2014年10月8日 (水) 掲載

◎中華会館、今夏も公開

 中国・清朝の建築様式で国内最古の建物、函館中華会館(大町1)の特別公開が今夏も始まった。管理する社団法人函館中華会館の陳上梅理事長(82)は「日本に唯一現存する清朝末期の建物。函館の観光に役立てるように、大勢の人に来館してほしい」と話している。

 会館はコンブなど日中貿易で財を築いた函館在往華僑が1910(明治43)年、商業神の「関羽」を祭る「関帝廟(かんていびょう)」として建築。「異国で生きる大変さを乗り越えるため団結した場所。1世紀後に観光施設となるとは、先人は思っていなかっただろう」と陳理事長。

 外観のれんが造りとは対照的に、中に入ると精巧な彫刻、金箔(きんぱく)などの装飾が施された祭壇や美術品、平和の大切さを訴えた書などが展示されている。くぎを1本も使っておらず、漆塗りなどにより黒、朱(赤)、金色に統一されている。2001年には国の有形文化財にも指定されている。

 一般公開は1982年から始まった。建物の老朽化などで05年から公開を休止していたが、08年から夏期に開館している。陳理事長は「今では造ることができない技法の建物。華やかさを見て楽しみ、先人の苦労、100年の年月を感じてもらえれば」と来場を呼び掛けている。

 開館は8月23日までの午前11時〜午後4時半(最終日は同3時まで)。入館料は大人600円、高校生300円、小中学生200円。カメラの写真撮影は受け付けで1000円を喜捨すると許可される。(山崎純一)



◎函館市役所、来月から全面禁煙に

 函館市は8月1日から、市役所本庁舎を全面的に禁煙にする。現在、庁舎内にある喫煙コーナーをすべて廃止。だが、職員の4割近くに上る喫煙者に配慮し、地下1階に煙が外に漏れない「完全分煙」の喫煙所を新たに設ける。全国で公共空間の禁煙・分煙化が進む中、行政が率先して受動喫煙の防止に取り組み、空気もクリーンな市役所を目指す。

 本庁舎は2000年から各階2カ所に喫煙スペースを設け、執務室での喫煙を禁止。07年に1階の正面玄関脇にガラス壁で仕切られた完全分煙の喫煙室を新設した。現在は地下1階と3〜8階に各1〜2カ所、空気清浄機を備えた喫煙スペースがあり、段階的に喫煙者への“包囲網”を狭めてきた。

 市総務部によると、8月から1〜8階の全面禁煙に踏み切る。代わりに地下1階の給湯室奥に、換気扇2台を設置して煙が外に流れ出ない喫煙所を新たに設ける。設置費用は工事費を含めて50万円程度。一方、現行の喫煙所の天井や床に設置していた吸煙機器のリース料が年間で205万円浮くことになる。

 庁舎の禁煙化は03年施行の健康増進法で定めた受動喫煙の防止に加え、昨年2月に厚生労働省が公共施設などを原則禁煙とする通知を各自治体に出したことが背景にある。さらに、厚労省は事業所の全面禁煙や分煙対策を「努力義務」から「義務」に厳格化する労働安全衛生法の改正案を近く提出する予定だ。

 「時代の流れ。来る時が来た」。喫煙スペースで一服中の男性職員は力なくぼやいた。市が09年度に全職員約3000人を対象に実施したアンケート調査によると、回答した約1500人の職員の喫煙率は36・9%に上る。07年度調査の全道平均31・5%、全国平均25・6%と比べても喫煙率が高いのが実態だ。

 市は本庁舎内の「全面禁煙」や屋外の喫煙所設置も検討したが、「大規模改修を伴わず、喫煙者にも考慮した」(総務部)結果、喫煙場所を1カ所だけ残すことを決めた。21日に開く職員安全衛生協議会で管理職らの意見を聴き、今後の喫煙のあり方を検討する。

