2011年7月9日 (土) 掲載

◎復興願い 感動の舞台…野外劇開幕

 第24回市民創作函館野外劇「星の城、明日に輝け」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)が8日、特別史跡五稜郭跡の特設会場で開幕した。ダイナミックな舞台装置の中、幾多の困難を乗り越えてきた先人の歴史を市民ら400人が熱演。東日本大震災被災地の復興を願い、来場者350人と思いを共有した。

 開会セレモニーで同会の中村由紀夫副理事長が「函館の歴史をテーマにした素晴らしいスペクタクルを楽しんで」とフィリップ・グロード理事長のメッセージを代読。工藤寿樹函館市長が「結集した市民の力で震災被災地と函館が元気になれば」と祝辞を述べ、七飯町在住の作家新井満さんが自作の「星のまちHAKODATE」を出演者らと合唱した。函館観光大使の池田さなえさん、平田まりさんのミニコンサートも行われた。

 ステージは午後7時40分に幕開け。キャストらはコロポックルなどのナレーションに合わせ、高田屋嘉兵衛が登場する函館の発展や、黒船来航シーンでのフラッグダンスで練習成果を披露。銃撃戦が行われた箱館戦争や、「ソーラン節」に合わせた踊りも客席を魅了。エンディングは出演者と観客とがペンライトを振りかざしながら「星のまち|」を熱唱した。

 今年の公演は全11回。7月は9、15、16、22、23、24、29、30日。8月は5、6日。(長内 健)



◎海底活断層調査へ…「函館平野西縁」の延長上

 【北斗】産業技術総合研究所と道立総合研究機構地質調査研究所は、文部科学省の受託事業として、8月中旬から北斗市沿岸域で「函館平野西縁断層帯」の延長上に位置する海底の活断層調査を実施する。主に船上から音波探査などを行い、活断層の位置や規模を確認。収集したデータを解析し、本年度中に報告書をまとめ、来年度以降に調査結果を公表する。

 函館平野西縁活断層帯は、主に渡島大野断層と富川断層で構成。函館平野と西側の上磯山地境界付近に位置し、西側に隆起した逆断層で、函館湾西岸付近まで南北24キロに及ぶ。2001年に文科省の特別機関「地震調査研究推進本部」がまとめた将来の活動予測では、マグニチュード7.0〜7.5程度の地震発生の可能性が30年間で0〜1%あると評価されている。

 文科省は2009年度から、地震調査観測の空白域となっていた国内沿岸部の活断層調査を開始。これまでの陸上部の調査と併せて、評価の見直しを進めている。本年度の調査対象として、北斗市沿岸部などが選定された。

 北斗市沿岸では、西縁活断層から続くと想定される矢不来沖や葛登支(かっとし)岬沖を調査し、西側の木古内町から知内町にかけて沿岸部でも断層の存在を明らかにする。2〜3週間かけて、船上から音波探査で海底の堆積構造を調べるほか、堆積物を採取して、過去に断層が活動したかどうかを調べる。木古内町内では、陸上部で段丘面の高低差の調査を実施する予定。

 道立総合研究機構地質調査研究所の内田康人主査は「音波探査で海底下の堆積構造を調べ、断層の存在や地層のずれがわかる。さらに、堆積物を分析することで、いつごろ断層のずれがあったかなどが明らかになる」としている。(今井正一)



◎五稜郭公園で放射線量調査…道が今月下旬から

 道は、福島第一原発事故による風評被害で外国人観光客が減っている観光地の安全をPRするため、入り込み数が多い函館市の「五稜郭公園」など道内6観光地で、放射線モニタリング調査を行う方針を決めた。今月下旬から月に1回の頻度で、各総合振興局職員が空間の放射線量を調査する。

 7日に開かれた道議会の「食と観光対策特別委員会」で道側が説明した。  調査は、ことし3月から渡島総合振興局に設置している検査機器(サーベイメーター)を使い、職員が同公園内で空間放射線量率を測定し、結果を道観光局ホームページで公表する。日本語のほか、英語、韓国語、中国語、ロシア語の5カ国語で表記する。

