2011年7月31日 (日) 掲載

◎冥福祈って灯ろう1000個 大沼湖水まつり

 【七飯】第102回大沼湖水まつりが30日、大沼公園広場で開幕した。先祖や水難者、東日本大震災犠牲者を弔う地元の住職らの読経の後、梅花講が唱えるご詠歌に送られ、灯ろう流しが行われた。参加者は夏の湖面を静かに照らす灯ろうのあかりに、大切な人への思いを込めて手を合わせていた。

 湖水まつりは1906(明治39)年、水難者供養のために景雲寺の住職が灯ろうを浮かべ、法要を営んだのが始まり。今年は東日本大震災犠牲者の追善供養と、早期復興祈願を合わせて執り行われた。

 慰霊祭では約100人が灯ろうを手に持ち、大沼国際交流プラザ前から公園広場まで行進。中宮安一町長は「東日本大震災で多くの命が奪われ、ご遺族に心からの哀悼の意と、一日も早い復興をお祈りする」と述べた。七飯大沼国際観光コンベンション協会の堀元会長は「1000個を超える慰霊灯ろうにはみなさんの優しい思いが込められている。遊歩道から流れゆく灯ろうを眺めてほしい」とあいさつした。

 七飯仏教会の住職らによる読経が始まると、参列者は厳粛な雰囲気の中で故人をしのび、静かに灯ろうを湖面に浮かべていた。

 2日目の31日は、終日ステージでイベントが行われるほか、午後7時から灯ろう流し、午後8時からの大花火大会で幕を閉じる。(今井正一)



◎学童保育 住宅地で需要 北美原と桔梗町に本年度開設

 共働きや母子・父子家庭で育つ小学生が放課後を過ごす学童保育所は、函館市内で本年度から2カ所増設され、45カ所となった。共働き世帯の増加などを受け、児童数が多い校区でニーズが高まっており、本年度は「北美原第2たいようクラブ」(北美原1)と「アライブ」(桔梗町433)が開設され、保護者からは「安心して働きに出られる」と喜びの声も上がっている。

 市内で最も児童数が多い北美原小学校校区内の学童保育所は「北美原第2たいようクラブ」の開設で計3カ所となった。同小の児童732人のうち、120人が学童保育所を利用している。

 「第2—」は定員50人。昨年、校区内の保育園、幼稚園にアンケートを行ったところ、入所希望者が多く、待機児童が出る恐れがあったため、「北美原たいようクラブ」の分割として設立された。すぐに多くの登録希望があり、現在43人の児童が在籍。普段の公園遊びなどに加え、サイクリングや合宿、運動会など、たいようクラブとの合同企画にも力を入れ、子どもたちに喜ばれている。

 また、「アライブ」は、函館めぐみ幼稚園の一室を利用し開設。定員を約20人とし、現在は16人が登録している。約9900平方メートルと広い芝生の園庭で、子どもたちは自由遊びなど楽しんでおり、今後の活動として稲刈りやバーべキューなどを予定している。

 同クラブの山西朗太所長は「開設当初に比べ、子どもたちの様子がより生き生きとしてきた」と話し、「子どもたちが元気に、自由に伸び伸び過ごせる場所のサポートを今後もしていきたい」と語る。

 ただ、函館市教委は、北美原小に通う児童数が本年度をピークに来年以降減少するという見方を示す。北美原第2たいようクラブ専任指導員の川田雅昭さんは「周辺には公園があり、立地条件に恵まれている。しかし、少子化の影響で今後は利用者数が減るのでは」と話す。

 市教委生涯学習課は「現時点では未就学児の人数推移を見守り、新たな受け皿が必要となる場合は随時対応を考えていく」としている。(平尾美陽子)



◎復元意義など語る

 29日に開館1周年を迎えた箱館奉行所の1周年記念特別フォーラム(箱館奉行所主催)が30日、函館市中央図書館で開かれた。5人のパネリストが一般市民約120人を前に意見を述べ、奉行所への理解を深めた。

 箱館奉行所は昨年、特別史跡「五稜郭跡」に約140年の時を経て復元。入館者数は開館1年で33万人を超えるなど、函館観光を支えている。

 この日は、パネリストとして函館市教委の山本真也教育長、土方歳三資料館の土方愛副館長らが出席。全体テーマを「箱館奉行所—その復元と未来への展望—」と題し、各人が発表した。

