2011年6月8日 (水) 掲載

◎バラのジャム 今年も自信作 にしむらバラ園 開花期迎える

 【北斗】市清川747の「にしむらバラ園」(西村和益社長)のハウス内で栽培しているさまざまな色や形のバラが開花期を迎えた。2007年から販売を始めた「ローズジャム」の加工も始まり、西村令子さん(61)は「今年もきれいな色と香りが楽しめる自信作ができました」と話している。

 同園では無農薬、有機農法でさまざまな品種のバラを栽培。ジャムは4年前から1瓶1050円で販売を始め、ヨーグルトや紅茶に入れて楽しむ「ローズソース」も製造している。市内の喫茶店でも取り扱うなど、年々、評判が広がっているという。

 今年も5月下旬から加工を始め、25種類のバラの花びらとグラニュー糖、レモンで煮込んだ。令子さんは「満開のいい時期に花びらを摘み取っている。濃いめのピンクの花びらを使うことできれいな色になる。味も良くできました」と自信作だ。

 また、ガーデニングシーズンを迎え、今月中旬以降にはハウス内だけではなく、屋外のバラも開花期を迎える。西村和益社長(61)の独自の交配で生まれた品種も多い。淡いピンクの小ぶりの花がたくさん咲くつるバラの「きらめきの星」や、クリーム色のつぼみから黄色い花が咲き、満開時には花びらの外側が白くなり、長く楽しめる「ローズオブハコダテ」など。

 このほか、「マザーアイ」や「アンヌプリ」、イングリッシュ・ローズの「セントスイザン」などの苗を薦める。和益社長は「耐病、耐寒の品種の苗をたくさん用意しているので、楽しんでほしい」と話している。

 問い合わせは同園TEL0138・73・6272。(今井正一)



◎ジェラート店「ミルキッシモ」台湾で製造販売へ 共同企業設立へ

 イタリア発祥のアイスクリーム、ジェラートの製造・販売を手掛けるミルキッシモ(函館市桔梗、黒川浩二社長、従業員55人)は、台湾の大手商社など4社と共同の企業体を設立し、台湾を足がかりにアジア方面での製造・販売に乗り出す。7日までに全社が基本合意に達しており、21日にも同社が現地視察などを行い具体的な契約内容を詰める。今後1年以内にアジアでの販売場所を数百単位にまで増やし、2年以内にはロシアやアメリカなどに進出して世界の大手企業を目指す。

 同社は2009年に函館の金森赤レンガ倉庫内に本店をオープンさせた。道南の新鮮な牛乳や食材、本場イタリア産のフレーバーなどにこだわった高品質のジェラート約60種類を、季節替わりで数十種類ずつ店頭販売する。現在、五稜郭タワーや新千歳空港、札幌中心部、京都などに6店を展開。海外には10年夏に香港店を置いたが、今後は流通の規模拡大を加速させる。

 現在ある店舗はすべて直営店だが、アジア進出をきっかけにフランチャイズ制を導入。台湾での流通は、大手商社のPEPWOOD(台北市)や、食品メーカーの華福食品(台北県)を通じて行う。新たに店舗を設けるか、コンビニエンスストアなど既存店内で販売するかは未定だが、華福社は夏にも台北市中心部に出店する計画。

 中国への流通は小美グループらと組んで進め、アジア流通商品の製造は将来的に、同グループ内のアイス製造会社・樺美食品(台湾・新北市)が全面的に担う見通し。このほか観光牧場経営のFLYING COW(同・苗栗県)から原料を確保できるか模索する。

 基本合意に至る会合は函館で行われ、各社の社長ら役員が出席した。PEP社は「震災があったが台湾人は北海道のファン。流通面で力になりたい」とし、樺美社は「質の高さや味、見た目は台湾できっと受け入れられる」と期待している。

 合意を受けてミルキッシモは「販路は既にあるのであとは乗せるだけ。将来的には上場も考えており、世界の巨大企業に成長させたい」と強気の姿勢。台湾各社との取引では「心と心が通じるビジネスができると感じた。日本にとって良いつながりとしたい」とする。

 一方の国内では今後、札幌や小樽、大阪、神戸、名古屋、広島などに展開を予定。東京では酒類も合わせて提供するバー形態を考案中だ。(小泉まや)



◎熊石、2014年度から募集停止 道教委の公立高配置計画案

 道教育委員会は7日、2012〜14年度の3カ年の公立高校配置計画案を決定し、同日開いた道議会文教委員会に報告した。渡島・桧山管内では、熊石高校で2014年度から生徒募集を停止し、16年3月で廃校とするほか、函館稜北高で14年度に1学級減らし3学級とすることが盛り込まれた。7月中旬に渡島、桧山など道内各地で地域別検討協議会を開き、9月の成案を目指す。

