2011年8月7日 (日) 掲載

◎函館野外劇フィナーレ 壮大な歴史絵巻に1300人感動

 第24回市民創作函館野外劇「星の城、明日に輝け」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)の最終公演が6日夜、特別史跡五稜郭跡の特設ステージで行われた。天気に恵まれ市民ら1300人が来場。壮大な歴史絵巻に酔いしれ、来年の再会を誓い合った。

 この日は午後6時40分の開場前から長蛇の列ができた。同7時40分にステージが始まると、観客は大規模なフラッグダンスや五稜郭の築城、迫力の箱館戦争シーンにくぎ付け。出演者全員が登場したフィナーレでは、テーマ曲「星のまちHAKODATE」を合唱。ペンライトを振りかざしながら、函館への思いを新たにした。

 終演後、同会の中村由紀夫副理事長が「今年は東日本大震災があったが、函館も何度も災害に見舞われながら復興を遂げてきた。出演者も被災者への思いを大切に演じたはず」と振り返り、「来年以降も今以上に函館市民に野外劇の良さを認識してもらい、国内外の人々に伝えていってほしい」とあいさつした。

 今年の公演は7月8日開幕。雨天中止となった16日を除き10回公演した。期間中の入場者数は約8100人で、3年連続で1万人を割り込んだ。

 初めて観劇した七飯町の会社員、岩渕祐一さん(53)は「感動的なパフォーマンスで歴史を再認識することができた。素晴らしかった」と話していた。(長内 健)



◎七飯に響く鎮魂の音 広島原爆の日に6寺院一斉に

 【七飯】広島市に原爆が投下されてから66年目を迎えた6日、町内の6寺院で「平和・追悼の鐘」の鳴鐘が一斉に行われた。原爆投下時刻の午前8時15分に合わせ、すべての犠牲者や被爆者への哀悼の意をささげる鎮魂の音が町内に響き渡った。

 町内で屋外につり鐘がある法雲寺(大中山2)、正覚寺(本町4)、宝琳寺(桜町)、景雲寺(大沼町)、大信寺(上軍川)、光現寺(同)の6寺院の協力で毎年、行っている。広島原爆忌のほか、長崎市に原爆が投下された9日午前11時2分、終戦記念日の15日正午にも実施する。

 このうち、景雲寺では、鈴木英孝住職(71)が鐘を突いたほか、戦時中の金属供出を免れた後、火の見やぐらの半鐘として使用され、2007年に同寺院に返還された「平和追悼の鐘」を打ち鳴らした。

 町本町から参加した七飯原水協の三浦清己さん(71)は「福島の原発問題があり、改めて放射能の恐ろしさを知った。核兵器の使用や戦争は二度と起こしてはならない」と平和への思いを語っていた。(今井正一)



◎本年度の普通交付税大幅減 函館市財政に痛手

 国からの配分が決まった本年度の普通交付税で、函館市は臨時財政対策債を含めた歳入見通しが本年度当初予算比で約7億3000万円減少する結果となった。前年度比では約14億8900万円の減少で、市財務部は「人口減少が大きく影響した」と話している。不足分は基金の取り崩しでしのぐ考えだが、大胆な歳出削減策の実行は避けられない状況だ。

 市の6月補正後の本年度一般会計予算は1310億500万円。当初予算では国の地方財政計画に基づき、普通交付税を348億7100万円と見込んだが、実際の交付額は1・1%、7億8900万円少ない340億8200万円。交付税の不足分を臨時に起債で発行できる臨時財政対策債は交付額47億899万円で、当初予算からは5800万円余り上回ったが、前年度の発行可能額からは19・1%減となる。

 最大の要因は人口減。昨年行われた国勢調査での函館市の人口は約1万5000人減り、28万人を割り込んだ。交付税は算出基準の大半が人口を基礎としており、市財務部は「人口減は当初予算でも見込んでいたが、全道一の下落率となったことが響いた」と嘆く。

 さらに、普通交付税で措置されない個別、緊急の財政需要に交付される特別交付税の状況が変化したこともマイナスに働いた。

 特別交付税は交付税全体の6%分とされる。昨年、利率を5%に下げ、1%を地方交付税に回す法案が国会に提出されたが、東日本大震災の発生で3年間は6%据え置きとすることで可決。市は当初、5%措置によって普通交付税が2億5000万円増えると見込んでいただけに、思わぬ痛手となった。

 本年度の一般会計当初予算では市税収入の減少と扶助費の増加に伴って34億円の財源不足が生じ、赤字地方債の退職手当債を22億円組んだ。

 4月に就任した工藤寿樹市長は赤字債に頼らない財政の実現を目指しており、事業仕分けや財政再建推進会議の設置、職員給与の削減などを今後実行に移す考えだが、相当な内部努力は避けられない。市の大竹教雄財務部長は「減少は予測していたが、厳しい状況。当面は基金でしのがなければならないが、14年度には合併による算定替えもなくなる。さらなる行革が必至」と話している。(千葉卓陽)


◎大間原発建設阻止訴え 森越弁護士が講演

 「原爆の日」の6日、函館の市民団体「地域で憲法語ろう会」(清野きみ共同代表)主催の第11回私の「8・15、戦争」を語る会が乃木町会館で開かれた。大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟の弁護団共同代表の森越清彦弁護士(函館市)が同原発の問題点を指摘し、建設阻止を訴えた。会には過去最多となる77人が参加し、市民の関心の高さをうかがわせた。

 演題は「大間原発を聞く・見る・そして語ろう〜非核・脱原発こそ21世紀の選択」。核と原発のない平和社会を市民に改めて考えてもらう狙い。

 森越弁護士は、同原発が出力138万キロワットという世界最大級で、世界初のフルMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)商業炉であることや、実験炉、実証炉による検証もないまま、運転に踏み切ろうとしている点などを指摘。重大事故が起きた場合、「40キロ圏内に函館市のほとんどが入り、全市避難しなければならない。風向き、風速によっては二十数分で放射能が到達し廃墟となる」と述べた。また、同原発付近の海底に長大な活断層が存在するとの専門家の指摘を挙げ、直下型の地震が起きる可能性を示した。

 「われわれが実験台になるわけにはいかない。大間原発は怖すぎる。皆さんが世論を動かしていくことが重要」と原告団への入会を呼び掛けた。(山崎大和)


◎海水浴 笑顔弾ける 福島キッズ30人松前入り

 【松前】「ふくしまキッズ夏季林間学校」に参加している子ども30人が6日、松前町入りした。11日まで同町に滞在し、海水浴や体験プログラムを楽しむほか、一般家庭に宿泊し、住民とも交流を深める。子どもたちは到着早々、海水浴を満喫し、弾けるような笑顔を見せていた。

 この日、子どもたちは七飯町からバスで移動し、午前11時に町原口に到着。宿泊場所となる「交流の里づくり館」で地域住民や町職員らが出迎え、町を挙げて歓迎した。

 昼食に地域の主婦らが作った焼きそばとおにぎりを食べ、移動の疲れも見せずに海岸に移動。ライフジャケットを着込み、沖まで泳いだり、箱メガネを使って海の中をのぞき込んだりした。カニなどを見つけると大きな歓声を上げていた。

 福島市から参加している小学2年の渋谷睦月さんは「今年初めての海水浴だったのでとても楽しかった。松前でもいろいろな体験がしたい」と話した。

 7日は工作体験や海水浴。8日は松前藩屋敷や商店街を歩いて回る体験プログラムを行い、同日夜に民泊の受け入れ家族との対面式を開き、一般家庭で2泊する。(松宮一郎)