2011年7月5日 (火) 掲載

◎プライベートドッグルーム設置  津軽海峡フェリー 

 津軽海峡フェリー(函館市港町、石丸周象社長)は、函館―青森間を運航するフェリー「びなす」と「びるご」の2隻を新たに犬(小型)対応とし、同社初のプライベートドッグルームなどを整備した。15日運航分から受け入れる。利用客のニーズを受けた取り組みで、同社は「今後も要望にきめ細かく対応していきたい」とする。

 同社はこれまでに、同航路を運航する「ブルードルフィン」にドッグバルコニーとドッグルームを設けていた。この利用状況や客へのアンケート結果などから、さらに犬を船内に連れ込むニーズがあることを確認。今回新たに2隻を改造し、併せて3隻が犬対応となる。

 びなすとびるごでは、1グループのみが利用するプライベートドッグルームを2室ずつ整備した。それぞれ2匹まで受け入れが可能で、客室を改造した約10平方bの室内床は汚しても簡単に掃除できる床張りに。逃げ出さないような柵を設け、ソファやクローゼットなどの家具を置いた。料金は1室1万2000円。

 ドッグルームは各船1室を整備。20匹まで受け入れられ、約30平方メートルの室内には収容ケージやテーブル、椅子などを置いた。料金は1匹1000円。両タイプの部屋共に空気清浄機を置き、ペットシーツも利用できる。

 同社は「乗船時に『犬を車内に残すと不安』という人が多く、このような声に応えていきたい」と話している。   (小泉まや)



◎酒米を本格活用へ 

 函館市は昨年度に試験栽培した酒米の本格的な活用に乗り出す。収穫した酒米を使って文字通り“函館の地酒”製造を目指すほか、近年関心が高まっている米粉の生産、さらに家畜の飼料用としての活用をイメージしており、市農林水産部は「試験栽培したノウハウをフルに使いたい」と意気込んでいる。

 市は昨年度、緊急雇用対策の一環として同市亀尾地区の休耕田約4000平方メートルを利用して、道内で広く生産されている酒米「吟風(ぎんぷう)」を初めて栽培。技術面はもちろん、函館の気候条件が栽培に合致するのかを探るとともに、醸造する過程でどの程度アルコール度が上がるのかを検証している。

 活用に当たっては3つの方策を想定。地酒製造には、地元に醸造メーカーがないため、市の他部署や高等教育機関、酒類販売業者らと連携して、製造や販売などの体制構築を模索する。出資者が有限責任のみを負うLLP(有限責任事業組合)の手法なども想定される。

 酒米から米粉を作る計画では、地元の飲食店や加工業者に米粉を使った新商品の開発を持ちかける考え。昨年度から始まったコメ農家への戸別所得補償制度では、米粉用米は生産調整外で作付けでき、食用米と同じ程度の採算が取れるメリットもある。

 また、家畜用米としての活用では酪農業者らの協力を得て、肉質や牛乳の成分に違いがあるかどうかを検証する。

 補正予算案には関係経費約24万円を計上しており、本年度は酒米の成分分析とともに関係業者らに原料として提供する。同部は「酒米からさまざまな製品が作れることを周知し、生産者の所得向上に結び付けたい」と話している。  (千葉卓陽)



◎世界平和 心に刻む

 函館市内の戦争被災地を見回って調べる「ピースウオーク11」がこのほど開かれた。参加者らは函館山要塞跡から称名寺周辺を辿りながら、多くの命が失われた函館空襲に思いをはせた。

 北教組函館支部の主催。北教組の会員や市民など25人が参加。案内役は「函館空襲を記録する会」の浅利政俊代表(80)が務めた。1945(昭和20)年7月14日から15日にかけ、アメリカ軍の戦闘爆撃機が函館港や函館市街地を襲撃。船舶や家屋が破壊され、多くの死者や負傷者が出た。同会では戦争の悲惨さを伝え、風化させないよう、さまざまな活動をおこなっている。

