2011年8月1日 (月) 掲載

◎接戦の連続 ボート競漕大歓声沸く

 函館港まつり協賛、市民参加ボートレース「函館ペリーボート競漕」(実行委主催)が31日、函館港の旧シーポートプラザ前で行われた。さわやかな夏空の下、名勝負を繰り広げ、大勢の観客を魅了。接戦の連続で、会場から大きな歓声が沸いた。

 レースは、1854(安政元)年にペリー提督率いるアメリカ艦隊が箱館に入港した際、箱館奉行ら日本の役人が小舟で米艦船に乗り込んだ史実を再現し、8人がボートに乗り込んだ。今年は一般の部に35チーム、女子の部には13チームが出場し、150メートルを早さと仮装のパフォーマンスで競った。

 一般の部の優勝チームは「レスキュー118」。海上保安庁函館航空基地の海のレスキュー隊が日ごろの厳しい訓練で培った体力、チームワークを発揮した。女子の部の優勝は北大女子チーム改め「チーム海女さん」で、昨年の悔しさを胸に、新戦力を迎えて勢いに乗った。

 仮装パフォーマンス部門の1位は、男性陣が女装とメイクでばっちり決めた「KARA@男」(北大水産学部)。肝心のレースではゴール手前で力尽きたが、愛きょうのあるセクシーダンスで来場者の笑顔を誘った。

 函館水産高校チームの2年小川みゆきさん(16)は「レースは負けたが、皆で参加していい思い出になった」、1年若杉颯太君(15)は「『セイ、セイ』と大きな掛け声で頑張って漕いだ」と満足の様子だった。(田中陽介)



◎増える高齢者虐待 昨年度の函館市内

 函館市内で介護を受けている高齢者への虐待が増加傾向にある。高齢者の身近な相談窓口となっている地域包括支援センターを通じて昨年度に寄せられた虐待通報件数は54件で、うち36件を虐待と認定。前年度から通報、認定とも11件増えている。市は昨年度に幅広い関係機関が参画する「高齢者虐待防止ネットワーク」を立ち上げて対応しているが、家庭内の問題が発見されにくい現状もある。市福祉部は「深刻な問題としてとらえ、粘り強く対応する必要がある」としている。

 高齢者虐待は@暴力をふるって体に痛みを与える「身体的虐待」A脅しや侮辱などの言葉や威圧的な態度、無視などの嫌がらせをする「心理的虐待」B性的行為を行ったり強要する「性的虐待」C本人の合意なしに財産や金を奪う「経済的虐待」D介護や世話を放棄する「ネグレクト」—などに分類される。

 虐待件数はこのほど開かれた地域包括支援センター運営協議会で示された。通報事例54件(重複あり)のうち、身体的虐待が36件と最多で、心理的虐待29件、経済的虐待15件など。昨年度は延べ711件の通報を受けており、1回当たり約13回対応している計算になる。

 このうち虐待と認められたのは36件で、虐待ではない事例が8件、「対象者と養護者との言い分が違ったり、話に矛盾がみられる」(福祉部)など、判断に至らなかったケースも9件あった。

 同部は数値化していないものの、息子や配偶者など家族による虐待が多いと分析するとともに、「養護者には自覚のない場合が多く、高齢者も養護者をかばったり、知られたくないなどの思いがあるため事実を訴えにくい面がある」として、虐待が疑われる場合に地域包括支援センターや市への相談、通報を呼び掛ける。

 昨年度立ち上げた高齢者虐待防止ネットワークでは、住民組織や社会福祉協議会による「早期発見・見守り」、介護保険事業所などによる「保健医療福祉サービス介入」、行政や警察、医療機関が参画する「関係専門機関介入支援」の3つのネットワークを組織し、問題が深刻化する前の段階から対応する考え。

 今年3月には独自の対応マニュアルを作成したほか、年内には講演会を開いて意識啓発を呼び掛ける。高齢者虐待に関する相談、問い合わせは市介護高齢福祉課TEL0138・21・3025。(千葉卓陽)



