2011年7月29日 (金) 掲載

◎異国情緒堪能 ホワイトハウス一般公開スタート

 函館市杉並町23の遺愛女子中学・高校(福島基輝校長)の敷地内にある旧宣教師館(愛称・ホワイトハウス)の一般公開が28日始まり、大勢の市民らが異国情緒あふれる建物を見学した。30日まで。

 ホワイトハウスは、米国人宣教師の住まいとして1908(明治41)年に本館と同時期に建築。木造2階建て、清らかな色合いの白壁などが特徴で、当時の米国建築様式を取り入れた明治洋風建築の傑作と評価が高く、2001年6月には国の重要文化財に指定された。

 今年の公開には、1920年ごろ、宣教師が使っていたタイプライターを特別展示している。また、飾り窓の階段に豪華なシャンデリア、ふすまのある洋室、和室など和洋折衷の造りは時を経ても色あせない。氷で冷やす冷蔵庫や初期の洗濯機、トイレ、浴室もそのままで、当時の暮らしぶりを体感できる。

 一般公開は午前10時〜午後2時。遺愛女子高校の生徒が案内役を務め、庭先では冷たい麦茶を振る舞っている。

 千葉県船橋市の石村麻希さん(30)は、帰省中に母校を家族5人で訪れ「卒業以来で本当に懐かしい。ホワイトハウスは愛らしくていい」と感慨深げ。長男の匠ちゃん(3)と長女の友梨ちゃん(1)は「2階が楽しかった。麦茶もおいしかった」と笑顔だった。 (田中陽介)



◎ガゴメコンブでところてん開発 

 函館短期大学付設調理師専門学校の吉田徹教頭がこのほど、ガゴメコンブのところてん「函館がごめの滴」(1個150グラム、180円)を開発。8月1日から大槻食品館(函館市東雲町7、七飯町鳴川5)で販売を開始する。 同商品の大きな特徴は、コンブの「ぬめり」を使ったこと。吉田教頭によると、数年前から地元食材のガゴメコンブを使った商品の開発構想はあったが、他にはない発想でオリジナル商品を作りたいという思いから、実現までに時間がかかったという。「ガゴメの特徴はなんだろうと改めて考えた時『ぬめり』だと気付いた。そこで、ぬめりを抽出してところてんを作ることを思いついた。固めるのに苦労したが、ついに完成させた」と笑顔を浮かべる。

 吉田教頭は函館活性化のためにも「地元企業と連携しての開発、製造、販売」を商品化のモットーにしたいと考え、2010年12月に大槻食材(古川裕志代表)とだるま食品本舗(小島節彌代表)に連携を呼びかけ、協力体制を作った。ことしに入ってだるま食品本舗で製造をはじめたが、同社営業部の今野修さんは「温度管理や弾力、透明感など、技術的に難しく試行錯誤の半年だった」と振り返る。試作を続け、ついに納得の味を完成。8月からの販売開始にこぎつけた。今後の展開について大槻食材の東兼一常務は「市民はもちろん、函館の食べ物として観光客にも食べてもらいたい。ホテル、旅館にPRしていく」と意欲。吉田教頭は「試食の反応も上々。スイーツの食材として発展させることもできそうだ」と語る。

 商品の問い合わせはTEL0138-26-5131(大槻食材)。 (堀内法子)



◎町会の港祭りにも少子高齢化影響 

 子どもが集まらない−。8月上旬、函館市内の多くの町会が独自で開く港祭りに少子高齢化の影響が出ている。「時代の流れにさからえない」と中止に踏み切る町会も一部で見られるが、大半は「楽しみにしている人が多いから」と行事を続ける予定だ。

 高盛町会(佐藤福明会長)は今年、町会創立翌年の1963年から毎年続けてきた港祭りの中止を決めた。費用約40〜50万円は町会員や企業などの寄付金で賄い、赤字にはならないものの、ここ数年の子どもの参加者は5人ほど。「頑張って準備してもお年寄りばかり。子どもが集まらないようでは楽しくないし、やりがいもない」(佐藤会長)。

 同町会によると、近隣の日乃出、宇賀浦の両町会も何年か前から夏祭りはやめているという。7月の高盛町会の役員会議でも中止に異論は出なかった。既に町内世帯に周知しているが、佐藤会長は町内の企業や、今年も夏祭りを実施予定という堀川町会にもあいさつに出向いた。

 佐藤会長は「毎年万単位の寄付を寄せてくれた企業もあるし、うちに来ていた子どもは堀川町に流れるだろうからね。あいさつをしてすっきりしたけど、中止はやっぱり残念。来年以降も難しいだろう」と言葉少な。 こうした中、多くの町会関係者は「毎年楽しみにしている人を裏切ることはできない」として中止はしない考えだ。

 若松町会の本間信太郎会長は「(町会の)一大イベントだけに近隣町会からも来てくれる人が多い。少子高齢化も切実な問題だけど、中止は考えられない」。旭町会の四辻陸紀会長も「周辺で港祭りを開く町会が少ないせいか、旭町の祭りに人が流れてくる」と明かし「今年も準備は着々と進んでいる。どれだけ集まるか分からないが、大いに盛り上がりたい」としている。

 子どもは集まっても、祭り会場として使える十分なスペースがない町会も。

 大川町会(新谷則会長)は、会場だった敷地が民間に売却された影響で約5年前から大々的な港祭りを断念。以降は町会館前の市道を通行止めにして飲食物の出店などを構える。新谷会長は「子どもにも気軽に楽しんでもらっているが、港祭りで出していた立派なやぐらは物置にしまったままで、これはこれで寂しいね」と話している。 (長内 健、平尾美陽子)


◎「泊原発中止」主張平行線 市民団体に北電回答

 函館の市民団体「函館・『下北』から核を考える会」(大場一雄、矢尾板和子共同代表)による泊原発(後志管内泊村)3号機の営業運転中止とプルサーマル計画の撤回を求める申し入れに対し、北海道電力は28日、文書で回答をした。対応した北電函館支店は「緊急安全対策を既に実施し、新たな中長期的な対策も4年以内に実施していく」と説明。同会側は「安全の確証はない」と改めて中止を求めるなど双方の主張は平行線をたどった。

 北電が、同原発3号機の営業運転再開に向け近く最終検査を国に申請する意向を示していることに対し、同会は19日付で5つの質問を盛り込んだ要請文を送り、28日までに文書で回答するよう求めていた。

 函館支店には大場、矢尾板共同代表ら同会メンバー6人が訪れ、北電側は同支店企画総務グループの岩代基グループリーダーら4人が対応した。

 回答で北電側は「緊急安全対策を実施し、国からも妥当なものであるとの評価を受けた。さらなる安全性向上のため、中長期的な対策にも自主的に取り組む。福島第一原発の事故に至った原因や経緯についての情報収集に努め、新たな知見を反映するなど適切に対処する」と強調。中長期対策は、非常用発電機の配備や移動発電機車の追加配備など8項目について1〜4年以内をめどに行うとした。

 3号機については「最終検査を受検する準備を進めていたところであり、国による安全確認を受けることとしたい」との意向を示した。

 北電側の説明に対し、同会メンバーは「(中長期対策が完了する)4年以内に事故が起きないとは言えない」と不安視し、「今回の事故がどのような形で起きたのか解明を待つべきだ」「本当に安全だと言い切れるまで、時間を取ってもおかしくはない」などの注文も相次いだ。

 大場共同代表は終了後、取材に対し「回答になっていない。『安全』を宣伝しているだけだ」と不満をあらわにした。(山崎大和)