 浅利さんの解説で函館山要塞跡を見学後、山のふもとにある青函連絡船殉職者慰霊碑に移動。この日は、第4青函丸の船長として函館空襲で殉職した沼田亨さん(享年35)の長女、吉村征子さん(73)も参加した。吉村さんは「戦時中の体験を伝えられる人は少なくなった。戦争のこと、父のことを通じて伝われば」とし、空襲直前の家族のやり取りや殉職の知らせを聞いた時のこと、。女手ひとつで5人の子どもを育てた母について振り返った。文献では伝えられない当時の様子に、涙を浮かべる参加者の姿も。函館空襲について理解を深め、世界平和を心に刻んだ。

 その後、称名寺(船見町18)境内にある函館空襲犠牲者の慰霊碑前に移動。浅利さんは米兵の名前も記されていることに触れ「怨親(おんしん)平等の精神である。敵、味方関係なく、亡くなっていった人を悼みむことが平和につながるはず。これが平和活動の原点」と解説。「子どもたちこそ宝。これからもかつての戦争から学び、平和を伝えてほしい」と呼びかけた。 (堀内法子)


◎台湾からの視察団来函 

 東日本大震災や原発事故の影響で海外からの観光客が落ち込む中、台湾の航空会社が招いた現地の旅行会社や出版社の関係者らが4日、函館入りした。一行は5日までの日程で五稜郭タワーや市内西部地区などを回り、函館観光の安全性を確認した。

 函館―台北線のチャーター便を運航する台湾の復興航空の主催。道内観光の安全性をPRし、台湾での道内旅行の需要回復につなげようと、6月30日から5泊6日の日程で旭川や阿寒湖、帯広などを回り、函館市など4市も協力した。

 現地の旅行社15社と旅行雑誌社3社から計19人が4日午後に五稜郭タワーに到着すると、「熱烈歓迎」の横断幕を掲げて函館の観光関係者が出迎えた。函館国際観光コンベンション協会の藤森和男専務理事は「函館が安全・安心であると実感してもらい、本国で伝えてほしい」と訴えた。

 昨年の函館への海外チャーター便のうち、復興航空は計208便・約3万3000人と最も多い全体の8割以上を占める。一方、震災後の今年3月は10便、4月はゼロと急減し、5月は1便、6月は11便と徐々に回復傾向にあるが、7〜9月の計画は16便と、昨年に比べると4〜8便は少ないのが現状だ。

 同社客運営業部の汪祥龍(ワン・ショウリュウ)業務主任(32)は「客数の減少に加え、ツアー価格も3割程度下がっている。それでも日本の中で北海道は最も需要の回復が早いため、台湾で道内の安全性をアピールし、早く前年並みに戻したい」と話した。一行は5日に函館朝市などを巡り帰国する。  (森健太郎)


◎七夕を控え 商店に活気 

 7日は五節句の一つ「七夕」。現在でも笹竹に願いを込めた短冊や色とりどりの吹き流しなどを飾る風習が続く。函館市内の商店では風物詩を盛り上げる飾りなどが店頭に並べられ、日にちが近付くにつれ、足を運ぶ市民らが目立っている。

 駄菓子やおもちゃなどを販売する「バラエティショップあさひや」(千代台町31)では、サイズや色、形がさまざまな吹き流しを中心とした飾りや各家庭が子どもたちに配るお菓子を買い求める客がこの時期はひっきりなしに訪れる。人気は5色の短冊と飾り数点が詰められた七夕セット(1320円)。お菓子も1人当たり50円〜数百円ほどが売れ筋、多い人では200人分を購入する人もいるという。同店では「飾りはベーシックなものが好まれ、お菓子もくじ付きやセットが売れている。商品数が多い早めの時期に購入を」と勧める。

 季節行事に合わせた商品に力を入れる「宮田商店」(若松町30)では、スーパーボールやお菓子を景品にしたくじ引きセットがここ数年、人気という。宮田一人店主は「お客さんの入りが少ないような気もするが、当日によく売れる時もあるのでこれからが本番」と話している。

 7日の天気は晴れる見込み。東日本大震災もあったことから、ことしの七夕は例年以上に願掛けをする人たち多くなるかもしれない。(小杉貴洋、平尾美陽子)