 調査点はほかに、オホーツク流氷館(網走市)、十勝川温泉(十勝管内音更町)、釧路市湿原展望台(釧路市)、登別温泉(登別市)、旭山動物園(旭川市)。

 東日本大震災以降は、世界各国で日本への渡航制限や航空機の減便が相次ぎ、道内への外国人観光客が激減。地域経済への打撃も大きいことから、客観的な数値を公表することで外国人に安心してもらう。道観光局は「道内観光地の安全性が十分に伝わっておらず、この機会に広く情報発信したい」としている。(山崎大和)


◎旧北高をスポーツ公園に…工藤市長

 函館市議会第2回定例会は8日、個人質問を続行した。工藤寿樹市長は、旧函館北高の跡地利用について、旧校舎を解体し、サッカーなどのグラウンドとランニングコースを設置した「スポーツ公園」として整備する方針を明らかにした。数億円規模に上る整備費には合併特例債を活用し、利用期限となる2014年度末までの完成を目指す。

 金沢浩幸氏(市政クラブ)への答弁。

 工藤市長は「旧校舎を解体撤去し、サッカーやラグビーのグラウンドと、周辺にはできれば全天候型のランニングコースなどを設置した『スポーツ公園』として整備し、日吉サッカー場と合わせて市民の利用や大会、合宿誘致に取り組みたい」と述べ、市民体育館の全面建て替えと並行したハード整備に着手する考えを示した。

 市教委によると、跡地にはサッカーやラグビーに対応できる人工芝のグラウンドを少なくとも2面用意し、周囲にランニングコースを設ける計画。旧校舎の解体費に約3億2000万円、人工芝グラウンドの整備費に1面当たり約1億6000万円かかる試算で、総事業費は最低でも6〜7億円に上る見通し。

 金沢氏は「旧校舎を合宿所として整備できないか」とただしたが、山本真也教育長は「第1種住宅専用地域という用途地域上、現状では合宿所を開設することはできず、運動施設として設備を配置するうえでは旧校舎の位置は支障となる」とし、解体撤去する意向を説明した。

 また、金沢氏への答弁で工藤市長は、函館ハーフマラソンのフルマラソン化について「観光をはじめ、地域経済の活性化や地域振興につながる一大イベントとして、ぜひとも実現したい」と述べ、これまで慎重だった市の方針から大きくかじを切った。今後はハーフもコースの見直しや大幅な定員拡大も検討し、フルの早期実現を目指す。

 この日で個人質問は終了。また市は、介護給付費の事務処理ミスに関し、市とソフトの運用を誤ったエスイーシーとで欠損金4882万円を折半するための議案を追加提案し、民生常任委員会に付託された。9日には3常任委員会を開き、議案9件を審議する。(森健太郎)


◎香り高い焼酎満喫…喜多里を楽しむ夕べ

 【厚沢部】札幌酒精工業厚沢部工場(鶉383、岩崎弘芳工場長)が製造する、本格焼酎ブランド・喜多里(きたさと)の魅力をPRするイベント「喜多里を楽しむ夕べ2011」が7日夕、町民交流センターで開かれた。焼酎原料になるサツマイモ・黄金千貫(こがねせんがん)の生産に携わる農家をはじめ、町内外から300人を超える来場者が訪れ、まろやかな味覚の焼酎を心ゆくまで堪能した。

 イベント開催は今年で5回目。荒川康実社長は「喜多里は着実に本道の焼酎として根付いている。厚沢部の皆さんには良い原料を作っていただき、私たちもより良い製品を目指して一層の努力を重ねたい」とあいさつ。祝杯の音頭を取った渋田正己町長は「喜び多き古里は厚沢部にありとの思いで、これからも厚沢部生まれの喜多里をご愛飲ください」と高らかに杯を挙げた。

 会場では、町内産の黄金千貫をはじめ、メークイン、ムラサキイモ、二条大麦などを使った喜多里ブランドの焼酎が勢ぞろい。八雲町熊石で採取している海洋深層水が水割り用のミネラルウオーターとして提供され、来場者はまろやかな味と香りを心ゆくまで堪能していた。(松浦 純)