2011年8月18日 (木) 掲載

◎東大沼キャンプ場 クマ侵入防止へ電気牧柵を設置

 【七飯】東大沼キャンプ場(七飯町東大沼)付近で13日夕、ヒグマ1頭の目撃情報があったことを受け、渡島総合振興局と財団法人自然公園財団大沼支部(上野文男所長)は17日、同所付近にクマ侵入防止のための電気牧柵を設置した。同所でのクマ目撃情報は今回が初めて。最悪の事態を想定した場合の人的被害が極めて重大であるとして、緊急安全対策を取った形だ。

 同振興局環境生活課職員ら計8人が、同所中央部から北端まで大沼公園線沿いに約200メートル、さらに北端から湖岸まで約30メートルにわたり電気牧柵を設置。約5b置きに支柱を立て、間に3本の電線を張り巡らせた。電線の高さは地表から20センチ、40センチ、60センチ。クマが出没しやすい夕方から明け方にかけ、クマが触れると衝撃を受ける5000ボルト以上の電流を流すという。牧柵は道が所有するものを使った。

 このほかに、目撃場所近くには七飯町がクマ出没注意看板、同財団も生ごみを付近に埋めないなど注意点3つを記した看板を取り付けた。

 現場で作業した同課の熊中貢自然環境係長は「キャンパーの安全確保が最も重要。しばらくの間、設置しておきたい」と話していた。

 同キャンプ場の利用期間は5〜10月で、お盆のころが最盛期。13日はテント約100張り、100人以上の利用客がいたという。同日以降、クマの目撃情報はない。(山崎大和)



◎コープさっぽろ、市と協定 宅配事業で高齢者安否確認

 函館市と生活協同組合コープさっぽろ(札幌)は17日、高齢者の孤立死を未然に防ぐための「高齢者の地域見守り活動に関する協定」を締結した。独居世帯が増加傾向にある昨今、高齢者の安否確認などの手助けとなりそうだ。

 同活動は2月に札幌で始まり、道内各都市との協定締結は今回で6番目。函館市内の宅配サービス利用者で、65歳以上の高齢者は全体の約33%と高い割合を示していた。

 協定では、同社の宅配事業「トドック」や配食サービス時に配達員が異変を感じた場合、市など各関係機関に連絡を取ることを定めた。同社は「函館は高齢者が多く、見守り活動は組合員のニーズでもあった」としている。

 締結式では協定書を取り交わした後、出席した工藤寿樹市長が「高齢者のみの世帯が増えている中、今後は家族だけでなく地域の協力が大事になる。ネットワークを構築していく中で、御社の活動に心から感謝している」と謝意を示した。同社の山口敏文専務理事は「他都市では実際に配達員からの届け出で命を取り留めた例もある。これからも函館の組合員の力となり、活動を道内全域に広げていきたい」と話した。(後藤 真)



◎函館市の小中学校で始業式

 函館市内の公立小中学校74校で17日、2学期の始業式が行われた。児童・生徒は夏休みの楽しい思い出を胸に、元気に登校。校内に明るい声が響いた。

 函館東山小学校(五十嵐和幸校長、児童478人)では、体育館で始業式を実施。五十嵐校長はあいさつで「2学期は秋の観賞教室や学芸発表会のほか、交通安全や集団下校、避難訓練など、命を守るための授業がたくさんあります。心も体も大きく成長させるための大切な学期です。みんなで頑張りましょうね」と激励。児童らは校歌を声高らかに歌い、新学期への気持ちを新たにした。

 式の後は各学級に戻り、宿題の提出などをした。5年2組では児童28人が1人ずつ、夏休み期間中の思い出や新学期の抱負などを発表。家族旅行での出来事や、休暇中頑張ったことを笑顔で語った。黒田誠哉君は「小樽ターミナルでは大きな船を見たし、斉藤佑樹投手も見た。それに、港まつりで踊っているところがテレビに映ったよ」とにっこり。最後に順番が回ってきた川村優君は緊張しながらも、いとことバーベキューをした思い出を披露。「頑張ったことは今日学校に来るのに早起きしたことです」と話し、クラスメートの笑いを誘った。(堀内法子)


