2011年8月2日 (火) 掲載

◎函館市、韓国・高陽市と姉妹都市提携に調印

 函館市は1日、韓国の高陽(コヤン)市との姉妹都市提携に調印した。函館市の姉妹都市提携は5都市目で、韓国の都市とは初めて。函館国際ホテル(大手町)で行われた調印式では、工藤寿樹市長(61)と同市の崔星(チェ・ソン)市長(47)が協定書を交わして新たな歴史の一歩を踏み出すとともに、各分野で交流を深め、末長く友好関係を築いていくことを誓った。崔市長はまた、運休が続く函館—ソウル定期便の早期再開を支援する意向を表明した。

 両市の交流は2009年7月、韓国航空大学校の李承昌(イ・スンチャン)教授が雑誌取材で訪れた際に接点が生まれた。同年10月には西尾正範前市長らが同市を訪問した際に交流が深まり、昨年1月に高陽側が提携を要請。両市議会の同意を得て、いったんは昨年12月24日に調印を予定したが、高陽市内での口蹄疫発生や両市長の交代などで延期となり、約2年越しの調印となった。

 調印式は午後1時から両市の議会議長、松本栄一函館商工会議所会頭、朱福龍(ジュ・ボクリョン)駐札幌韓国総領事が立会人となったほか、両市関係者や約100人の一般市民が見守る中で行われた。

 両市長が@経済、文化、スポーツ分野の相互交流を促進A青少年、教育、観光分野での交流の促進B民間団体の交流促進C貿易交流使節団や経済人の相互訪問を進め、積極的に協力するD公共機関、教育機関や地域企業間の直接的連携、交流を奨励する—の5項目からなる協定書にサインし、固く握手を交わした。

 工藤市長は調印に際し、「活気に満ちた若い都市で、文化遺産や自然環境にも恵まれた素晴らしい街」と高陽市をたたえ、「韓流ブームも相まって、韓国は大変身近になっている。市民レベルで交流を深めながら、アジアの平和と安定のため、日韓関係の友好と強化に努めたい」と述べた。

 一方、崔市長も「口蹄疫や東日本大震災など紆余曲折があったが、姉妹都市として交流の実が結ばれた。お互いに協力して一層近づけるように努力が必要だ」とし、「過去の歴史を清算し、平和で家族的な環境をつくりたい」と述べ、交流の促進を誓った。

 調印式後の会見で工藤市長は今後の交流について「近いからできることが多くある。他の姉妹都市より安く行き来できる利点を生かしたい」。崔市長は東日本大震災後から運休が続いている函館—ソウル定期便について「早期再開を積極的に支援したい」と協力を約束。また「10月に開く特産品フェスティバルで、函館の宣伝をしていただければ」と語った。

 ※高陽(コヤン)市 ソウル特別市の北西部に隣接し、面積267平方キロメートル。人口約95万人で、韓国10番目の大都市。1413年、高峰(ゴボン)県と徳陽(トクヤン)県から一文字ずつ取って名付けられ、ソウルへの人口集中に伴って90年代からベッドタウンとして発展。国内最大の展示場「KINTEX(キンテックス)」を持つほか、テレビ局のスタジオなど放送・映像産業を集積させ、経済活性化を図っている。(千葉卓陽)



◎日銀支店 道南6月の経済動向「先行き不透明」

 日銀函館支店が発表した6月の道南地方の金融経済動向によると、東日本大震災の影響で観光面を中心に下押し圧力が続いている。水産加工など生産面に一部震災関連需要があるが、景気判断は「先行き不透明感が強い状況にある」として据え置いた。

 プラス要素としては、生産のうち水産加工が被災地の代替需要から安定した操業を続け、水産加工品売上高(7社)は前年同月比14・7%増と2カ月連続で2ケタ台の伸びとなった。現場への聞き取り調査では「効果は当初予想より長く続いている」感触があり、同支店は「逆に考えると被災地の復旧・復興が遅れていることの表れ」とした。

 このほか、国内出荷向けセメント生産が被災地工場からの生産移管などで増加傾向にあり、電子部品関連も回復の動きが見えている。

 一方で観光は震災の影響を引きずり、道外・外国人観光客を中心に厳しい状況が続く。主要ホテル(20社)の宿泊客数は同22・2%減、函館空港乗降客数は同22・3%減、函館山ロープウェイ利用客数は同30・8%減、五稜郭タワー利用客数は同30・1%減に。それぞれ2—3割の幅で前年を下回っている。

 同支店は「前年は函館競馬場のリニューアル効果があり、その反動もある」としながら、09年同月比でもマイナスとなっていることから震災の影響を指摘。聞き取りでは7月下旬以降の需要が高まっているとの感触があるため「夏の時期にどれだけ稼げるかがポイントだ」とみる。

 個人消費は、薄型テレビやエアコン、省エネ関連商品などは好調だが、中元商品や高額衣料・雑貨が伸び悩み、主要小売店(10社)の売り上げは前年同月比0・5%減に。減少は小幅となったが、3カ月連続の前年割れが続いている。新車登録台数は同0・9%増と10カ月ぶりに前年を上回った。ただ7月には、前年がエコカー補助金のため好調だった反動で、同8・3%減で再び減少する。(小泉まや)



