2011年6月7日 (火) 掲載

◎無料クーポン好調 子宮頚がん、乳がんの受診率アップ…昨年度函館市

 函館市の昨年度の女性特有のがん検診の受診率は、子宮頚がんが34・1%(前年度比5・6%増)、乳がんが28・0%(同8・5%増)と上昇した。09年度から始めた無料クーポンの利用がまずまずの伸びを示しており、市立函館保健所は本年度もクーポン券を配布した。有効期限は今月から来年2月28日までで、同保健所は「初期の段階で発見することが大事」と、早めの受診を呼び掛けている。

 同保健所健康づくり推進室健康増進課によると、無料クーポンを使った子宮頚がん検診は昨年度、対象者8055人に対し、35%に当たる2822人(前年度比9・3%増)が受診。乳がん検診も対象者1万1165人のうち3279人(同5・6%増)が受診した。既存検診の受診率は子宮頚がん23・0%、乳がん11・6%でともに前年度を下回ったが、クーポン利用分で補った。

 同課は「10月の乳がん啓発月間で五稜郭タワーがシンボルカラーのピンク色にライトアップされたり、民間による日曜検診などの取り組みが進んでおり、関心が高まった」とみている。

 無料クーポンは乳がんで40〜60歳、子宮頚がんは20〜40歳のいずれも5歳刻みが対象。本年度は乳がんで1万442人、子宮頚がんで7771人に配布した。

 子宮頚がんは16カ所、乳がんは9カ所の医療機関で検診が受けられる。乳がん検診は本年度、3カ所で日曜日の検診を年数回行う予定だ。

 クーポンの利用は例年、有効期限終了前の2月に受診者が集中しており、昨年度は子宮頚がん847人、乳がんは815人が2月に受けた。医療機関が込み合って受診できない場合も想定されるため、同保健所は「受診者が終盤に集中しないよう、女性の多い職場での周知やフリーペーパーでの呼びかけを図っていく」と話している。(千葉卓陽)



◎低温、降雨で作業、生育に遅れ…渡島、桧山の農作物

 渡島総合振興局と桧山振興局は6日、1日現在の渡島、桧山管内の農作物生育状況と農作業状況を発表した。雨が多かった4月下旬〜5月上旬に加え、5月中旬以降も低温や断続的な降雨の影響で、作業が遅れ、生育もずれ込んでいる。今後の天候回復により平年並みに回復できる見込み。

 前回調査(5月15日現在)でも、降雨や低温の影響で作業、生育ともに遅れが出ていた。

 水稲は、渡島は断続的な降雨により移植前の準備作業が遅れ、田植えは平年より3日遅れで、進ちょく率82%。移植後の活着も3日遅れとなっている。草丈14・0センチ(平年13・8センチ)、葉数3・3枚(同3・7枚)、茎数112・1本(同105・7本)。桧山はジャガイモの植え付けと競合したため、移植が4日遅れ、進ちょく率59%。活着も3日遅れ、草丈12・7センチ(同13・7センチ)、葉数4・3枚(同4・5枚)、茎数98・0本(104本)。

 ジャガイモは、植え付けが終わった渡島は萌芽が平年並み。桧山は降雨で露地の植え付けが20日遅れ、進ちょく率95%。マルチ栽培は萌芽が10日遅れている。

 ビートの生育は、渡島が平年並み、桧山が10日遅れ。牧草は渡島が2日、桧山が3日の生育遅れ。家畜用トウモロコシも播種(はしゅ)作業が渡島で3日、桧山で10日遅れており、渡島は出芽が3日遅れ。

 渡島のリンゴは開花直後の低温により生育は4日遅れ。桧山の大豆は降雨で播種作業が10日遅れていて、小豆はまだ播種が始まっていない。秋まき小麦は4日の生育遅れとなっている。

 渡島総合振興局農務課は「この1週間は好天で気温も上がる予報なので、作物の成長が期待できる。好天が続くことを願いたい」としている。(山崎大和)



◎「江差DADEMEカレー」レシピ完成

 【江差】新たなご当地グルメ≠フ開発に取り組む江差観光コンベンション協会(打越東亜夫会長)は6日、江差場産の野菜や魚介類を生かした、オリジナルのカレーライス「江差DADEME(だでめ)カレー」のレシピを完成させた。早ければ15日から町内の飲食店で提供を始める。