 「特別史跡五稜郭跡にあった箱館奉行所復元の意義とその役割」とのテーマで講演した山本教育長は「復元の意義は、五稜郭が何であったかを目で見て知ることができる点にある。子どもたちの良い教材になり、市民の方々には何度も足を運んでいただけたらうれしい」と話した。

 土方副館長は「激動の時代を生きた土方歳三と箱館奉行所の復元」と題し、「祖先の歳三が最後の冬を過ごした所で、当時の空気をそのままに感じることのできる場所。今後も土方の生家と函館の結びつきが一層深まれば」などと発表した。

 同奉行所の沼崎孝男副館長は「多くの市民に参加していただき、大変ありがたい。5人の方の貴重なご意見を参考にしていきたい」と話していた。(後藤 真)


◎目指せ一流料理人 「川魚料理 鯉之助」修行中の木村隆弘さん

 頑張れ未来の巨匠—。和食料理の奥深さに魅せられ「伝統の担い手になりたい」と日々、調理場で修業する青年がいる。函館市本町32の「川魚料理 鯉之助」(中里拓二社長)で昨年7月から見習いの木村隆弘さん(20)。修業が厳しい料理人世界にあえて飛び込み「この道を選んで良かったと思える未来の自分のためにも、今を力いっぱい生きたい」と、今日も下準備を全力でこなしている。

 木村さんは幼少から料理が好きで、昨春卒業した函館短大付設調理師専門学校(柏木町)では西洋料理を専攻したが「かっこよさでは西洋料理だけど、やっぱり和食がいい」と固い決意で老舗店の門をたたいた。

 地元で人気の同店は、中里社長(61)の父親で10年前に他界した鉄之助さん(享年85)が、1953年に創業。「仕事への妥協を一切許さない。料理はもちろん、接客から店内の雰囲気づくりなどすべてに心を込めなければ」と中里社長は先代の教えを忠実に守り、木村さんへの指導も徹底している。

 うなぎ稚魚の不漁で国産の価格が跳ね上がり、業界は厳しい状況だが、木村さんの情熱は揺るがない。「土用丑の日」の21日は、かば焼きづくりで多忙を極め、与えられた仕事を懸命にこなした。

 中里社長は「彼は粘り強くてスタミナもある」と評価し、「修業始めは同じ仕事の繰り返しで辛抱のとき。調理場に立つほかに、お客さんへの礼儀や交流、何でも大事な勉強と思ってほしい」と激励する。

 8月2日の「土用二の丑」を前に忙しさは増すが、木村さんは「どこまで自分ができるか分からないが、限界を設けず、挑戦し続けたい」ときっぱり。

 中里社長も「どれだけ経験を積んでも毎日が修業という心構えが大事。かば焼きは割きに5〜6年、串打ち3〜4年、焼きは一生だからね」と笑う。(田中陽介)


◎渡利さんに郵趣活動賞

 公益財団法人日本郵趣協会(東京)が、長年にわたり郵趣の普及活動に功績を残した個人、団体に贈る「郵趣活動賞」に、日本郵趣協会函館支部長の渡利正義さん(70)が選ばれ、30日に横浜市で開かれた全国郵趣大会(同協会主催)での授賞式で表彰された。同支部からの全国表彰は初めてで、渡利さんは「個人の賞だが、仲間とともにもらった賞。支部全体が評価されたものとして受け止めている」と喜んでいる。

 渡利さんは1954年ごろから切手収集を始め、60年に当時の郵趣団体に加入して活動を続けてきた。97年には函館支部の設立に参画。以来支部長として函館道南の郵趣活動の普及に取り組んでいる。

 支部として毎月例会を開き、会報「臥牛」も結成以来1度も休まず177号まで発行した。

 特に支部長として昨年9月に函館で全国会員大会を開催したのをはじめ、3度にわたり北海道会員大会を行ったことが評価につながった。受賞者は渡利さんの他4人。

 「切手や郵便物を通して見えてくる歴史や文化が面白い。新しい発見がある」と郵趣の魅力を語る渡利さん。常に「融和」を心掛けて活動し、「会員が仲良くなければ大きな大会を運営していくことはできない」と話す。

 函館支部の会員は約30人。全国的に郵趣人口は減少傾向で、函館支部も例外ではない。渡利さんは「若い世代を中心に、郵趣の面白さを伝える取り組みをしていきたい」と語っていた。(鈴木 潤)