 道教委の指針では1学年3学級以下の小規模校が原則として再編成の対象で、2学級以下の場合も中学卒業者数や学校規模、欠員状況、地元からの進学率、地域の同一学科の設置状況などを総合的に勘案し、順次再編成を進めていく。

 本年度の計画案によると、14年度の道内の中学卒業者見込み数は4万7460人で、12年度から3年間で1318人減少する見通し。渡島管内でも131人減、桧山管内でも11人減と、減少傾向が続くと予想される。

 熊石高校は現在1学年1学級のみで、本年度の入学者は11人。今後も熊石地域で中卒者の増加は見込めないとして、募集停止の対象となった。道教委は「熊石地域は実家からバス通が可能な江差高校への進学率が高く、親元を離れて函館市内に下宿し、高校に通う生徒も多い。このことから、募集停止を判断した」と説明している。

 また、本年度入試で第2次募集後の入学者に1学級相当以上の欠員が出たため、1学級減となった松前高校と森高校は、地域の中卒者数などを勘案すると従来の学級数を見込めるため、12年度は募集学級をそれぞれ2学級、4学級に戻すことが決まった。

 ▽特別支援学校配置計画案

 道教委は同日、2012年度の公立特別支援学校配置計画案を公表した。

 道南では七飯養護学校の普通科(重度)が1学級増、函館養護学校の普通科(重複)が1学級減となった。(堀内法子)


◎函館市議会 2010年度 政務調査費使用率33・8%

 函館市議会は、2010年度の政務調査費支出報告書を公開した。全7会派(1人会派を含む)の交付額に対する使用額の割合は33・8%で、前年度に比べ16・7ポイント減少した。改選を翌年に控えていたことから、視察調査などを手控えしたことが要因とみられる。

 政務調査費は、議員の調査研究に必要な経費の一部として市が各会派に交付する。議員1人当たりの交付額は06年度から議会改革の一環として1人当たりの月額を2万円引き下げており、現在は月額5万円。使用した政務調査費は1円から領収書を貼付し、市に報告している。

 昨年度の総交付額2010万円に対し、使用額は679万5489円。使われなかった額は1330万4511円で、市に返還された。

 1人会派を除く旧各会派の使用率は、新生クラブ(10人)が30・54%、民主・市民ネット(9人)は24・39%。市民クラブ(6人)は42・93%、公明党(5人)は9・03%、共産党(4人)は59・73%。公明党は01、04年度分の使途をめぐる訴訟が起きたことを受けて07年度から使用を自粛していたが、01年度分の訴訟に関し、昨年9月に差し戻し高裁審判決が出され、裁判が終結したことで、同10月から使用している。

 支出別では、コピー機やパソコンのリース代、人件費などの事務費や、法令集や判例集などの資料購入費、視察や研修に使う研究研修費や調査旅費などがある。このうち研究研修費では、第48回地方自治経営学会出席(東京)、地方議会議員研修会出席(東京)、議会改革シンポジウム出席(札幌)など。

 調査旅費は5件と少なく、富山型デイサービスおよび自転車市民共同利用システムの調査(富山)、東北新幹線全線開業に伴う新青森駅の状況調査(青森)などがあった。

 収支報告書は30日まで、市役所7階の議会事務局で閲覧できる。(千葉卓陽)


◎災害時の代替路に 日本海沿い道路整備を重点懸案 桧山地域振興協議

 【江差】桧山7町で組織する桧山地域振興協議会(会長・工藤昇上ノ国町長)は、災害時には救援や物流の代替路として期待される、日本海ルートの道路整備を強化するよう、2012年度の重点懸案事項として、国や道への要請活動を強化する。

 3月11日の東日本大震災では、国道5号など噴火湾沿いの幹線道路が、大津波警報の発令に伴い長時間にわたり通行が規制された。噴火湾沿いには、噴火の懸念がある駒ケ岳があるほか、台風や集中豪雨による土砂災害で交通が途絶するケースも少なくない。

 国道5号にかかる八雲町の野田生橋は、1997年や2009年などの集中豪雨でたびたび通行不能に。道央と道南を結ぶ交通が途絶状態となり、桧山管内を経由する国道277号、227号、230号などが代替路になった。

 こうした現状を踏まえ、同協議会は、将来予想される地震や火山噴火に伴い、交通網が遮断された場合に備え、渡島・桧山両管内を結ぶ、国道や道道の整備促進を強く求めている。桧山管内では、集中豪雨や高波による越波、豪雪などで通行が困難になる道路も多く、桧山管内が陸の孤島≠ニなる懸念は根強い。救急車両が函館を中心とする3次医療圏に傷病者を速やかに搬送するためにも、道路の安全性向上は急務とする。

 工藤会長は「渡島半島を東西に横断する道路は災害時に力を発揮する。日本海ルートの安全な通行を確保することで、本道全体の防災力や物流の安定性を高めることができる」と強調している。(松浦 純)