2011年8月14日 (日) 掲載

◎女神のダンス函館初披露へ 藤島さん21日に凱旋

 この春、サッカーJ2コンサドーレ札幌のダンスドリルチーム「コンサドールズ」のメンバーとして、道南から初めてデビューした函館出身の藤島沙希恵さん(18)が、21日午後1時から函館市千代台公園陸上競技場で開かれる、コンサドーレ札幌対京都サンガF.C.戦で凱旋(がいせん)する。藤島さんは「試合はもちろん、昨年まで一緒に踊っていた仲間などに、踊りを見てほしい」と来場を呼びかけている。

 コンサドールズは1997年、日本サッカー史上初のオフィシャルチームとして誕生。コンサドーレ札幌のホームゲームで華麗なダンスを披露し「勝利の女神」役となる。

 藤島さんは、函館ダンスアカデミー(島崎啓子主宰)で、小学2年からダンスを始めた。いとこがコンサドーレのユースチームに所属していたため、同競技場で試合観戦をし、コンサドールズにあこがれていた。函館中部高3年の時、札幌への進学を決め、家族から勧められて今年1月のオーディションに応募。65人の中から書類、実技などで審査され、トップを目指すサテライトチームメンバーに選ばれた。

 藤島さんはこれまで、ジャズダンスなどを学んできたが、ポンポンを持ち、細かく止める動きのあるチアは初めて。「最初は難しかった。床のステージしか経験なく、芝生上でジャンプするのも大変だった」と話す。厳しいレッスンをこなし、4月23日の湘南戦でデビューした。

 コンサドールズの金子桂子プロデューサーは「ようやく道南から、しかも逸材が来てくれたという思い。藤島さんは振り付けの覚えが早く、笑顔で観客を引きつけられる」と話す。島崎さんは「小学生のころから、ダンスの基礎に取り組む姿勢や、チームとして踊ることに真面目に取り組んでいた。晴れ姿を見るのが楽しみ」と期待する。

 藤島さんは7月末、祖父の天野守治さんを亡くした。「楽しみにしてくれたのに残念。友達がたくさん会場に来てくれるが、おじいさんにも届くように頑張りたい」と意気込んでいる。

 試合当日は午前11時開場。通常、コンサドールズはキックオフ50分前や、選手紹介時、ハーフタイムでダンスを踊る。 (山崎純一)



◎函館観光6割がリピーター

 函館市と函館国際観光コンベンション協会は、昨年度に観光客を対象に行った観光アンケート調査結果をまとめた。観光客の約6割が来訪2回目以上のリピーターで、「また来たい」が99.1%と過去最高の割合となり、函館観光の満足度の高さが浮かび上がった。市観光振興課は「さらに連泊客を増やす滞在型観光を推進したい」としている。

 アンケートは昨年4月から今年3月までの間、函館山や元町周辺、五稜郭公園など市内の主要観光スポットで面接調査し、計2249人から回答を得た。回答者のうち道外客が77.3%と比率が高く、地域別では関東が38・9%、東北15.9%、中部・北陸11.3%と続いた。

 函館に来た回数は「初めて」が40.6%と最も多かったが、前年度比では4.5ポイント低下。一方、「2回目」は26.8%、「3回目」は15.9%とともに前年を上回り、「4回以上」も16.7%に上った。特に道内からの観光客は約8割が2回目以上と、リピーターの増加傾向がうかがえる。  函館市内の滞在については、全体の96.9%が宿泊を伴っていて、「日帰り」はわずか3.1%と少数派だった。宿泊は「1泊」が61.5%と依然として多かったが、「2泊」が同1.2ポイント増の29.4%、「3泊以上」が同1.1ポイント増の4.9%となり、少しずつ連泊化が進む兆しも表れてきた。

 市内での1人当たりの平均消費金額は同7.3%増の3万2235円。このうち宿泊客の使い道をみると、宿泊費は増えた一方、土産購入費や飲食費は減少した。年齢別では20歳未満は平均消費額の半分程度なのに対し、60歳以上では平均額より3割以上多かった。だが、ピーク時の1990年代後半に比べると、平均消費額は1万円以上下回っている。

 これらの結果を基に市が試算した函館観光の経済波及効果は同5.8%増の1698億円。同課は「今後はいかに1泊から2泊、3泊へと滞在日数を増やしていけるかが課題。観光名所を回るだけではなく、函館・道南を周遊できる体験型のプログラムを増やしたい」とし、今後は震災後の需要回復に向け、首都圏でのPRにも力を入れる方針だ。(森健太郎)



