2011年6月3日 (金) 掲載

◎鯨族供養塔 きれいに…西中生徒ら清掃活動

 函館市弥生町にある「鯨族供養塔」で2日、清掃活動が行われた。同塔向かいに位置する西中学校(内城明良校長、110人)の生徒や市の職員、水産関係者などが参加。雑草を刈るとともに、クジラの像を丹念に磨き上げた。

 函館水産連合協議会(石尾清廣会長)が主催し、今年で7回目。同協議会では2004年に調査捕鯨船「日進丸」が函館に初寄港したのを機に、毎年クジラを供養する慰霊祭を行っている。今年は9日午前10時から同市船見町の称名寺で行い、それに合わせて同塔の清掃活動を実施した。

 この日は、市民グループ「よみがえる箱館丸の会」の澤田石久己代表の同塔の歴史や設立経緯などの説明から始まった。「函館は幕末からクジラとの縁が深い。同塔は、道南近海で捕獲されたクジラ類の供養を目的に1957年に建てられた」などと話した。その後、軍手やカマを手に、生徒らは和気あいあいと清掃活動を行った。

 参加した高谷一生君は「地域のボランティア活動に参加でき、なんだか新鮮な気持ち。貴重な文化財をこれからもきれいに保っていきたい」と述べた。(平尾美陽子)



◎イカール星人も震災で活動自粛

 東日本大震災の影響で、函館市の観光PRキャラクター「イカール星人」が“活動自粛”を余儀なくされている。震災の発生以降、市が保有する着ぐるみが登場する機会はないが、市ブランド推進課は「復活に向けて準備を進めている」と話しており、自粛ムードが落ち着くタイミングを見計らって再登場することになりそうだ。

 イカール星人は2008年、市の新たな観光PRの試みとして、動画投稿サイト「ユーチューブ」に登場したのが始まり。観光名所や市役所を次々と破壊し、五稜郭タワーが変身したロボットと戦う破天荒な内容が全国的な人気を集めた。現在までに関連映像8作品を同サイト上で公開しているほか、09年には着ぐるみも登場し、今や観光PRになくてはならない存在だ。

 ただ、街を破壊する映像のイメージもあって、市は震災以降、各種イベントで着ぐるみの投入を控えている。同課は「街の破壊がテーマではなく、あくまでも観光PRが目的だが、時宜は得ていない」と話す。

 市の昨年度の観光客数は約458万人で、前年度からは持ち直した一方、震災の影響が収まらない中では本年度の苦戦が必至なだけに、イカール星人は欠かせないアピール手段。同課は「着ぐるみに対する引き合いは多く、適当な時期が来たら必ず復活させる。映像作品の新作も用意している」と意気込んでいる。(千葉卓陽)



◎豊漁願い初出漁…イカ漁

 道南海域のスルメイカ(マイカ)漁が1日解禁され、初日は強風のため出漁を見合わせた函館市漁協の函館小型いか釣部会(佐藤豊次部会長、部会員25人)は2日、函館漁港(入舟町)から今季初出漁した。今季は低水温による魚群の北上の遅れや、漁船の燃油高騰など厳しい漁業環境の中、漁師は豊漁と魚価安定という願いを込めて出漁。この時期の好漁場は松前沖で夜にかけて漁が行われ、3日早朝に初水揚げされる。

 スルメイカは道南の夏を代表する水産物。新鮮な刺し身は、身が透き通っていてコリコリとした食感が市民や観光客の舌をうならせる。盛漁期には漁船の漁火(いさりび)が津軽海峡に瞬き、函館の夜景に彩りを添える。

 同部会のイカ釣り漁船は25隻。5月28日に同漁港で大漁祈願祭を開き、今季の操業に備えた。

 2日は午前10時すぎを皮切りに正午ごろまで続々と出漁。漁場となる松前小島付近までは省エネ¢枕sにより約6時間をかけて到着。午後6時ごろから同11時半ごろまで漁を行った後、翌日の午前4〜5時ごろに帰港する。この日は出漁に先立ち、函館海上保安部が漁船に対し火災事故防止を指導した。

