2011年7月23日 (土) 掲載

◎新幹線の新駅前「住宅地」が人気

 【北斗】北海道新幹線新函館(仮称)駅予定地周辺で市が造成した宅地7区画の販売募集が21日で締め切られ、計84件の申し込みがあった。各区画とも6〜15倍となる人気ぶりで、8月1日に抽選を行い、購入者を決定する。市新幹線対策課は「新幹線駅前という立地条件に多くの関心を持ってもらった。今後の商業地販売にもつなげていきたい」と話している。

 市は新駅南側の13・5ヘクタールで土地区画整理事業を進め、このうち、南西に位置する居住ゾーン約5ヘクタールは3月末に整備が終わった。市が宅地を販売するのは今回のみで、約193〜241平方メートルの7区画を1坪(3・3平方メートル)約7万円、399万円から511万円で募集。市内を中心に近郊の幅広い世代から申し込みがあった。

 同事業では、駅前通を中心に駐車場や公園、スポーツを楽しむことが可能な調整池などの整備を進める。商業地は来年度以降、順次、整備が終わり、早ければ2013年度に一部区画から販売を開始する見通し。 同課の梅田一生課長は「北海道の新しい玄関口として道南圏のにぎわいにつながる駅前開発を進めている。開業を見据えて、企業誘致にも力を入れていきたい」としている。(今井正一)



◎福島県産牛肉 函館保管分「シロ」

 函館市内の食肉処理業者が福島県産牛肉を保管していた問題で、市立函館保健所は22日、この牛肉は室蘭保健所が回収した検体と同じ個体の肉で、道の放射性物質モニタリング検査で国の暫定規制値を下回ったことを明らかにした。市立函館保健所によると、この牛肉は同日現在、業者に保管されたままで市場には出回っていない。

 牛肉は牛トレーサビリティ制度で個体識別番号により生産、流通の各段階で一元管理されている。今回はこの牛肉の個体識別番号を道に報告したところ、室蘭保健所管内で見つかった検体と同じ個体の肉だったことが判明。室蘭の肉を回収して道立衛生研究所(札幌)で放射性物質を検査した結果、国の暫定規制値を下回っていた。

 市立函館保健所は、放射性セシウムに汚染された牛肉が道内に流通したことを受け、14日から市内の卸売会社など食肉処理業者10社、スーパーなど販売業者7社に対し、独自の聞き取り調査を実施。市内の食肉処理業者1社で、福島第一原発事故以降に入荷した福島県産のヒレ肉約4キロが冷凍庫に在庫として残っていた。同保健所は産地や入荷時期など詳細については明らかにしていない。今回の肉はシロ≠セったが「今後の扱いについては業者の判断」(同保健所)としている。(山崎大和)



◎被災者受け入れ 道南盛ん

 福島原発事故の影響が大きい福島県内の人たちや東日本大震災の被災者に、安心して夏休みを過ごしてもらおうと、被災家族らを道南に招く動きが本格化している。函館で被災地復興を支援する団体「函館・むすびば」(丸藤競代表、会員10人)は、26日〜8月23日の29日間、福島などから19家族58人を受け入れる事業「あたりまえの夏休み」を実施する。丸藤代表は「市民の小さな力が結集し、来函した人に大きな喜びを感じてもらえれば」と話している。

 同団体は1人でも多くの被災者の支えになろうと、5月に設立。福島原発の影響が収まる気配がないことから、7月上旬に同事業を考案。道内で被災者の受け入れ活動を取りまとめ、被災地に情報を提供する道被災者受け入れ支援ネットワークを通じ募集したところ、ゼロ歳児から中学生の子どもと保護者の2〜5人家族で、福島17、宮城1、茨城1家族の応募があった。

 宿泊は、湯川町にある3つのホテルに分散する。宿泊費はホテルが格安値段を設定。函館までの交通費は道が負担する。参加者は宿泊費などで1人5万円を支払うが、まだ資金は不足。この状況に市民が寄付を申し出て、事業が実現することとなった。