◎1日、高陽市と函館市が姉妹提携

 函館市と韓国・高陽(コヤン)市との間で8月1日に交わす姉妹都市提携の調印式に出席するため、高陽市の崔星(チェ・ソン)市長らが31日、空路で函館入りした。一行が降り立った函館空港では工藤寿樹函館市長らが歓迎の横断幕とともに出迎え、早くも祝賀ムードに包まれた。

 一行は崔市長をはじめ、金畢禮(キム・ピルレ)市議会議長ら高陽市関係者でつくる公式訪問団と、高陽市舞踊協会や韓国国楽協会高陽市支部のメンバーでつくる公演団の計約30人。同日午後5時すぎ、韓国・金浦(キンポ)空港から羽田経由で函館空港に到着した。

 空港ではハングル語で「歓迎 ようこそ函館へ」と書かれた横断幕が掲げられ、市や市議会、函館商工会議所などの関係者約20人が出迎えた。崔市長が到着すると、工藤市長が歩み寄って笑顔でがっちりと握手。ミスはこだてや在日本大韓民国民団(民団)函館支部の女性から花束も贈られ、記念写真を撮影して友好を深めた。

 函館新聞の取材に対し、崔市長は「函館は日本やアジアの中でも美しい都市の一つ。文化・芸術が盛んな高陽市と日韓の交流を深め、ともにアジアに誇れる都市にしていきたい」と抱負を語り、工藤市長も「ようやく2年越しの思いが実を結ぶとき。両市がより近づき、活発に交流していくことを期待したい」と話した。同日夜には市内のホテルで民団函館支部主催の歓迎の集いも開かれた。(森健太郎)


◎日韓友好願い「ムクゲ」植樹

 【北斗】函館市が8月1日に韓国・高陽(コヤン)市と姉妹都市提携を結ぶのを記念し、市民団体「道南ムクゲの花を広める会」(浅利政俊会長)は31日、北斗市野崎の清川寺の境内に韓国の国花で北斗市の花でもある「ムクゲ」を植樹した。

 同会は日本の花の会研究専門委員を務める浅利代表らが呼びかけ、昨年4月に市民有志で結成。中国やインドが原産とされ、道内では珍しく夏場に10センチほどの大輪の花を咲かせるるアオイ科の落葉樹「ムクゲ」を広めようと、昨年から植樹活動を行っている。

 今回は姉妹都市提携による日本と韓国両国の発展の象徴として「紫盃(しはい)」と「薩摩白」など3品種を1本ずつ植樹。この日は同会のメンバーら約10人が参加し、国の史跡戸切地陣屋跡地に続く道路沿いに仮植えされた苗木の根元にスコップで土をかぶせた。

 浅利代表は「ムクゲはどんな悪い土地にでも誠実に花を咲かせる。日韓両国の友好親善の象徴として育て、互いの歴史や文化を理解し合うきっかけにしたい」と話した。同会では花の見ごろとなる8月下旬に在日本大韓民国民団函館支部の関係者らを招き、鑑賞会を開く予定。(森健太郎)


◎福島選手ら熱戦に歓声 函館で南部陸上

 国内外のトップアスリートや地元の競技者が出場する第24回南部忠平記念陸上競技大会が31日、函館市千代台公園陸上競技場で行われた。8月に韓国で開かれる世界選手権に出場する日本代表や、道南出身で全国で活躍する選手のほか、一般の計約500人が出場(登録時)、約3000人が来場し、熱戦に声援を送った。

 トラック競技では、午前中は公開競技として地元の小学生らが出場、スタンドからは仲間や保護者らの応援の声が飛んだ。続いて、女子日本代表短距離メンバーの福島千里選手(道ハイテクAC)、日新中出身で男子110メートル障害に出場した岩船陽一選手(サンメッセ)などのレースが行われると、来場者はトップ選手の走りに見入った。フィールド競技では女子やり投げ日本代表の海老原有希選手(スズキ浜松AC)らの好記録に大きな拍手が送られた。

 観戦に訪れた市内山の手の会社員、小田康博さん(37)は「地元の小中学生の選手にとって良い刺激になる大会。また開催してほしい」と話していた。