2011年7月2日 (土) 掲載

◎イカ釣り体験 子どもに人気

 【江差】江差沖で水揚げされた、新鮮なスルメイカをPRするイベント「活!!江差海鮮みなとイカ刺し祭り」(主催・江差観光コンベンション協会)が1日夕、江差漁港で開かれた。大勢の住民や観光客が活イカを中心とする海の幸に舌鼓を打っていた。

 今年の江差沖では、スルメイカの水揚げが低調だが、地元の漁業者がようやく確保した貴重な活イカを、ボランティアの主婦らがその場で刺身にして提供した。大勢の来場客は、甘みと歯応えが抜群のイカ刺しや、旬を迎えた活ヒラメ、ズワイガニ、エゾバカガイなどの海の幸を心ゆくまで堪能した。漁港の岸壁には、イカ釣り体験コーナーも設けられ、子供たちは、水を吐きながら元気に飛び跳ねるイカを大喜びで釣り上げた。

 イベントは13回目。同協会の打越東亜夫会長は「近年は7月上旬のイカの水揚げが減っている。活イカの確保が難しくなっているが、大漁の願いを込めてイベントを継続したい。魚介類の地産地消を進める意義も大きい」とした。

 2日には、江差かもめ島まつりが開幕する。午後1時から、かもめ島の瓶子岩で、大しめなわ飾りが始まる。同4時からは、江差音頭千人パレードが町内を練り歩く。3日は午前9時半から江差港で、第33回全道北前船競漕大会がスタート。午後2時からは、演歌歌手の山内惠介さんんらが出演する歌謡ショーも開かれる。入場無料。問い合わせは同協会電話0139-52-4815へ。  (松浦 純)



◎住宅用の太陽光発電 函館市が独自補助制度

 函館市は、住宅用の太陽光発電パネルなどの設置費用の一部を補助する独自の制度を9月から導入する方針を決めた。東日本大震災による原発事故を受け、にわかに脚光を浴びる太陽光発電。対岸の青森県大間町で建設中の大間原発の建設凍結を求める市としても、原発に頼らないエネルギー政策の転換を促進し、市民の環境意識の向上につなげる狙いだ。

 市では2003〜05年度に道の補助金を財源に太陽光発電を導入した住民に対し設置費用を助成していたが、国の補助制度の打ち切りに伴い廃止。その後は厳しい財政事情から、市単独の補助金には二の足を踏んでいたが、原発事故を受け、工藤寿樹市長も選挙政策に掲げていた。

 国の補助制度も09年度に復活し、現在は太陽光パネルの最大出力1キロワット当たり4万8000円を補助している。市ではこれと併用できる形で1キロワット当たり7万円(最大3キロワット・21万円まで)を支援。標準世帯で主流の4キロワットの場合、設置費用は約240万円で、このうち国から約19万円、市から21万円の助成となる。

 市は本年度の補正予算案に630万円を計上し、開会中の定例市議会で承認されれば、9月1日から先着順で募集を始める。対象は30戸程度を想定している。道によると、4月現在、道内では50市町村で独自の住宅用太陽光発電の補助制度を設け、道南では北斗市で国の制度と同額を最大4キロワットまで助成している。

 函館市によると、既に補助制度についてハウスメーカーなどから問い合わせも数件寄せられている。工藤市長も6月30日の市政執行方針で「エネルギーの確保は国の政策に関わることだが、環境配慮型のクリーンエネルギーへ転換を図る地域の取り組みも大切」と述べ、自然エネルギーの拡充に前向きな姿勢を示している。 (森健太郎)



◎道南の景況 一気に後退 震災、観光事業を直撃

 日銀函館支店(山田正弘支店長)が1日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、渡島・桧山管内の企業の景況感を示す業況判断DI(「良い」とする割合から「悪い」とする割合を引いた指数)は、全産業でマイナス35となった。バブル以前の水準に次ぐ悪さで、リーマンショック後より悪化した。同支店は「東日本大震災の影響が如実に出ており、特に宿泊・飲食業を中心に落ち込みが激しい」とする。

 全産業のDIは、バブル前の1984年3月にマイナス39となったのを底に、ここ最近ではマイナス30からゼロの間で推移していた。リーマンショック後の2009年3月にはマイナス33まで後退したが、その後上昇に転じ、10年6月にはマイナス3まで回復。その後徐々に悪化していた感はあるが、今回は前回(3月)から14ポイント低下と震災の影響で一気に後退した。

 産業別では、非製造業のうち宿泊・飲食サービス業での落ち込みが特に顕著で、57ポイント低下しマイナス71となった。02年12月に業種別DIの調査を始めて以来最低の値で、リーマンショック後(08年9月)よりも悪い。同支店は「観光入り込みが大幅に減り、土産品購入などが大きく減った」とする。

