新築オープン。周年イベントは5周年の昨年に続いての開催で、津波被害から復興した元気な姿を市民や観光客にアピールする狙い。

 開会式で、井上理事長が「風評被害でお客の少ない状況が続いているが、元気を出そうと、いろいろな催しを企画した。一日存分に楽しんで」とあいさつ。ワンコインセールは市場内11店舗で実施。各店自慢のどんぶりなどが500円で味わえるとあって、午前7時の開始から混雑した。

 このほか、会場ではブラスバンド演奏やYOSAKOIソーラン演舞、フリーマーケット、キッズダンスなど多彩な催しを展開。同市場内での買い物1000円ごとに参加できる抽選会では、タラバガニなど豪華景品が当たり、来場者を喜ばせた。景品が当たる模擬釣り堀大会にも多くの子供たちが参加、楽しいひとときを過ごした。(山崎大和)


◎防災と環境考える…ユニバーサル映画祭 最終日にシンポ

 【七飯】第6回北海道ユニバーサル上映映画祭七飯上映会(同映画祭実行委主催)は26日、七飯町文化センターで最終日を迎え、映画作品の上映と「シアタートーク」と称したシンポジウムが行われた。

 シンポジウムでは、同町大沼在住で室蘭地方気象台の元気象予報士の明石秀平さんが司会を務め、中宮安一町長とNPO法人南北海道自然エネルギープロジェクトのピーター・ハウレット代表が「バリアフリーの視点から環境・防災を考える」と題してそれぞれ意見を発表。

 中宮町長は同町が活火山の駒ケ岳を有することから日ごろから自主防災組織の必要性を強調し「町内会単位で組織をつくり、防災訓練をしてほしい」と呼び掛けた。

 ハウレット代表は、産業革命以降、先進国を中心に排出される二酸化炭素で地球上の温暖化が進み、自然環境や生態系に悪影響を及ぼしていると警告。二酸化炭素を排出しない自然エネルギーへの転換と省エネを訴えた。

 また、前日のワークショップで防災や環境にかかわる発表をした七飯高校と七飯中学校の生徒が中宮町長に発表の内容を提言書として手渡した。

 客席からも意見や質問が寄せられ、3月の東日本大震災による福島第一原発の事故で福島県鮫川村から函館市に自主避難した女性が「原発はもういらない」などと切実な思いを訴えると共感の拍手が沸き起こった。

 同上映会は2日間で約300人が来場。同実行委の島信一朗代表は「防災と環境について考えた意義深い上映会だった」と話していた。(鈴木 潤)