2011年7月26日 (火) 掲載

◎ようこそ道南へ 「ふくしまキッズ」230人が笑顔で到着

 七飯町東大沼の大沼ふるさとの森自然学校で26日に開校する「ふくしまキッズ夏季林間学校」に参加する福島県内の子どもたちが25日、続々と道南入りした。JR函館駅ホームでは、JR函館支社社員が「ようこそ北海道へ」と書かれた横断幕で、到着を歓迎。長旅の疲れも見せず、子どもたちの元気な笑顔がはじけた。

 放射能汚染の懸念が広がる福島県内の子どもたちに雄大な自然の中で伸び伸びと過ごしてもらう最大5週間のプログラム。この日、道南入りしたのは、子どもたち182人をはじめ、スタッフや保護者ら約230人が3班に分かれて函館駅に到着した。

 初日宿泊先の道立森青少年自然の家「ネイパル森」で、進士徹実行委員長は「北海道でいっぱい背伸びをして、深呼吸をして下さい。思い切り外で遊んでいっぱい友達を作って下さい」と子どもたちを歓迎。26日以降のスケジュールなどを説明した。

 同県郡山市から参加した小学6年生の生天目勇人君(12)は2週間、滞在する予定で「北海道に来るのは初めて。暑さは福島と同じくらい。いろんな体験をするのが楽しみ」と笑顔を見せていた。

 子どもたちは26日以降は、大沼プリンスホテルのコテージに滞在。大沼ふるさとの森自然学校で開校式が行われ、期間中、駒ケ岳登山やさまざまな体験活動などをして過ごす。  (今井正一)



◎機械遺産に「青函連絡船及び可動橋」 道南では2件目

 日本機械学会(東京)は25日、国内の技術や産業の発展に貢献し、歴史的な意義を持つ「機械遺産」として、「青函連絡船及び可動橋」など7件を新たに認定したと発表した。函館市青函連絡船記念館摩周丸を管理・運営する、NPO法人語りつぐ青函連絡船の会は「本道と本州との物資の大量輸送に貢献した鉄道車両。その運搬に関わる可動橋が認定されたことは大きな意義がある」と喜んでいる。

 機械遺産は、同学会が2007年に創立110周年を迎えたことを機に創設。機械技術で国民生活、文化・経済、社会、技術教育に対して貢献したものなど、歴史に残る機械技術関連遺産を保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、同年から認定している。道南では、09年に国内最古の自家用乗用自動車「ロコモビル」(北斗市)に次いで2件目。全国で50点となった。

 今回の認定は、函館市の市青函連絡船記念館摩周丸と、青森市の青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸の船舶と、それぞれ貨車を積むための可動橋。摩周丸に残る青函連絡船の航海日誌など、さまざまな資料が受けた。  青函連絡船は1908(明治41)年から88年まで、本道と本州を結ぶ物流の大動脈として、旅客のみならず、25(大正14)年8月から鉄道車両も本格的に運搬。岸壁と船の間に貨車を積み込むため可動橋を設置。これにより、輸送の安定と効率化が実現した。摩周丸では現在、当時に建設されたクレーン部が残っている。

 同法人は「可動橋に光があたったことは大きい。摩周丸に来館される場合は、船と橋に注目してもらえれば」と話している。

 ほかの6件は次の通り(かっこ内は所在地)。

 ▽豊田式汽力織機(名古屋市)▽幹線用電気機関車ED15形(茨城県ひたちなか市)▽岡谷蚕糸博物館の繰糸機群(長野県岡谷市)▽油圧ショベルUH03(茨城県土浦市)▽ファスナーチェーンマシン(YKK―CM6)(富山県黒部市)▽多能式自動券売機(長野県佐久市) (山崎純一)



◎家庭ごみ4年ぶり増加 函館市10年度の排出状況

 函館市はこのほど、2010年度の家庭ごみの排出状況をまとめた。09年度比1.1%増の6万4928トンで、4年ぶりに増加に転じた。市環境部は「昨夏の猛暑と、東日本大震災の津波被害による震災ごみの増加が影響した」と分析している。

