2011年7月18日 (月) 掲載

◎華やか大輪 夜空照らす

 函館新聞社主催の「第15回函館新聞社函館港花火大会―海の日制定記念」が17日夜、函館市の函館港豊川ふ頭周辺で行われた。港内や緑の島から約5500発の花火が打ち上がり、約6万人の来場者を魅了。「東日本大震災復興応援!函館に活気を」と、さわやかな夜空に照らし出されたまばゆい大輪に、人々の温かな思いが重なった。

 花火大会は、函館新聞の創刊と「海の日」制定を記念して1997年から毎年開催。今年は東日本大震災の復興応援を全面に盛り込んだ14プログラムで、打ち上げに先立ち同社の小笠原金哉社長が「被災された皆様に心からお見舞い申し上げ、函館から元気を届けたい。会場に義援金箱も設置しましたので、温かいご支援をお願いします」とあいさつした。

 毎年人気の水中発射花火や、2分半に250発を次々と打ち上げるコンピューター制御のものなど、音と光が織りなす夜空のステージに大きな歓声がわいた。

 恒例の「FMいるか」実況生中継が会場を盛り上げたほか、観覧席に設置した義援金の受け付けには多くの善意が寄せられた。函館新聞社は、花火大会の協賛金の一部とともに会場や本社で受け付けた義援金を、日本赤十字社を通して被災地へ送る。 (田中陽介)



◎震災犠牲者へ鎮魂の舞 ギリヤークさん青空公演

 函館出身の大道芸人、ギリヤーク尼ケ崎さん(80)の青空舞踊函館公演が17日、市内松風町のグリーンプラザで開かれた。おなじみの赤い長襦袢(じゅばん)姿で、東日本大震災で亡くなった人へ鎮魂の舞をささげた。

 ギリヤークさんの夏の函館公演は、二十数年前の「函館港まつり」で行われたのが始まりという。数年前から肺気腫や心臓病を患い、ペースメーカーを付けているため、数珠を振りまわす演技では体に当たらないように気を付けているという。

 この日は3曲を披露。最初の「じょんがら一代」は三味線の音に合わせて表情を豊かに変え、「よされ節」では観客と踊った。最後の「念仏じょんがら」は「震災の犠牲者の冥福を祈ります」と話して始め、天を仰いだり、まぶたを深く閉じたりし、慰霊の気持ちを表した。水をかぶり地面に寝転がる激しい動きも見せ、最後に「母さん、まだ頑張るよ」と叫ぶと大きな拍手が送られた。

 終演後、ギリヤークさんは「5月に気仙沼市で公演した時、被災者の皆さんから元気をもらった気持ちになり、今日はとても良く踊れた。88歳のデビュー50周年を迎えるまで頑張ります」と話していた。  (山崎純一)



◎市民らいか踊りで歓迎 「にっぽん丸」が函館帰港

 クルーズ客船「にっぽん丸」(2万2472トン)が17日、函館港西ふ頭(函館市弁天町)に寄港した。函館港花火大会に合わせた道内クルーズの一環で、函館に入港する客船は本年度3隻目。岸壁では大勢の市民らが函館名物「いか踊り」で出迎えて寄港を歓迎した。

 商船三井客船(東京)が運航する同船は、昨年船体を白と紺のツートンカラーに一新。全長166.6メートルで、函館入港は1年ぶり。14日に横浜を出港し、利尻島などを巡る5泊6日のクルーズの「夏夜を彩る函館花火」の一環で寄港した。

 東日本大震災に伴う原発事故の影響で函館への客船の寄港中止が相次ぐ中、今回は函館の元気を発信し、函館らしく歓迎しようと、いか踊り実行委のメンバー約20人が岸壁で演舞。デッキで見物する乗客にも岸壁から踊りを指導し、盛大な歓迎ムードに包まれた。

 歓迎のセレモニーでは、函館市の片岡格副市長が「多くの観光資源やイカをはじめとする新鮮な魚介類、船上からの花火など函館の魅力を存分に堪能してください」とあいさつ。ミスはこだてらが番留誠船長に花束や地元特産品のワインなどを贈呈した。

 東京から夫婦で訪れた乗船客の小平忠昭さん(69)は「船上から見たいか踊りは壮観で感激した。半日函館を満喫し、花火も間近で一人占めしたい」と笑顔だった。同船は乗客らが船上から花火を鑑賞後、横浜に向けて函館を出港した。   (森健太郎)


◎学生パワーで駅前に活気 大門祭

 函館市内の大学、短大の学生が企画・運営する合同学生祭「第11回大門祭」(同実行委主催)が17日、函館市松風町の大門グリーンプラザで開かれ、多彩なイベントが繰り広げられた。

 学生たちのアイデアと実行力で駅前・大門地区を活性化しようと、2001年から毎年この時期に開いている。今年は東日本大震災からの復興や、大門で再び友人、知人と会ってほしいとの願いを込めて「さいかい」をテーマに催しを展開した。

 オープニングでは実行委メンバーの呼び掛けで、来場者全員がジェット風船を打ち上げて一体感を演出。会場では学生による模擬店が並び、ステージでは道教育大函館校アカペラサークルが「キューティーハニー」などを歌って盛り上げた。第1回から続く恒例の「イカそうめん早食い大会」では、早い人で6秒で食べ終わるなど、決勝戦を目指してデッドヒートが繰り広げられた。

 このほか、函館出身の世界的舞踏家、ギリヤーク尼ケ崎さんの演舞なども。実行委員長の橋本優太さん(21)=公立はこだて未来大4年=は「こんなに天気が良くなるとは思わなかった。やったかいがありました」と笑顔で話していた。  (千葉卓陽)