2011年8月10日 (水) 掲載

◎姥神大神宮渡御祭が開幕

 【江差】道内最古の祭礼として370年余りの伝統を誇る、姥神大神宮渡御祭が9日に開幕した。10、11の両日には、同神宮のみこし行列と13基の山車による渡御行列が町内を巡行。北前船時代の繁栄が色鮮やかによみがえる。

 祭礼初日の9日は、朝から好天に恵まれ、午後3時過ぎには28・2度の最高気温を観測。うだるような蒸し暑さの中、正午過ぎから人形や水引幕で飾った山車が同神宮に集まり「魂入れ」の儀式を行った。町内に戻った山車は、京都の祇園祭にルーツがあるとされる、優雅な祭ばやしを奏でながら街並みを巡った。

 戦国武将・加藤清正の勇壮な人形を飾る本町地区の「清正山(せいしょうざん)」でも、清正公の家紋を染め抜いた水色のはんてん姿の子どもたちが、額に汗を浮かべながら「エンヤ!エンヤ!」と声を合わせて山車を引いた。

 10日の「下町巡行(したまちじゅんこう)」は、正午過ぎに渡御行列が同神宮を出発する。歴史情緒あふれるいにしえ街道≠ネどを巡りながら、午後8時過ぎに愛宕町商店街に山車が集結する。同10時には同神宮で、たいまつの炎が先導する3基のみこしを社殿に納める「宿入之儀(しゅくいれのぎ)」も古式ゆかしく執り行う。祭礼3日目の11日は「上町巡行(うえまちじゅんこう)」を行う。(松浦 純)



◎函館市人口28万人割れ…住基台帳

 函館市の住民基本台帳に基づく7月末の人口は27万9851人となった。前月末から168人減少し、旧亀田市との合併以来初めて28万人を割り込んだ。出生者数が死者数より少ない「自然減」のみならず、転出者が転入者を上回る「社会減」も依然として際立っている。

 市総務部のまとめによると、6月末から7月末まで1カ月間の自然減は121人、社会減は66人。転出取り消しなど「その他」の増加分19人を差し引いて、168人が減少した。

 市の住民基本台帳人口は、1973年12月に旧亀田市と合併し、同月末に30万人を突破。最盛期の84年1月には32万2530人に達した。その後は少子高齢化や不況の影響で減少に転じ、95年3月に初めて30万人を割った。

 04年12月には渡島東部4町村との合併で29万9522人に戻したが、減少に歯止めはかかっていない。年度(4〜3月)の人口動態をみると、旧4町村との合併後、1年間で平均3300人減っているが、ここ2年間は2800人台で推移している。

 一方で、実際に自治体に住んでいる人を数える国勢調査では、昨年10月1日時点の調査で27万9110人となり、すでに28万人を割り込んでいる。前回調査(05年)からの減少数は1万5154人と道内で最も多く、全国でも2位だった。

 急速な人口減少は、活力低下や経済活動の低迷など地域そのものの衰退につながる。抜本的な対策は見当たらないが、減少幅を少しでも抑制するために、子どもを産み育てやすい環境づくりや産業の振興、雇用の創出などが急務となっている。(千葉卓陽)



◎4日間、たくさん遊ぼう!…「サマースクール」始まる

 障害のある子どもたちと大学生らが交流する「サマースクール2011in函館」(同実行委主催)が9日から始まった。今年も農園での野菜狩りやプール教室、工作体験などのプログラムを用意。函館八幡小学校を拠点に、12日までの4日間開催される。

 道教育大函館校の学生を中心に実施。学生がさまざまな教材を用意して知的障害のある小中学生、高校生を迎え、ともに楽しむ。15年目を迎えた恒例イベントで、参加を楽しみにしている子どもたちも多い。

 今年は小中学生、高校生66人と、サポート側は学生111人、社会人ボランティア37人のほか、市立函館高校の生徒20人も参加。楽しいイベントを心待ちにした子どもたちは、待ちきれないと言わんばかりに、今か今かとスタートを待った。

 開会式では来賓として「函館ゾンタクラブ」の水野幸子会長や市教委学校教育部教育指導課の小棚木こずえ指導主事が訪れた。小棚木指導主事は「たくさんお友達を作って、お兄さんお姉さんと仲良くなりましょう。笑顔輝く、4日間になることを祈っています」と激励。同大准教授で同実行委の細谷一博代表は「たくさん遊ぼう、頑張るぞ」と開会宣言をし、子どもたちの大声援のなかサマースクールの幕が開けた。(堀内法子)


◎市役所本庁舎の節電着々と…震災後、使用料8.5%減

 東日本大震災を受け、函館市が進めている市役所本庁舎の節電が一定の成果を上げている。4月以降の電気使用量は7月末までで前年同月比8・5%減となり、料金ベースでは月平均約8万円の削減につながった。市総務部は「行政が率先して節電に取り組み、コスト削減にもつながれば」としている。

 市は震災後の3月16日から、これまで600〜700ルクスだった執務室の蛍光灯の照度を500ルクスに落とす新たな基準を設けたほか、1階市民ホールの水銀灯をすべて消したり、廊下などの照明や庁舎の夜間ライトアップを自粛したりと、あの手この手で節電に努めてきた。

 この結果、毎月の電力使用量は4月が同4・7%減、5月が同10・4%減、6月が同6・9%減、7月が同12・9%減と着実に減少。料金では4〜7月の累計で同約33万円が浮き、特に7月はエアコンを一度も使わなかったこともあり、同約13万円の削減効果が見られた。

 昨年は猛暑だったため、庁舎の冷房は市議会開会中を除き7月23日〜9月6日までに計19日使用したが、今シーズン使ったのは今月8、9日の2日のみ。8月からは庁舎内が全面的に禁煙となり、各階に常設されていた空気清浄機なども撤去されたため、さらなる削減効果が見込まれるという。(森健太郎)


◎道南からも反発の声…泊3号機 北電が国に最終検査申請

 定期検査中で調整運転している泊原発(後志管内泊村)3号機について、北海道電力が9日、営業運転に必要な最終検査(総合負荷性能検査)を国に申請したことに対し、道南からも反発の声が上がっている。

 7月19日に北電に対し「同原発3号機の営業運転の中止とプルサーマル計画の撤回を求める」申し入れをし、同28日に北電から回答を受けた函館の市民団体「函館・『下北』から核を考える会」の大場一雄共同代表は「北電は拙速だ。玄海原発の再稼動が駄目だから、泊原発を動かして既成事実をつくろうとしている。福島第一原発事故がきちんと検証されないまま、営業運転に踏み切るのは容認できない」と語気を強める。同会は、10日にも北電に対し抗議文を送る方針。

 NPO法人南北海道自然エネルギープロジェクトのピーター・ハウレット代表理事は「自然エネルギーを前面に出すべき北海道で、原発の運転はミスマッチ。定期検査中の全国の原発の中で最初に動いてしまうのは大変残念で、道にとっては悪い影響しか考えられない」と懸念する。

 函館の市民団体「大間原発訴訟の会」の中森司副代表は「プルサーマルを燃料の一部として使う3号機は重大事故が起きた場合、被害は甚大で運転再開には反対。泊でも大間と同じように活断層の存在が指摘されており、今後も危険性を訴えていきたい」と話す。

 北電は3号機でプルサーマル発電を予定。検査で合格すれば、11日にも営業運転が開始される。(山崎大和)