◎函館市の起業家支援の補助金 本年度3人を認定

 函館市は独創性のある起業家に補助金を交付する本年度の「チャレンジ計画」の対象に、シカ肉・皮を加工販売する北海道産ファームの渋田孝さん(33)と、旅行サービス業の函館観光コンシェルジュセンター社長の遠藤浩司さん(50)、男性ブランド服を製造販売する大崎信哉さん(29)の3人を認定し、17日に片岡格副市長が認定書を交付した。

 渋田さんは、近年増加するエゾシカによる食害を防ぎ、廃棄処分されることが多いシカの肉や皮を有効活用しようと、昨年10月から個人で事業を開始。猟銃ではなく「仕掛けわな」による良質なシカの加工が特長で、今年に入り、道南で唯一のシカ肉の処理工場の設立や五島軒とシカ肉の販売契約にもこぎ着けた。

 遠藤さんは、一昨年から国の緊急雇用創出推進事業の一環で、同センターが受託した着地型観光商品の企画、開発を進め、今年の4月には同センターを法人化。国の交付金が本年度末で終了するため、事業継続に向けて7月に旅行業登録し、道南18市町での滞在、体験型の旅行商品づくりを目指す。

 大崎さんは、函館発にこだわって2008年から男性服ブランド「SOUTH ROAD」を立ち上げ、服のデザインから販売までを手掛ける。現在、函館をはじめ、東京や大阪など全国15店舗で取り扱っていて、今年12月には市内で洋服店を経営する「First FLASH」から独立分社化する予定だ。

 同計画は市が00年から地元起業家を支援しようと実施。本年度は11件の応募があり、市内の有識者らでつくる認定審査委員会が3人の事業計画の独自性や新規性を評価した。渋田さんと遠藤さんに各200万円、大崎さんに100万円が補助される。交付式で片岡副市長は「事業を成功させ、地域活性化のために頑張ってほしい」と激励した。

 3人は「農業被害を食い止めるとともにシカの肉や皮を特産品化し、地域貢献できれば」(渋田さん)、「さまざまな体験プランを造成し、広域観光で道南での滞在日数を増やしたい」(遠藤さん)、「ファッションを通して函館からブランドを発信し、ものづくりで地域を元気にしたい」と話していた。(森健太郎)


◎工藤市長会見 5会議相次ぎ設置へ「経済再生」など

 函館市の工藤寿樹市長は17日の定例会見で、選挙戦で政策に掲げた「経済再生会議」を8月27日に設置することを明らかにした。経済、観光、ベンチャー支援、デザインの各分野で、東京や名古屋で活動する大学教授やエコノミストなどを委員に迎える。併せて、財政再建推進など4つの会議を、8〜10月中に立ち上げる計画だ。

 経済再生会議は同市長の目玉政策の一つで、「市外からの視点や発想で地域を分析することが必要」として設置する。市長と松本栄一函館商工会議所会頭のほか、外部有識者として東京の私立大学教授3人、札幌・名古屋の会社社長2人と、銀行傘下シンクタンクのエコノミストの計8人で構成する。

 工藤市長は「15人ほどの候補の中から、役所の仕事に関わりのない人をジャンルごとに選んだ。フリーに話し合いながら提言をいただき、政策に取り入れていきたい」とする。初回は外部有識者のうち4人が出席の予定で、地元の経済状況やこれまでの市の政策などを説明する。

 経済再生会議以外では、デザイン性に優れた都市空間の形成を目指す「美しいまちづくり検討会」を8月31日に、行財政改革総合プランの策定に向け取り組みを協議する財政再建推進会議と、望ましい福祉施策を検討する福祉政策推進会議を9月に、女性と若者の意見を反映させる目的の「まちづくり会議」を10月に設置するとした。

 市長はまた、22、23日にロシアのヤクーツクで開かれる日ロ沿岸市長会議に出席するとした上で「ユジノサハリンスクとの直行便がなくなり、交流をどう組み立てるか再構築が必要」と話した。このほか、本年度の地方交付税が当初予算比で約7億3000万円減る結果となった点については「非常に厳しい。(震災の影響で)特別交付税も減るので10億円ほどの赤字になりかねない」と懸念を示し、給与や人員、事業仕分けなどでの削減幅の目安を作成中とした。(千葉卓陽)