2011年7月16日 (土) 掲載

◎朝イカ 湯の川温泉の宿泊者に提供

 本格的なイカの季節到来—。スルメイカの成長に伴い湯の川温泉の旅館やホテルでは15日、一斉に朝イカの提供を開始した。透き通った活イカならではの食感が宿泊客の人気を集めている。

 近海産のスルメイカは現在約30センチほどに成長し、刺身用として十分な大きさとなった。函館湯の川温泉旅館協同組合(金道太朗理事長)は例年、共同で漁協から活イカを仕入れ、新鮮なまま宿泊客に提供している。

 ことしは15施設が参加した。このうち湯の川プリンスホテル渚亭では朝食バイキングの席で予約客らに提供。会場内には生きたままのイカをディスプレーし、傍らで職人が包丁を手際よく滑らせて刺身を作っている。新鮮なため身や耳のほか、ゴロやゲソも味わえる。

 同ホテルの活イカを食べた埼玉県大宮市の会社員、川崎純さん(65)は「こりこりしていて甘く、いつも食べるイカとは違います。また函館に来て食べたい」と満足の様子だった。活イカの提供は12月末ごろまで。(小泉まや)



◎函館市内処理業者 福島産牛肉を保管

 福島県内の畜産農家が出荷した牛肉から国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された問題で、函館市内の食肉処理業者が福島県産の牛肉を保管していたことが15日、市立函館保健所の調査で分かった。市場に出回る前に判明したが、放射性物質の有無は不明。近く道の放射性物質を測定する検査を受ける予定だ。

 福島県南相馬市産で、放射性セシウムに汚染された牛肉が道内に流通したことを受け、同保健所は14日に市内の大手スーパーなど販売業者7社と卸売会社など食肉処理業者10社に対し、独自の聞き取り調査に着手した。

 この結果、市内の食肉業者1社が保管していた食肉のうち、4月以降に入荷した福島県産のヒレ肉約4キログラムが冷凍庫に在庫として残っていた。詳細な産地や入荷時期などは調査中。南相馬市産の牛肉はいずれの業者にもなかった。

 一方、道は15日、当初予定の福島県の計画的避難区域と緊急時避難準備区域から出荷された肉牛だけでなく、福島県全域産に検査対象を拡大し、販売店などを抽出検査することを発表。同保健所は市内の業者が保管していた肉についても道立衛生研究所(札幌)で放射性物質の有無を検査してもらう方針。

 同保健所によると、市内には食肉の399の販売業者、13の処理業者があるという。同保健所でも今後、道の検査方法や対象が固まり次第、さらに調査対象を広げる予定。道南では渡島、八雲、江差保健所は15日までに福島県全域産の牛肉の流通経路や在庫の有無の調査はまだ実施していない。(森健太郎)



◎美声 仏の聖堂に響け…函館男声合唱団10月に演奏旅行

 函館男声合唱団(上貞幸丕代表、団員38人)の有志が10月、演奏旅行でフランスを訪れる。パリなど2カ所の教会で宗教曲や日本の歌を披露する。関係者は「長年の夢がかなってうれしい。日本や函館らしさを伝えるとともに、本場の雰囲気も十分味わいたい」と目を輝かせている。

 この発案者は、函館MB混声合唱団理事長でもある伊藤喜久雄さん(71)。1985年、函館市の姉妹都市ハリファクス市(カナダ)への友好親善交流でMB合唱団も使節団として参加。伊藤さんは、古い教会で歌った時の響きに感動し、海外での演奏を長年夢見てきたという。

 昨年秋、函館男声合唱団団員で、カトリック湯川教会(駒場町)で神父を務めるフランス人のオール・フランソア・ザビエさん(44)にこの話をした。オールさんはフランスのオルレアン出身で、現地の大聖堂で叙階を受けて来日している。こうした縁や別の団員の強い熱意も後押しし、観光も兼ねた演奏旅行が決まった。

 団員ら21人の多くが夫婦で参加。指揮者の島昌之さんとピアニストの堀川眞智子さんも加わり10月17日に日本を出発。演奏会は18、19の両日で、それぞれパリ外国宣教会本部聖堂、オルレアン聖十字架大聖堂を会場にグノーの宗教曲や「千の風になって」「ソーラン節」など日本の歌を披露する。期間中は「函館野外劇」のゆかりの地、ル・ピディフも訪ねる。

 オールさんによると、オルレアンの大聖堂はフランスの歴史ある大規模な教会の一つ。天井が高く、響きも良いため音楽会が盛んに行われているという。一行は今年3月から本格的に練習を開始し、出発までに壮行演奏会も開く予定だ。

 オールさんは「日本文化の雰囲気を伝えるのがとても楽しみ」と笑顔。伊藤さんは「素晴らしい大聖堂で合唱できるのは光栄。函館という土地柄についても知ってもらえるステージにしたい」と意気込んでいる。(長内 健)


◎道南でも夏の交通安全運動スタート

 夏の全道交通安全運動(15—24日)が一斉にスタートした。初日は、函館中央・西両署が関係機関と連携し、街頭啓発を実施。旗の波作戦やドライバーへの啓発物配布を通して、交通事故防止を呼び掛けた。

 七飯町の峠下(国道5号)では、同町の相互建設と大竹運送が主催する交通安全キャンペーンが行われた。社員のほか中央署員など約50人が蛍光色の旗を持ち、車列に事故防止をアピールした。「子どもや高齢者の交通事故防止」や「シートベルトの正しい着用を」などと書かれたチラシとともに、生のニンジンも用意。「事故には十分注意して」と声を掛けながら手渡した。

 一方、函館市が主催する街頭啓発も北洋銀行万代町支店(万代町7)近くの交差点で行われた。西署員や函館西交通安全協会など6団体から約50人が参加。仕事を終え家路を急ぐドライバーらに「スピードを出し過ぎないで」と訴えた。同署の岡豊彦署長は参加者を前に「ここ数日、道内では死亡事故が相次いでいる。事故防止を呼び掛けましょう」と促すと、参加者は同署管内で670日以上続く死亡交通事故ゼロの日を継続させようと活動に力を入れていた。(小杉貴洋)


◎秋田の修学旅行児童 旧函館区公会堂で合唱

 函館市重要文化財旧函館区公会堂(函館市元町)で15日、秋田県からの修学旅行生が合唱を披露した。風情あるホールに美しい音色を響かせ、「忘れられない思い出ができた」と関係者に感謝を伝えた。

 秋田市立勝平小の6年生124人が舞台に立った。同小は例年、宮城県仙台市を修学旅行先としているが、東日本大震災の発生を受け、函館方面に変更。合唱で心を通わせてもらおうと、関係者が打ち合わせを重ねてきた。

 児童はリコーダー演奏と、被災者を勇気づける歌詞の合唱を披露し、居合わせた観光客を魅了。同施設の大西正光館長は「上手な音楽とともに、舞台に臨む姿勢も立派だった」と褒め、札幌市の植平昌子さん(29)は「子供たちの歌声が函館観光のいい思い出になった」と喜んでいた。

 音楽ステージを楽しみにしていた伊藤水希さん(11)は「歌声が歴史ある建物に響いて感動した」、角田希帆斗君(11)も「元気いっぱいに歌うことができてよかった」と目を輝かせていた。

 添乗した旅行業者は「大震災の影響で函館に旅行先を変更する学校が増えている。このような音楽会を設けていただけることは、函館や道南の魅力発信につながる」と話していた。(田中陽介)