2011年8月25日 (木) 掲載

◎ガゴメの力で視界良好!「ノース技研」「漁業用海中メガネ用くもりどめ」開発

 函館市昭和3の建設コンサルタント「ノース技研」(布村重樹社長)がこのほど、「漁業用海中メガネ用くもりどめ」を開発した。函館産のガゴメコンブエキスや研磨剤などを使い、ガラスの汚れやくもりを防ぐ。既に漁協など市内4カ所で販売している。

 同社によると、コンブやウニの漁業者は海中を見る円錐状の水中眼鏡で仕事するが、そのくもり止めとして汚れの洗浄にも効く宮城県の会社の製品を長年使用していた。しかし、この工場が東日本大震災で被災し、製造が不可能になったという。

 ノース技研では、2005年からダイバー用のゴーグル眼鏡に使用するくもり止めの開発を進めていた。道立工業技術センターとの共同特許で粘性多糖類の「フコイダン」を含むガゴメコンブエキスを使用し一旦完成したが、震災の影響で本州のゴーグルメーカーのプロジェクトが中止になり、販路が閉ざされたという。

 そんな時、戸井の漁業関係者から「ダイバー用でもいいから一度見せてほしい」と照会があった。布村隆二副社長と企画開発室の西谷龍一さんが会いに行き、従来の製品に研磨剤などを加えれば、漁師の期待に応える製品はできると判断。準備を進め8月中旬に完成、地元漁師のお墨付きを得て22日に漁協などに卸した。

 新作にはガゴメコンブエキスに加え、研磨剤、洗浄成分などを配合。同社によると、その効果は「ガラスに付着した油分などの汚れがきれいに落ちる。もちろんガラスの視界も良好になる」という。

 西谷さんは「今月19日に札幌であった『ものづくりテクノフェア』では関心を集めた。販路拡大が期待できる」と話す。布村副社長も「今回の商品は、少なくとも道内で製造している企業はないのでは」と語り、「漁業以外にも湯気が立ち上る浴室内の鏡にもある程度は活用できる。今後いろんな検証を重ねていきたい」と前向きだ。

 1本100ミリリットル、1200〜1500円。問い合わせは同社TEL0138・83・7128。(長内 健)



◎メガソーラー計画 函館市も誘致名乗り

 国内大手企業が大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を検討していることを受け、函館市は24日までに、建設候補地として市有地や市土地開発公社が持つ4カ所を選定し、道に候補地の提案書を提出した。市経済部は「原子力に替わるクリーンエネルギー政策を推進したい」としており、26日にも成立する見通しの再生可能エネルギー特別措置法案の動向を注視している。

 道内でメガソーラーの建設を検討している国際航業グループ(東京)、三井物産(同)の計画に対して提出した。候補地として、市土地開発公社が所有している臨空工業団地の造成予定地(東山町、2・8ヘクタール)と、恵山地区などの市有地3カ所(2・46ヘクタール〜2・69ヘクタール)を挙げている。

 市によると、国際興業はメガソーラーの立地条件として1・5〜4ヘクタールの賃貸物件、三井物産は@3〜4ヘクタール以上A10ヘクタールで、1平方メートルあたり150円以下の賃貸物件—などを挙げており、それらにおおむね合致する土地を絞り込んだ。

 提案理由として、工藤寿樹市長が青森県大間町で建設中の大間原発の無期限凍結を求めていることにかかわり、クリーンエネルギーの推進に重点を置いている点を挙げる。市工業振興課は「企業進出や固定資産税などの効果が期待できる。住宅用太陽光パネルの設置補助など、政策とも連動しながら進めていきたい」と話す。

 ただ、函館市の日照時間が昨年で1613・4時間(函館海洋気象台調べ)と、帯広など道内他地域よりも短いなど不利な条件も。加えてエネルギー特措法案では、電力の安定供給に支障が生じる場合に、電力会社が全量買い取りを拒める例外規定が設けられるなど、不確定要素も多い。

 道によると、国際興業の計画には道内34市町村と1民間事業者が誘致の意向を示しており、三井物産の計画に対しては「現在集計を進めている段階」(環境エネルギー室)という。また、函館市が提案を見送ったソフトバンク(東京)に対しては35市町村と2民間事業者が誘致する意向を示し、苫小牧市が有力視されている。(千葉卓陽)



◎企画「命見つめて」うつ病編@…精神的重圧が引き金

 「まさか自分がうつ病になるとは。人生最大の挫折感だった」。函館近郊に住む男性(59)はうつ病を発病した時の状況をこう振り返る。

 男性が精神科を受診し、うつ病と診断されたのは2004年6月。52歳だった。この年の3月、長く務めた病院を退職し、4月から函館市内の医療機関に転職していた。

 退職の半年ほど前、管理職だった男性は組織再編に伴い、多数の職員に解雇を言い渡す立場となった。「上からの命令とは言え、何も非がない職員を辞めさせるのはつらかった。泣きつかれもしたし、非難も一手に浴びた。周囲に相談する人もいなくて1人悩んだ。ものすごいプレッシャーで、エネルギーを使い果たした」。過酷な役目を終え、転職先の病院に勤務した時はやる気が起きず、初歩的な事務処理に手間取った。「おかしい」と思い精神科を受診し休職したが、復職のめどがたたず、やがて退職願を出した。

