2011年7月22日 (金) 掲載

◎ホタル観賞会に270人

 清流を好むヘイケボタルが生息する函館市見晴町の見晴公園で21日夜、市内の園児とその保護者らが観賞会を楽しんだ。肌寒さでホタルの光の乱舞は見られなかったものの、時おり見せるわずかな光が子どもらの笑顔を誘った。

 観賞会は函館ライオンズクラブ(高橋正人会長)の主催で、園児ら約270人が参加した。公園内には元々、ホタルが生息していたが一時絶滅。1991年から「函館ホタルの会」(工藤恵美会長)が人工飼育に取り組み、このような観賞会を通じて、子どもたちに自然保護の意義を伝え続けている。

 闇夜の午後8時から観賞が始まり、時おり点滅するホタルに参加者は興味津々。工藤会長が「宝探しみたいだね」と呼びかけ、子どもたちも「本当だ。きれいに光っている」と歓声を上げた。

 亀田港保育園の長内一真ちゃん(6)、琢真ちゃん(6)兄弟は「青と緑の色できれいだった」とご機嫌。父の良次さん(38)も「淡い輝きが幻想的で、今日は参加することができて良かった」と満足の様子だった。

 高橋会長(40)は「自然に触れ合う機会が少ない中で、ホタル観賞会は貴重な経験になる。今日の思い出を忘れずに、大人になっても自然を大事にしてもらいたい」。工藤会長も「未来を担う子どもに自然を守ることの大切さを感じてもらえれば」と話していた。(田中陽介)



◎函館市、移動市長室を廃止

 函館市は、市長が市民と直接対話する「移動市長室」を廃止し、新たにさまざまな団体が市長とまちづくりについて意見交換する場を8月から設けることを決めた。工藤寿樹市長は「移動市長室を発展的に解消し、各団体からの意見を聞く機会を拡充させたい」としている。

 移動市長室は市町会連合会(奥野秀雄会長)との共催。市政に対する地域住民の生の声を今後の市政に反映させることを目的に1967(昭和42)年9月に始まった。市を5つのブロックに分けて毎年5回のペースで開き、昨年度までに101回実施した。

 しかし、近年は旧市域での参加率が人口の0.1〜0.3%程度と極端に低かった点に加え、町会関係者の参加が大半を占めており、4月に工藤市長が就任して以降は開かれていない。

 移動市長室に代わる新たな方策として「市長のタウントーキング」と銘打ち、法人格の有無にかかわらず市内で活動する町会や団体、サークルを対象とし、市役所でまちづくり全般に関する意見交換を行って市政運営に反映させる。市議会定例会の開催月以外で月1回開催する考え。

 参加は申し込み制となり、初回は8月16日の午前9時から午後3時まで、本庁舎6階の市長室か市長会議室で実施。1日8団体(1団体あたり30分程度)からの意見聴取を想定しており、22日から市役所本庁舎や各支所で配布する所定の申込書に必要事項を記入し、8月5日までに市広報課に申し込む。

 移動市長室の廃止に対し、奥野会長は「市長の考え方として受け止める。どんな形で行うにしても地域には課題が山積しており、住民の声を聴く場をしっかり設けてほしい」。また南茅部地区のある町会長は「合併で街が広がり、効率的な行政運営を進める上では開催は難しいのかもしれない。市長の考えは理解するが、寂しい」と話す。

 工藤市長は取材に対し「移動市長室は時間が2時間と短く、参加者に偏りもあった。これからは時間を長く取り、団体の範囲を広げることでまちづくりに生かしたい」と話している。(千葉卓陽)



◎桧山管内4町で無投票当選、町議は魅力薄い?