 市の家庭ごみは02年度から有料化とともにプラスチック容器包装の分別収集を行っており、有料化以降は01年度の年間8万8000トンから、同6万4000〜6万9000トン台に減少している。

 10年度家庭ごみ排出量の内訳をみると、燃やせるごみが全体の78%を占める5万582トンで、前年度から172トン増加。燃やせないごみは前年度比358トン増の5161トン、缶・ビン・ペットボトルで同51トン増の5106トン、プラスチック容器包装も同34d増の3181トンと、すべての種類で増えた。この結果、市民1人が1日当たりに排出するごみの量は629cで、前年度からは12グラム増えている。

 市環境部は増加について「猛暑によって缶・ビン・ペットボトルの消費が増えたことに加え、腐敗した食品が捨てられたケースが多かったのでは」と分析。加えて、震災で津波被害にあった函館朝市からベイエリア周辺を対象に3月12〜25日に「災害ごみ」として無料で回収しており、この期間だけで731dを回収。災害ごみの分を除くと、前年度とほぼ同じ数量となる。

 同部は「環境に配慮する市民意識は定着している一方で、震災の影響も続いている。今後の推移を見守りながら意識啓発を続けていきたい」と話している。(千葉卓陽)


◎パスポートの発給 渡島3年ぶり減少

 渡島総合振興局は25日、2011年上半期(1〜6月)の管内一般旅券(パスポート)の発給状況を発表した。発給数は2531人(男性1095人、女性1436人)で、前年同期比17%減と08年以来3年ぶりの減少となった。東日本大震災の影響で旅行自粛ムードが広がったことや、震災後から大韓航空の定期便が止まっていることなどが要因とみられる。

 道からの権限移譲を受けている北斗市で発給した分を含む。種類別内訳では、10年旅券が1497人で同14%減、うち新規発給1209人、有効期間内切り替え288人。5年旅券が1034人で同21%減、うち新規発給949人、有効期間内切り替え85人だった。未成年の発給は343人で、同12%減。すべての年代で前年を下回り、70代は同38%減と落ち込みが最も大きかった。

 市町別では、木古内町と長万部町を除き、9市町で軒並み前年を下回った。発給数が最大の函館市は1904人(全体に占める割合75.2%)で同16%減。北斗市231人、七飯町145人で、この3市町で2280人と全体の9割を占めた。

 同振興局は「大震災の影響に加え、大韓航空の定期便ストップ、毎年2、3月にある格安ツアー客の減少などが要因ではないか」(地域政策部)と分析している。

 1986年以降の上半期の旅券発給件数は、2000年の5916人をピークに米国同時テロやサーズ(SARS)騒動などで03年に2256人まで落ち込んだ。(山崎大和)


◎稲わら汚染 道南34戸は利用なし 

 放射性セシウムを含む稲わらを食べさせていた牛の肉が道内でも流通していた問題を受け、道は25日、道食の安全・安心推進本部(本部長・高橋はるみ知事)を開き、稲わらの利用実態調査の結果を明らかにした。調査したのは全道715戸(肥育牛のいる経営)。このうち渡島22戸、桧山12戸で、農水省が福島県など利用自粛を求めている16都県の稲わらを利用している農家はいなかった。

 渡島総合振興局は20〜22日、桧山振興局は19〜21日に農家に稲わらの利用実態について聞き取り調査した。いずれも、汚染された疑いのある稲わらを使用している実態は確認されなかった。

 道によると、同調査で釧路管内浜中町の牧場1カ所で、4月以降に購入した宮城県産などの稲わらを使用していたことが判明。宮城県産の在庫を道立衛生研究所(札幌)で放射性物質調査を実施したところ、国の暫定許容値を超える放射性セシウムが検出された。(山崎大和)