 非製造業全体ではマイナス47と前回から22ポイント低下。小売は6ポイント改善したが、マイナス50にとどまる。

 一方の製造業はマイナス10と1ポイント改善。中でも食料品が27ポイント上昇してゼロに落ち着いた。水産加工業のウェートが高く、一部に三陸沖被災地の代替需要でイカ塩辛やさきいかなどの受注増が見られるという。同支店は「震災がプラスに寄与した」とし、観光産業とは明暗分かれる格好となった。

 3カ月後の景気予測を示す先行きDIは、全産業で6ポイント改善のマイナス29と、わずかに回復の期待をにじませる。

 11年度の売上高・収益計画は、前回調査より15.9ポイント下方修正し、前年度比4.1%減を見込む。11年度の設備投資計画は同7.9ポイント下方修正し、前年度比42.7%減とした。前年の大型投資の反動のほか、震災で投資を見合わせる動きがあるとみられる。

 調査は5月下旬から6月末まで道南の102社(製造業31社、非製造業71社)を対象に実施し、全社から回答を得た。 (小泉まや)


◎路線価 下げ幅道内最大

 札幌国税局は1日、相続税や贈与税の課税基準となる土地の価格、路線価(2011年分、1月1日現在)を発表した。道内30税務署管内の最高路線価は倶知安署で前年より上昇したほか、3署が横ばい、函館、江差、八雲を含む26署で下落した。函館税務署管内の最高は函館市本町、道道函館南茅部線通りの丸井今井函館店前で、1平方メートル当たり18万円だが、前年比18.2%減(4万円減)で道内最大の下落率。同国税局が把握する1983年以降では、最大の下げ幅となった。

 丸井前は、リーマンショック以前の08年には16年ぶりの上昇となったが、以降は下落傾向が続いている。市内の不動産鑑定士、森元浩さん(森元不動産鑑定事務所=函館市若松町)は「消費が伸びないのが要因。郊外店が増えて中心商店街から客足が出て行っている。グルメシティ五稜郭店が閉店し、空き店舗のままなのも影響しているのではないか」と話す。

 江差税務署管内の最高路線価は、江差町本町の道道江差停車場線通り(五勝手屋本舗前)の3万4000円で、下落率は8.1%。八雲税務署管内は、八雲町本町の道道八雲北桧山線通り(渡島信金八雲支店前)の3万4000円で、下落率は8.1%。

 道内約1万6700地点で調査、下落率の平均値は4.6%だった。道内の最高路線価は札幌中央税務署管内の札幌市中央区北5西3、道道札幌停車場線通り(札幌ステラプレイス前)で240万円、下落率3.2%。同所は06年分以降6年連続で道内最高となった。(山崎大和)


◎小麦値上げ 影響じわり

 農作物価格の世界的高騰を受け1日、小麦粉を材料とする製粉会社など大手食品会社がパンや麺類の値上げを始めた。函館市内の小売店などでは「消費節約の時代にあって現状価格は維持したい」との意向が大半だが、「値上げはやむを得ない」と苦渋の決断≠ノ踏み切った店舗も見られる。

 約50種の商品を並べる函館市本通1のパン店「よつ葉のレシピ」(柳田禎也店長)は6月27日、2種類の人気食パンをそれぞれ15円値上げした。同店では政府売り渡しの輸入小麦が4月に18%上がったのを受け、既に一部の菓子パンを10〜20円引き上げていた。

 同店スタッフの細間真理子さんは「苦しい決断だったが、売り上げに大きな変動はない」と一安心。「お客さんは事情を理解してくれている。今後も一層喜んでもらえるパンづくりを目指したい」と話す。

 一方、市内のあるパン店は「集客に響くため今は値上げしない。しばらくは様子を見守る」と価格を据え置く。市内田家町7のケーキ屋「函館風月堂」の小川一彦代表も「景気が低迷する中、値上げするのは難しい」と受け止める。

 ラーメン店も原料価格高騰や今後の動向を注視。市内のあるラーメン店は「ある程度転嫁する日が来るかもしれないが、それも同業者次第」と他店の動向を意識。函館のある製麺会社は「販売価格は据え置いているが、(小麦の)値段が高騰し続ければ引き上げるしかない」と頭を悩ませる。

 スーパー側も同様だ。コープさっぽろ函館地区本部の食品スーパーバイザー、森口祐二さんは「札幌本部の指示で関連商品は値上げの可能性もある」、ホクレンショップ函館昭和店(昭和1)の渡辺洋介店長も「パンなどの値段は少し上がる可能性がある」としている。