 市職員厚生課は「職員の健康を考え、『吸えない』のではなく『吸わない』ための職場環境づくりに努めたい」としている。市内の公共施設では市立函館保健所や函館病院、学校などが敷地内を含めた「全面禁煙」を実施済み。道内では旭川市が「完全分煙」で、職員に午前と午後に約2時間の禁煙タイムがあるほか、帯広市は庁舎内を「全面禁煙」とし、屋外の物置に職員用の喫煙所を設けている。



◎ハンドメイド作家・石川さんが雑貨屋オープン

 住宅地にログハウス風の雑貨屋さんがオープン—。函館市在住のハンドメイド作家、石川美幸さん(37)がこのほど、高丘町56に「chocotto shop Alice(チョコットショップアリス)」をオープンさせた。木のぬくもりあふれる店内とかわいい小物が並ぶメルヘン詰まった雑貨屋さんに、近隣の小学生や主婦が多く訪れ、にぎわいを見せている。

 「ちょこっと気軽に立ち寄って、心を和ませてもらえれば」の気持ちを込めて店名をつけたという石川さん。店内には、市内作家のハンドメイド雑貨をはじめ、食器やガーデニンググッズ、アクセサリーなどがずらりと並び、価格は数百円からと手ごろ。外には、不思議の国のアリスに登場するウサギやハンプティダンプティの像、ブランコなどが置かれ、乙女心くすぐるかわいい世界が広がっている。

 出店について石川さんは「昔からかわいい小物を集めるのが好きで、雑貨屋を開いてみたかった。昔からの大きな夢が一つかなった」とし、「アリスの世界をコンセプトに屋根や扉、内装全てにこだわった」と紹介している。屋根は赤色、ドアにはステンドガラス、トランプやウサギの絵柄の雑貨。ゆくゆくは商品の数を増やし、ガーデニングにも力を入れ、アリスのかわいい国を再現したいという。

 石川さんは「ちょっと立ち寄った時、アリスの楽しい世界で心を癒やしてもらえれば」と呼び掛けている。問い合わせはTEL0138・57・4455。(平尾美陽子)


◎函館駅前市有地の活用策を来春にも民間公募

 函館市議会の予算特別委員会は13日、本年度補正予算の経済・建設常任委員会所管分を審議した。市はJR函館駅前の市有地など約6800平方メートルについて、来年4月にも民間事業者から活用策を公募すること明らかにした。本年度中に公募要綱を策定し、工藤寿樹市長が選挙政策で掲げた複合商業施設「子どもおもしろ館」などの整備に着手する。

 この土地は1996年に当時計画していた青少年科学館などの建設用地として、国鉄清算事業団から取得。市が432平方b、市土地開発公社が6352平方メートルを所有する。財政難を理由に建設計画は白紙となり、現在は駐車場となっている。

 工藤市長は2015年度の北海道新幹線開業を見据え、駅前・大門地区の再生を最重要課題に掲げる。駅前のにぎわい創出に向け、子どもたちが職業体験などを楽しめる「子どもおもしろ館」や、さらに年少児向けの「キッズセンター」などの集客施設の建設を打ち出している。

 市は9月にも専門家による「プロポーザル要綱策定検討委員会」を設置。民間の資金やアイデアを活用し、商業施設と組み合わせるための公募の枠組みを検討する。入江洋之経済部参事は「提案の条件面などを整理し、来年4月からプロポーザルを実施する方向で検討したい」と述べた。工藤恵美氏(市政クラブ)への答弁。

 このほか、東日本大震災緊急小口運転資金貸付金について、市経済部は「信用力、担保力が不足し、金融機関からの融資を受けられない事業者などを対象にする」と述べ、市が金融機関に対して未回収元金も全額損失補償する考えを示した。限度額は200万円で、利率は2・5%、償還期間は5年以内。工藤氏、紺谷克孝氏(共産党)の質問に答えた。(森健太郎)