◎にぎやか函館 港まつり開幕

 開港152周年記念函館港まつり(実行委主催)が1日、開幕した。大門や十字街などに露店がずらり並び、沿道にはちょうちんも飾られ、華やか雰囲気を演出。大門グリーンプラザではラジオの公開生放送が行われ、電波を通じて函館の熱気を全道に届けた。

 函館港まつりは、1934年3月21日発生の函館大火で悲しみに打ちひしがれる市民に、焼け跡からの復興の活力を与えようと、翌35年に初開催。今年は東日本大震災を受け「例年の港まつりとは思い入れが違ってくる。復興への願いを込めたい」と関係者が準備を進めてきた。

 初日から、大門グリーンプラザと末広町高田屋通りのビアガーデンは大勢の家族連れらでにぎわった。大門ではHBCラジオの公開生放送が行われ、人気パーソナリティのYASUさんが「函館は盛り上がっていますよ!」と、来場者と軽快な受け答えで笑いを誘っていた。夜には、函館港一帯で花火大会も開催され、涼んだ夜風に美しい大輪が舞った。

 深堀町の主婦渡辺千代美さん(29)は長女の里桜(りお)ちゃん(2)と公開生放送に拍手を送り、「ビンゴ大会が楽しみで娘もご機嫌です」と話していた。

 2日は午後4時半からワッショイはこだて(十字街・松風コース)がアクロス十字街付近をスタート。函館港おどりやいか踊り、青森ねぶたなど64団体、計8740人が大門グリーンプラザまで練り歩く。雨天の場合は4日に順延。(田中陽介)


◎五稜郭跡の兵糧庫 一般公開

 国の特別史跡五稜郭跡にある兵糧庫の一般公開が、1日から始まった。初日は749人が来館し、発掘調査で出土した美術品など、貴重な展示物に目を見張った。

 兵糧庫は1864年ごろに土蔵として建設。その後、数回の補修工事を行うなどして現代に受け継がれ、2年ぶりに一般公開された。

 庫内には20年以上前に箱館奉行所跡から発掘された陶器やガラス瓶などの遺物数点、五稜郭築造時に堀や郭内に引き込まれていた上水道の木樋などが展示されている。また兵糧庫の歴史を映したパネルも設置され、観光客や市民らは、函館の文化を色濃く残す展示物を興味津々に眺めていた。

 箱館奉行所の沼崎孝男副館長は「貴重な建物。幕末の時代から残されてきた歴史を感じ取ってもらえれば」と話す。釧路市から旅行で訪れた黒島章一さん(62)は「初めて見たが歴史を感じた。道具も精巧に作られていて、昔の人はすごいと思った」と感心した様子だった。

 一般公開は31日まで。公開時間は午前10時から午後3時。入館無料。問い合わせは市教委文化財課TEL0138・21・3456。(後藤 真)


◎道南スギ間伐材でペーパーホルダー 中の橋木材店きょうから販売

 中の橋木材店(函館市松川町、小関範夫社長)内の函館臥牛工房が、道南産スギ間伐材を活用したキッチンペーパーホルダーを開発、2日から販売を始める。木から作った100%天然素材だけに、環境に優しく、木目の優しい質感が楽しめる。当面は50個の限定販売だが、売れ行き次第で量産する構想も持っており、道南林業の活性化に貢献しそうだ。

 間伐材の有効利用を常に考えていた小関社長は「道南林業を少しでも明るくできれば」との思いで、構想から約2カ月かけて商品化にこぎつけた。これまでも、カツラやケヤキ、キリなどを使って試作したが、重かったり、値段が高くなるなどの難点があった。スギは軽くて、柔らかく手になじみやすい利点がある。

 商品は直径約13センチ、高さ約27センチの八角形。縦にも横にも使用でき、衛生面にも優れる。キッチンだけでなく、居間や和室のインテリアとしても使用可能という。改行 製造工程は製材後、乾燥させ、木工ボンドで張り合わせたものに、表面に汚れ止めの塗装をする。

 使い方は、ペーパーを引き出しやすくするため、先端部を2センチほど外側に折り返し、ケースに入れる。スリットから2センチほどペーパーを引き出し、均等に整え、ふたをして完成。取りだすときに便利な「押し穴」も左右両方に付く。

 価格は1個3800円。小関社長(66)は「量産体制が取れれば、インターネット販売も考えている。天然素材の良さをアピールしていきたい」と意気込む。

 渡島総合振興局によると、渡島・桧山管内のスギ人工林面積は、森林全体の約6%に当たる約3万2000ヘクタール。間伐材は搬出・販売しても採算が合わないため、山の中に放置されることが多い。同振興局は「間伐材の新たな用途として期待できる。道は『地材地消』を推進しており、PR効果も十分高い」(林務課)としている。

 問い合わせは同社TEL0138・41・2906へ。(山崎大和)