 【江差】桧山7町で本年度行われた町議選は、江差、上ノ国、乙部、奥尻の4町で無投票になった。若年人口の減少や財政難に伴う議員報酬の削減、低調な議会活動に伴う町議の地位低下など、複雑な事情も見え隠れしている。

 上ノ国町と乙部町は、選挙史上初めて。江差町は町選管に資料が残る1955年の江差町と泊村の合併以降は初めての無投票。ある住民は「町民が町政に参画する機会が失われたのは残念。厳しい時代こそ選挙は必要」と訴える。

 急速な過疎化による若年人口の減少が、町議の若返りを阻んでいるとの声も。ある町幹部は「町議に名乗りを上げる元気な若手がいない」「町政に対する若年層の関心が低いことも問題」と漏らす。町議の平均年齢は改選後、無投票の4町だけをみても、上ノ国町が68・3歳で、奥尻町は62・3歳、江差町と乙部町はぞれぞれ62歳になった。

 苦しい財政事情から、報酬削減が進み「町議だけで生計が成り立たない。企業経営などの本業がなければ務まらない」「景気低迷で本業も厳しい状態。議員活動に時間を割ける若手は少ない」(複数の町議)との声も。労組活動の低迷で、有力な支持基盤を背景に活動した、組織内候補の擁立も減少を続けている。  町政で重要な役割を果たすべき町議の地位そのものが低下しているとの指摘も。ある町議は「町の政策を追認するだけの議会活動では、若い世代にとって魅力は乏しい。議会の活性化を進めなければ町議の地位低下が進み、後進は育たない」と自制を込める。(松浦 純)


◎米国人留学生シェパードさん、アニメも日本も大好き

 この夏、函館に滞在している米国人男性留学生のウェイン・シェパードさん(21)は無類の日本アニメ好きだ。連日、お気に入りのアニメTシャツを着こなし、「ポケモンが好きなのか?」と街中で市民に声をかけられることもしばしば。「アニメがきっかけで日本文化に親しむことができた。丁寧で親切な日本の皆さんが大好き。将来は日本の大学で民俗学を教えられるようになりたい」と勉学に励んでいる。

 シェパードさんは、北海道国際交流センター(函館市元町14)主催の日本語・日本文化講座夏期セミナー(6月9日〜8月5日)に参加している。ミシガン州デトロイト出身で、日本アニメにのめり込んだのは高校生のとき。インターネットで見た「ポケットモンスター」の物語性やキャラクターの斬新なデザインに心奪われたという。

 「ドラゴンボールやセーラームーンなど奥深い内容で実に面白い」ときっぱり。アニメにとどまらず、ヤクルトスワローズの往年の帽子も宝物の一つで「このツバメがかっこよくて」と紹介する。

 アニメとの出会いが人生を決めた。地元の大学では日本語を専攻し、卒業後は日本の大学で民俗学を研究したいと、留学を決めた。

 函館に持ち込んだアニメTシャツは計5枚で、洗濯をして部屋で干すと「ポスターのようできれい」と笑う。小学校訪問の際も児童らの注目の的で、「子どもたちが笑顔で駆けよってきてくれた。アニメには人々の心を通わす魅力がいっぱい。日本文化も同じで、もっと勉強してこの素晴らしさを多くの人と共有したい」と話している。(田中陽介)


◎ミシュラン掲載記念、外国人観光客誘致へ討論

 世界の観光地を格付けした旅行ガイドの日本編「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に函館など道南が掲載されたことを記念した「観光客受入研修会」(函館国際観光コンベンション協会主催)が、21日に函館市元町のFMいるかビルで開催された。講演会やパネルディスカッションで、同ガイドを活用した観光のあり方を模索した。

 5月に発売された同ガイドの改訂版に、函館・近郊が初めて掲載されたことから企画した。観光業や行政などの関係者ら約110人が参加した。

 講演では元日本政府観光局パリ事務所長で、現在中部国際空港経営企画部長を務める長谷川豊氏が「これからの外客誘致に向けた1つの方向性について」と題して講演した。

 パネルディスカッションでは長谷川氏のほか、函館国際観光コンベンション協会企画宣伝委員長の中野晋氏、七飯大沼国際観光コンベンション協会副会長の渡辺邦浩氏、函館日仏協会副会長の加藤敬氏の4人がパネリストを務めた。

 ミシュランガイドについて加藤氏は「非常に信頼性が高く、宿の値段や歴史紹介などが簡潔に書かれている」と評価し、掲載された事実の重大さを強調。中野氏は「アジアだけでは限度がある。欧米客にも目を向けるようにし、4年後の新幹線開業を見据えて情報を発信する必要がある」とした。渡辺氏は「外国人に限らず、日本人客をも含めた観光客対応の強化をしなければ」などと述べた。(小泉まや)