◎マリンガールがお出迎え

 函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町12)で13日、青函連絡船が終航を迎えたころに乗客の出迎えなどをしていた元マリンガールが乗船するイベントが行われ、来館者を楽しませた。

 同館を管理、運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会(木村一郎理事長)が31日まで、就航時の懐かしさを感じてもらう「海と船の企画展『青函連絡船と津軽海峡の旅』」の一環。マリンガールは「臨時女性船客掛」として、1980年7月に初登場。87年までの夏期、公募で選ばれた人が水色のブレザー、船員帽姿で乗客の送迎や津軽海峡などの観光案内を行い、88年3月の最終運航時も乗船した。同法人が今年7月、この日のために経験者を探したところ、函館の原みづほさん(45)、小坂美智代さん(47)、七飯の辰巳弘美さん(49)が見つかった。

 3人は当時と同じ服装で、入館者に乗客名簿のレプリカを渡したり、笑顔であいさつした。模擬出港のドラが鳴ると「昔を思い出し、胸にこみ上げるものがあった」と3人。観光案内では、函館山に箱館戦争の旧幕軍兵士を祭った碧血碑があることや、函館市について、ペリー来航により開港し、町はハイカラな海外文化がしみ込んでいると紹介。訪れた観光客らは「訪れて良かった」などと話し、3人と記念撮影を楽しんていた。

 原さんは「楽しく勤務していたことを思い出した」、辰巳さんは「若い時の気持ちになることができた」、小坂さんは「緊張したが、やって良かった」と話していた。

 マリンガールのイベントは15日まで、午前10時と午後1時から行われる。問い合わせは同館рO138-27-2500。    (山崎純一)


◎墓前の前で手を合わせ先祖の霊を供養

 盆の入りの13日、函館市内の墓地などでは、先祖の墓参りをする人が多くみられた。晴天の下、墓の前で合掌し、祖先の霊を供養した。

 この日の市内の最高気温は28・9度。強い日差しが照りつける中、東山町にある東山墓園には午前中から家族連れや帰省者など、多くの人が訪れた。

 訪れた人たちは、墓石の掃除をし、花やお供え物を供えた。墓石に水をかけ、線香やろうそくに火をつけ、静かに目をつぶり、合掌した。園内は真夏を思わせるセミの声が鳴り響いていた。

 市内美原から家族6人で墓参りに来た今渕鱒男さん(66)は「函館は7月にも盆があるので、毎年2回は墓参りをしている。墓には子どもが一人が入っていて、生きていれば今は何をしているのかと想像しながら手を合わせた」と話していた。 (後藤 真)


◎被災地の現実 写真に残す

 東日本大震災から5カ月―。被災地でボランティア活動を続ける、仙台市在住のアマチュア写真家篠原治樹さん(33)による写真展が、ギャラリー三日月(弥生町23)で開かれている。廃虚と地上風景を撮影した幻想的な作品に加え、篠原さんが被災地を訪れた際に撮影した写真を見ることができる。8月上旬に被災地を訪れ、物資を届けたという篠原さんに、被災地の状況などを聞いた。

 篠原さんは、4月上旬、知人とともに宮城県石巻市などに粉ミルクなどの物資を届けた。町はがれきに埋もれ、建物に漁船が突き刺さり、震災や津波の爪痕が残っていた。報道で目にはしていたが、電気や水道が使えない状況を自らの体で感じ、被災地の厳しい現実を実感したという。

 しかし、現地では、自ら被災者でありながら、復興に向け、前を向く人々の姿が見られた。今できることに全力を尽くす人々の姿に「自分にできることをやらなければ」と、シャッターを切った。泥にまみれた家の中や家具、たき火で暖をとる住民の様子などを撮影した。

 その後も、篠原さんは、仕事の休みを利用し、仲間と共に支援物資を届けた。除々に道路が整備され、お風呂や仮設住宅が建ち、生活環境が整っていた。しかし、被災地では、住宅の立地条件や段差、高齢者の孤立や体の運動労力の低下など、さまざまな問題を抱え、厳しい状況が続いているという。「高齢者の見守りボランティアなど、多くの人の支援を必要としている」と力を込める。

 震災後、篠原さんは、函館での個展を開催するか悩んだという。しかし、少しの間でも現実と離れ、異次元の世界を楽しんでもらいたいとの思いで開催した。

 篠原さんは「震災を忘れてはいけないが、現実から少し離れる時間も必要」とし、「自分たちにできることを見つけながら、被災地の復興に向け、活動を続けたい」と話していた。(平尾美陽子)