 男性漁師(62)は「本州の日本海側での漁がいまひとつのようで、松前沖も当てにならない。商売にならないのなら、燃料代も高いので漁を休む。たくさん取れて良い値が付いてほしい」と話していた。

 函館水産試験場が先に発表した日本海スルメイカ北上期調査結果によると、松前沖から秋田県男鹿半島沖にかけての分布密度は2001年以降で最も少なく、魚体の大きさも昨年や過去5年平均に比べ小さいとしている。漁期は来年1月末まで。  3日午前5時半から、函館市水産物地方卸売市場(豊川町)で初せりが行われる。(山崎大和)


◎不信任案否決「菅首相退陣時期が焦点」…道南各政党の反応

 菅直人首相が2日の民主党代議士会で、東日本大震災の対応に一定のめどがついた段階での退陣を表明したことを受け、野党3党が共同提出した内閣不信任決議案は反対多数で否決された。早期の解散総選挙は回避された形だが、菅首相の退陣時期をめぐる混乱は避けられない。道南の各政党関係者は今後、政情がさらに変化する可能性もあるとみて、動向を注視している。 民主党道8区総支部の平出陽子副代表は「この国難の時期に不信任案が否決されたことは賢明な選択」と話す。ただ、可決、否決にかかわらず党内が分裂することに変わりはないとした上で「今後は菅首相がいつ退陣するかが焦点で、第2、第3と政局が荒れることも考えられる。今回の判断は決してベストではないが、この方法しかなく、ベターな選択だったのでは」とする。

 一方、不信任案可決に持ち込めなかった自民党。党函館支部の浜野幸子幹事長は「菅首相がけじめをつけるとしたことで、形が変わってしまった」と無念さをにじませる一方、「震災の復興のめどとする部分がどの点か、明確ではない部分があり、国民は疑問に思うのでは」とくぎを刺す。同党は道8区支部長が不在で、川尻秀之道議が支部長代行を務める。解散総選挙を見据えた次期支部長(8区公認候補)の選考作業に注目が集まる。

 公明党は自民と共同で不信任案を提出。同党の茂木修函館総支部長は「被災者の支援や復興へのスピード感があまりにも遅すぎる。否決されたが、速やかに退陣し、新たな首相のもとで2次補正予算を組むのが筋」と批判を強める。解散総選挙そのものは望んでいないとしながらも、「今後も混乱が起きることが想定される」とみる。

 また、共産党函館地区委員会の三国武治副委員長は、震災後に宮城県気仙沼市をボランティアとして訪れた経験などから、「大震災の被害は大きく、今は解散総選挙をやる状況ではない。力を合わせて復興に取り組むべき」と主張する。


◎福島町署名600人超…議員定数削減で直接請求

 【福島】町議会の定数を現行の12から10に削減する条例会改正を求め、住民直接請求の署名活動をしていた町民有志は2日、署名集めを終えた。666人分の署名が集まり、6日に町選挙管理委員会に提出する予定。

 住民直接請求は地方自治法に基づくもので、町民有志の代表4人と受任者9人が、5月27日から2日まで町内で署名集めをした。2日現在の町内の選挙人名簿登録者数は4539人。住民直接請求には50分の1(91人)以上の署名が必要で、町民有志は目標を250〜300人としていた。

 町選管では署名を審査した後、縦覧し異議申し立てを受け付ける。有効な署名が必要数に達していた場合、町民有志は条例改正案を本請求することができ、20日以内に町長が議会を招集し、条例改正案を提案。議会で採決する。

 議員定数をめぐっては、議会側が1人減とする条例改正案を決定。6月の定例会に提案し条例改正を行うことになっている。一方、住民懇談会の場などでは住民から10人にするよう求める声が上がっていた。

 署名活動の代表を務める町内の無職、山名連(むらじ)さん(71)は「目標の倍以上の署名が集まり、町民の関心の高さを感じた」と話している。(松宮一郎)