2011年7月12日 (火) 掲載

◎黒々 天然コンブ輝く 漁始まる

 函館市恵山地域を皮切りに、渡島東部沿岸の天然コンブ漁が始まっている。陽光に輝く黒々としたコンブを漁師が水揚げし、浜は活気づいている。

 えさん漁協(高島武俊組合長)管内では、今月5日に漁が解禁され、古武井地区が6日、尻岸内地区が11日から採取を始めた。「三石(みついし)昆布」で、非常に柔らかくなり味も良いのが特長だ。

 コンブ漁は、海が穏やかで透明度が高い晴天の日に行われる。夜明け前から漁師の代表がその日の条件を見極め、出漁、中止を判断する。

 11日が初日となった尻岸内地区では、午前6時半に漁開始を知らせる放送が流れ、十数隻が一斉に前浜に繰り出した。1人または2人で磯舟に乗り、かぎ棒で海底のコンブを手繰り寄せ、豪快に引き抜いていった。「おかどり」と呼ばれるウエットスーツを着てコンブを採取する人の姿も見られた。この日の漁は同10時半まで行われた。

 同市豊浦町の野呂義春さん(72)、セイ子さん(65)夫妻は「長さ、身入りともまずまず。年をとると力仕事は大変」と力を合わせて水揚げしていた。

 同漁協によると、漁は夏が最盛で、10月末まで続く。20日からはマコンブとガゴメ漁も解禁され、同時に採取していく。

 戸井漁協や南かやべ漁協管内でも、今月中旬から天然コンブ漁が始まる。(山崎大和)



◎市功労者に小笠原、菅氏

 函館市は11日、2011年度の市功労者を発表した。更生保護法人函館創生会理事長の小笠原孝氏(81)と、函館機械金属造船工業協同組合連合会会長の菅鉄夫氏(74)の2人で、表彰式は8月1日に市民会館で開かれる。

 市功労者表彰は1939年から始まり、市の教育や産業、福祉、防災などで長年にわたり貢献した公益事業の功労者が対象。工藤寿樹市長を座長とする市表彰審議委員会が6月下旬に選考し、決定した。

 小笠原氏はテーオー小笠原の役員を歴任。「小さな親切」運動函館支部長や道更生保護施設連盟理事を務める。道議3期12年のほか、市体育協会の会長なども務め、地域の社会福祉の向上やスポーツ振興に貢献したことが評価された。05年には法務大臣表彰(更生保護功労)も受けている。

 菅氏は1955年から菅製作所を経営する傍ら、道南機械工業協同組合理事長を務め、地域の製造業の振興発展に尽力。道中小企業団体中央会常任理事にも就き、中小企業の振興にも貢献した。2009年には中小企業振興功労中小企業庁長官表彰も受賞している。

 市功労者はこれまでに個人606人・10団体が選出されている。被表彰者は賞状や記念品のほか、10万円の旅行券が贈られる。(森健太郎)



◎函館大沼プリンスホテル コテージ棟の16日から夏期営業開始

 【七飯】函館大沼プリンスホテル(久松慎一郎支配人)は、プリンスコテージ棟の営業を16日から10月1日まで行う。2008年以来3年ぶりの営業で、同ホテルは「各棟に天然温泉の風呂もあり、この夏は大沼の森に囲まれたコテージで、やすらぎと癒やしのひとときをお過ごしください」と利用を呼び掛けている。

 コテージ棟はホテル棟から約500メートル離れた場所にあり、1978年からに建てられた。利用客の減少に伴い08年夏から閉鎖していたが、問い合わせが多いことなどで夏期営業の再開を決めた。今夏は10棟で行い、来年から65棟での営業を予定している。

 コテージはフィンランドから輸入したマツ材を使っており、広さは47・4平方メートル。リビング・ベットルームとベットルームの2部屋、湯温調整付き天然温泉風呂のほか、洗面台がある。テレビ、冷蔵庫、扇風機、各棟の駐車場も用意されている。宿泊者はホテル棟の温泉「森のゆ」も利用できる。

 定員は1棟4人。1泊料金は7、8月は4万5000円(室料、サービス料、消費税込、入湯税別)、9、10月は3万9000円(同)。食事は別。受け付けはホテル棟のフロントで行い、コテージまでの移動は各自で行う。7月17日から9月30日までは「コテージオープニングモニターご宿泊プラン」として、1泊2万円(同)を設定している(棟数限定。8月11〜14日、休前日は除く)。

 問い合わせは同ホテルTEL0138・67・1111。(山崎純一)


◎復興願い「折り鶴」3万羽

 市立函館高校(日向稔校長、生徒955人)の生徒会(阿部元樹会長)がこのほど、東日本大震災被災地の復興を願った「折り鶴アート」を制作、11日に柳町の同校体育館でお披露目した。平和への思いが込められた3万羽のツルが東北へと羽ばたいた=B

 同校の校章を表したこのアートは、学校祭「第5回柳星祭」の特別企画として生徒会が発案した。生徒が一人ずつ30〜40羽分を折ると、生徒会や学校祭実行委が7月から本格的に準備を開始。一羽一羽を糸でつなぎ、形が崩れないよう白い布に貼り付けた。

 大きさは縦横6メートル。白、青、赤、黄緑の折り紙で200羽の折り鶴を150列に並べた。絵の両脇には、生徒と教員が寄せ書きした被災者へのメッセージや、書道部4人による学校祭のテーマ「共鳴」をしたためた大きな書なども並べた。

 11日は学校祭の閉祭式。吹奏楽部のファンファーレとドラムロールに合わせて作品が現れると、巨大な壁画のような迫力に会場中から盛大な拍手が沸き起こった。

 阿部生徒会長(17)は「『共鳴』というテーマは生徒から函館、東北、そして日本へという思いもある。震災の日から今日で4カ月。皆さんで思いを共有できたはず」と話していた。

 被災者へのメッセージの垂れ幕などは今後、岩手県大船渡市など東北へ贈る予定。(長内 健)


◎縄文文化 翻訳パンフで紹介

 函館の市民団体「ハコダテカルチャークラブ」(中山公子代表)は、縄文文化を物語仕立てで紹介する翻訳パンフレットを完成させた。プロの挿絵を交えて日本語と、英語、中国語、韓国語、ロシア語の5カ国語に対応。10月の市縄文文化交流センターの開館に合わせ、函館に宿る縄文文化を世界に発信する。

 物語のタイトルは「あかちゃんがうまれたよ」。市内南茅部地区の垣ノ島遺跡で、幼くして亡くなった子どもの足形や手形をかたどった「足形付き土版」が出土したことにちなみ、家族の日常生活を通じて命の尊さや、縄文の暮らしぶりを絵本のように伝えるストーリーだ。

 パンフレットはA4判2つ折り。物語の作者は同クラブのメンバーの染木泰子さん(56)、挿絵は函館出身で東京在住のイラストレーター味戸ケイコさん(67)が担当し、翻訳は市内の知人や大学教授らに協力を依頼した。このほど、最新作のロシア語版が完成し、11日には2人が市教委を訪問して寄贈した。

 2人は5カ国語・計4種類のパンフレット計750部を山本真也教育長に手渡し、山本教育長は「縄文文化は学術的な面だけでなく、物語として伝えていくことが大切。温かい絵と素朴なストーリーで子どもから大人まで伝わりやすいはず」と話した。

 パンフレットは市内の高校に教材として配布したほか、10月1日に開館する同センターにも置く予定。同クラブでは絵本として出版する準備も進めていて、染木さんは「物語を通じて世界中の多くの人に縄文の心を届けたい」と話していた。(森健太郎)