 その後、治療薬を服用しながら自宅療養をした。朝起きると薬の副作用に悩まされ、何もできずに横になる日々が続いた。「このまま存在意義を失うのが怖かった」。他人の励ましの言葉に対し「何も分からないくせに」と何度もいらだちを覚えた。

 06年、知人の紹介でNPO法人設立の手伝いをしたのをきっかけに気持ちが前向きになり、やがて今の職場に就いた。今も闘病中だが、「ストレスを抱え込まず、発病当時のつらい過去は思い出さないようにしています」。

 北斗市内の50代の主婦は2002年11月、うつ病と診断された。数か月前、義父を迎え入れ同居する生活が始まり「義父を嫌っていたわけではないが、昔堅気の人なので何かと気を使った。主人が2人いるような生活だった」。外見は明るく元気に振る舞うが、内心は神経質で考え込む性格で、精神的な重圧を感じながら生活を送った。家事や外出が億劫となり、やがて、頻繁に発作に見舞われ、4件目に通った精神科でうつ病と診断され、2カ月ほど入院した。今は落ち着いているが、前触れもなく気分が落ち込むことがあり、薬を服用しながら病気とつきあう。うつ病に対する誤解や偏見がある中で「家族がすべてを受け入れてくれ、本当にありがたかった」と振り返る。

 うつ病は15人に1人が一生に一度発病するともいわれ、症状を自覚しにくい。重症化すると自殺につながるケースもあり、見過ごすことができない病だ。

 命を見つめて第3部はうつ病編とし、自殺問題やメンタルヘルスと絡めてうつ病対策の現状、課題を探っていきます。

 ◆うつ病

 気力の減退や不安、喜びの喪失などが長期的に続く精神疾患。憂うつな気分のほか、倦怠(けんたい)感や頭痛などの体調も不調をきたし、睡眠障害も伴う。進行すると思考力、集中力が減退し、自責の念を抱き、自殺を意識するようにもなる。


◎粘りの中に栄養…ガゴメの魅力を学ぼうセミナー

 函館短大付設調理師専門学校(下野茂校長)で24日、「ガゴメの魅力を学ぼうセミナー」が行われた。全学生105人が参加。真剣な表情で講師の話に耳を傾けていた。

 身近な食材であるガゴメコンブについて理解を深めるのが狙い。成分や調理法、飲食店などでどのように取り入れているかなど、さまざまな視点から魅力を紹介した。

 ガゴメコンブ研究の第一人者、北大大学院水産科学研究部の安井肇教授はガゴメについて「世界的に見ても、ここまで粘りのある食材は珍しい」とし、「健康に効果の期待できる成分もたくさん含んでおり、さまざまな可能性を秘めた食材。資源を大切にすると同時に開発発展させるのも重要」と説いた。

 函館がごめ連合のコーディネーターを務める料理人の秋保栄さんが実際にガゴメの粘りを見せると、学生たちからは驚きの声。函館地域振興財団販売促進専門員の仲川昇一さんは、市内近郊で販売されている関連商品やメニューを紹介した。

 また、このほどガゴメコンブの粘りを抽出して作るところてんの開発に成功した同校の吉田徹教頭は、開発の苦労を振り返りながら「知識と技術、思い描くものを作り上げたいという強い意志が大事。学生生活でもそれを忘れないで」と語りかけた。(堀内法子)


◎良型続々 港ふ頭にぎわう

 函館の港ふ頭は連日、マイワシやサバを狙う大勢の釣り人でにぎわっている。1日でイワシ100〜150匹の爆釣に加え、9月からシーズンが始まるサバの良型をゲットする人も見られる。

 釣り歴30年という函館の男性(55)は21日、釣り人が集い始めた午前6時からオキアミを餌にサビキでチャレンジ。午後1時半ごろまでに28センチを頭にサバ10匹、20センチ台のマイワシを中心にカタクチイワシやウルメイワシを60匹釣り上げた。

 平日もよく同所に通うこの男性によると、この日のタナは8メートルラインで、朝から正午までコンスタントに15〜20センチのマイワシがかかる釣況。「20日はカタクチイワシが入れ食い状態。一人平均150匹は釣っていたぞ」とも振り返る。

 午後1時半ごろ、突然竿が大きくしなった。「きた、これは大きいぞ」とアタリの感触を味わいながらリールを巻き上げると、美しい銀鱗が目に飛び込んできた。「きたぞきたぞー」。約28センチのサバに、自分も周囲も歓声を上げた。

 足しげく通うポイントだけに男性は「基本的に狙いは早朝」ときっぱり。「アタリにむらはあっても、函館港内の今時期は港ふ頭が絶好調だ。サバはやっぱり20センチ台後半からじゃないと面白くないね」と喜びを爆発させていた。