 参加者は、26日午前中に各地を新幹線で出発。函館に午後5時ごろ到着する。期間中、誕生日を迎える子どもたちの合同誕生会、道南で開かれるイベント参加などさまざまなプログラムを計画している。子どもたちの遊びをサポートする函館生涯学習インストラクターの会(島貫徹彦会長)の小林肇事務局長は「福島の子は今、外で遊べないので、函館では親子で楽しめる遊びを提供したい」と話していた。

 丸藤代表は市内や近郊の企業や団体に対し、施設や工場などの見学や、体験講座に参加できる協力を呼び掛けるほか、事業への協賛金を募集している。問い合わせは丸藤代表電話090・3890・0234。(山崎純一)


◎さぁ夏楽しむぞ 公立小中学校で終業式

 函館市内の公立小・中学校を含む道南の多くの学校で22日、1学期の終業式が行われた。子どもたちは目を輝かせて通知表を受け取り、25日間の夏休みに入った。

 函館八幡小学校(児童428人)は、終業式で小松一保校長が「皆さんの元気なあいさつは立派でたくさんの人からお褒めの言葉をいただきました」と1学期を振り返り、「夏休み中は交通安全、早寝早起き、朝ごはん、勉強の復習、そして家のお手伝いをしっかりしてください」とあいさつした。

 教室で通知表が手渡され、子どもたちは緊張した面持ち。同校は本年度から手づくりの通知表を手掛け、1年1組の担任立野恭子教諭は「先生は小学1年のときから大学卒業までの通知表を袋に入れて大事に持っています。皆さんも大人になってから今の自分を振り返られるように、これを大切にしてください」と呼びかけた。

 1年の木村介亮(かいりょう)君(6)は「夏休みは温泉に行くので楽しみ」とにっこり。於本有紗さん(6)も「初めての夏休みで、わくわくします。お母さんと映画館に行きたい」と声を弾ませていた。

 始業式は、多くの学校で8月17日に行われる。(田中陽介)


◎関節リウマチ 治療強化

 函館赤十字病院(堀川町6、赤澤修吾院長)は関節リウマチの専門外来を開設し、患者の治療とサポートに当たっている。近年、関節リウマチの治療が飛躍的に進歩したことから専門的な治療、診断を行える医師や看護師を配置し、早期診断、早期治療の取り組みを強化している。

 専門外来は日本整形外科学会認定のリウマチ医で、日本リウマチ財団の登録医、沼田修治整形外科部長と、道南で唯一のリウマチケア看護師(同財団認定)資格を持つ原田由美看護師が中心となって対応。毎週金曜の午前中に診療を行っている。

 関節リウマチは関節の痛みを伴い、長い経過を経て腕やひざなどが変形する進行性の病気。主に30代、40代ごろから発症し、女性に多い病気とされている。

 一時は不治の病とまで言われていた病気だったが、1999年に「メトトレキサート」と呼ばれる抗リウマチ薬が国内で承認されたのをきっかけに治療は進歩。2003年ごろからバイオロジー技術を駆使して開発した生物学的製剤も次々承認され、治療の幅が広がっているという。

 原田看護師は「今の治療は初期の段階から抗リウマチ薬を使い、症状を抑えるのが主流。早期治療によって手足の変形を抑えることができ、不治の病でない」と語る。

 ただ、生物学的製剤は薬価が高く患者の治療費負担が大きいほか、患者の数に対し、専門的な治療ができる医師が少ないなど、リウマチ医療はまだまだ課題を抱えている。

 同病院では、できる限り早い段階で治療に結び付けようと、4月から同病院で実施する健康診断にリウマチ検査を導入。リウマチを啓発する講演会も検討している。

 沼田部長は「前兆もなく体に痛みが生じたらリウマチを疑って。気になることがあれば受診してみて」と呼び掛けている。  問い合わせは同病院電話0138・51・5315。(鈴木 潤)