 桧山管内7町や観光協会で組織する桧山広域観光推進協議会は、観光客の入り込み増加や地域活性化の起爆剤となるご当地グルメ≠フ開発に取り組んでいる。桧山ならではカレーライス作りも活動のの一環。各町自慢の地場産品を生かしたカレーライスのメニュー化を目指している。

 江差町では同協会が、野又学園函館短大付設調理師専門学校の協力を受けて、季節の貝類、イカリング、アスパラガスなどをトッピング。ルーには江差らしいイカスミも添えたカレーのレシピを完成させた。今回は旬のエゾバカガイ(アオヤギ)とツブ貝を活用。名前には「とてもおいしい」という意味がある江差の方言「だでめ〜」を冠した。

 同協会は、地場産の陶石を使った陶器作りを行う、江差陶石研究会の協力で、オリジナルのカレー皿も製作するという。打越会長は「7町独自のユニークなカレーが誕生する。今後は7町のカレーを食べ歩くツアーも検討していきたい」とする。(松浦 純)


◎長江さん啄木の歌集出版

 国際啄木会会員で、八雲啄木会会長を務める八雲町本町の自営業長江隆一さん(72)がこのほど、歌集「帰って来た啄木〜100回忌に寄せて〜」を自費出版した。今年、百回忌を迎えた石川啄木(1886〜1912年)が今、函館に帰ったとしたら、何を語り、何を歌うかを長江さんの視点で詠んだ627首を収録。長江さんは「啄木の人生回顧、函館への思いを、時にはユーモラスを交えて詠んでみた」と紹介している。改行 長江さんは啄木の墓が函館にあることに興味を持ち、約30年前から啄木の人となりを中心に研究を始め、これまで、函館市文学館などで啄木について講演をしたこともある。

 昨年7月、八雲啄木会で短歌の指導をする教材にしようと、さまざまなことを題材にして作品をしたためたところ、作家の新井満さんが啄木の墓参りをし、啄木と会話を交わした話を思い出し、「思えば、来年は啄木の没後100年。啄木に函館へ帰ってもらい、歌を作ってもらったらどうなるだろう」と考え、啄木に関する歌に切り替えた。今年3月までに約1000首詠んだという。同会会員から勧められ、本にまとめることとした。

 歌集は全6章。人生を総括する「わが人生思いのままに駆け抜けし短かく終われど今は悔いなし」「我が歌のわかり易さが評価さるされどかの時軽視されたり」などの「我が人生」から始まり、函館時代を振り返り、現在の函館の様子を見た「函館の桟橋近くの倉庫群かの時のまま今も残れる」「今に聴く『昭和』といえるその時代(とき)にかの日を凌(しの)ぐ火災ありし日を」などの「北へ」に続き、「さすらい」「帰郷(1、2)」「上京」「東京追想」とまとめた。

 長江さんは啄木の魅力について「日記をつけるような分かりやすい歌で、過去の概念にとらわれない、自分の世界を切り開いたこと」と話す。自身の本も日記調のようになっている。「私もほかの人が作らないような短歌で本にしたつもり」と笑顔で話している。

 A5判並(15×21センチ)判、151ページ。150部を発行。希望者は長江さんTEL0137・62・2019まで。(山崎純一)


◎10年度のエゾシカ捕獲数533頭…渡島管内

 渡島総合振興局は6日、2010年度に同振興局で登録した狩猟者(ハンター)によるエゾシカ狩猟捕獲数(暫定値)を発表した。管内の捕獲数は前年度に比べ約19%増の533頭で、06年度以降、毎年増加。同振興局環境生活課は「管内でも間違いなく個体数が増えている」とみている。

 同振興局によると、10年度の可猟期間は10月23日〜11年3月27日。10年度に登録した狩猟者数は前年度に比べ約3%減の289人(網猟0、わな猟23人、第一種銃猟265人、第二種銃猟1人)。管内捕獲数は533頭(雄269頭、雌264頭)で、管外は308頭(雄107頭、雌201頭)となった。

 管内捕獲数は、渡島がエゾシカ可猟区になった05年度333頭で、06年度256頭といったん落ち込んだが、その後は07年度317頭、08年度380頭、09年度448頭と増加傾向を示していた。10年度捕獲数の内訳は函館市316頭、知内町107頭、森町42頭など。

 同課は「エゾシカライトセンサス調査のカウントが増えているほか、森林被害や交通事故件数の増加も報告されている。管内でも生息数が増加している可能性が高い」としている。(山崎大和)