2011年9月1日 (木) 掲載

◎”萌えキャラ”でドア事故防げ、市交通部がステッカー作製

 函館市交通部は、市電の乗車扉に指や衣服、荷物などが挟まれる事故を防止しようと、乗客に注意を呼びかけるステッカーを製作した。市電オリジナルの美少女アニメキャラクターをあしらい、全30両の乗車口に掲示。熱烈なファン向けに全3種類をセットにして市販もする。

 全国で鉄道のドアが開閉する際に、手や物が挟まれる事故が発生していることから、国土交通省が今年に入り、各事業者に安全対策を求める通知を出したことを受けた措置。市電ではこれまで小さな文字のみの表示だったが、目立つようにと新たにイラスト入りのステッカーを考案した。

 ステッカーは縦25センチ、横12センチで、緑、青、黄色の計3種類。8月29日から順次、車内2カ所の乗車口に掲示した。市電オリジナルキャラクター「松風かれん」を大きくあしらい、「お子様の手や手袋などが引き込まれないよう開くドアにご注意下さい」と呼びかけている。

 同部によると、函館市電ではこれまでドアの開閉に伴う事故は起きていないが、「視覚に訴えて注意喚起ができれば」と担当者。ステッカーは計300枚を作製し、市電ファンの声に応えて1日から市電駒場車庫で3枚組1500円(税込)で販売するほか、同部ホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/transport/)で通信販売する。問い合わせは同部事業課TEL0138・32・1730。(森健太郎)



◎市縄文文化交流センター、オープンまで1カ月

 道内唯一の国宝「中空土偶」などを展示する函館市縄文文化交流センター(臼尻町)が10月1日のオープンまで1カ月を切った。展示品の移設やイベント開催など準備は着々と進んでおり、市教委文化財課は「準備は最終段階に入っている。開館日には多くの方に来てほしい」と話している。

 同センターは2009年10月に着工。鉄筋コンクリート2階建ての建物は、すでに完成しており、現在は駐車場舗装などの周辺工事を進めている。中空土偶のほか、周辺の大船、垣ノ島、著保内野(ちょぼないの)遺跡などで発掘された土器や石器の一部は、すでに建物内部に移されている。

 同センターへつながる国道278号のバイパス「尾札部道路」も、オープン前には暫定供用が開始される。函館開発建設部は「山沿いを通るため、天気の良い日は海の青さと、木の緑のコントラストを楽しめる」とする。

 オープン当日には、市民向けのイベントも多数用意。タラコや昆布など、地元水産品の販売、郷土芸能「駒踊り」の披露や、地元特産の早煮昆布の無料配布などを予定している。

 8月25日には、センターに併設される道の駅「縄文ロマン南かやべ」が国土交通省に正式登録された。国内初の国宝を展示する道の駅で、24時間利用できるトイレも完備している。

 同課は「すでに道内や道外の旅行代理店、雑誌メディアからの問い合わせが数多く来ている。来館者が満足してもらえるよう、急ピッチで仕上げていきたい」と話している。

 入館料は一般300円、高校生や大学生、函館市外の小中学生150円、市内に住む、または通学する小中学生と幼児は無料。開館時間は午前9時から午後5時(11〜3月は午後4時半まで)。月曜休館。(後藤 真)



◎地デジ完全移行後、アナログテレビの不法投棄増加

 桧山南部では、地上デジタル放送への完全移行後、アナログテレビの不法投棄が増えている。2001年、消費者にリサイクル費用などの負担を義務付けた家電リサイクル法の施行前後にも、テレビなど廃家電の投棄が急増したこともあり、行き場を失ったアナログテレビの不法投棄が増加する懸念が高まっている。

 ある町の海岸—。急斜面の岩場には、散乱するごみの中に何台ものアナログテレビが見え隠れする。地域の漁業者は「以前から不法投棄が多いが、地デジ化の前後からテレビが目立つ」とする。トラックなどで持ち込まれた、多数のテレビやアナログのビデオデッキが投棄された場所もある。こうした場所では、水産物の密漁も横行しており「暴力団などが絡む不良な廃棄物業者が出入りしている情報もある」(関係者)という。

 漁場を守るため、漁業者を中心に、定期的にごみを処理をしているが、費用負担は重い。同法が適用されるテレビなど廃家電は、運搬料やリサイクル料金が必要になり、自主的な処理には限界があるという。しかし、不法投棄を放置すれば「以前からあるごみが、新たなごみを呼び込む悪循環に陥る」(漁業者)。

 桧山南部の海岸や山間部には、不法投棄の温床とされる場所が多数ある。家電、タイヤ、家庭ごみ、建築廃材など種類はさまざまだ。ある町では「町外からごみを持ち込む例も多い」とし、今後は家庭や企業に眠る、アナログテレビの投棄にも警戒を強化する方針という。(松浦 純)


◎【ふくしまキッズ「笑顔の夏」下】事業継続へ新組織発足

 ふくしまキッズの活動と並行して、「子どもを守ろうプロジェクト協議会」(札幌)が8月1日に発足した。実行委に参画した道内外のNPOが中心となり、「NPO教育支援協会北海道」(帯広市、安江こずゑ代表理事)が事務局機能を担う。この夏の成果を今後の活動につなげるための組織作りがスタートした。

 今年の冬休みには、「ふくしまキッズウインターキャンプ」として、七飯町大沼など道内で100人、愛媛県、神奈川県横浜市と合わせて計400人の子どもたちの受け入れを計画する。副実行委員長の吉田博彦さん(59)は「短い冬休みの福島で要望がどの程度あるかは分からないが、全国各地に活動を広げる。来年の夏は北海道の自然体験をベースに、2000人規模の事業としたい」と話し、引き続き、大沼を拠点に道内での活動を模索する。

 今回の活動を支えたのは全国の個人や企業、団体から寄せられた多くの支援金だ。8月中旬には当初計画の倍額以上の5500万円近く集まった。1000万円程度は次回に繰り越すが、震災直後で社会的関心が高かったことも大きく、継続して資金が集まるかは不透明だ。10月には会計決算をすべて公表し、活動継続への理解と協力を求めたい考えだ。

 町の予算から910万円をこの支援金に充てた七飯町の中宮安一町長(57)は「福島の子どもたちから普通に生活を送れることの大切さを改めて学んだ。震災復興や原発の問題は長期の支援が必要」とする。宮田東総務課長(56)も「協力した地元関係者、大沼の地を舞台に選んでもらった実行委関係者に感謝している」とし、今後の協力にも前向きだ。ただ、「長いスタンスで無理のない支援を検討したい」とし、側面支援に重きを置きたい考えもある。

 吉田さんは「2000年の三宅島の全島避難では、支援活動が1年でしぼんでしまった。5年間継続できる資金や組織作りが必要」とする。その受け皿となるのが札幌に立ち上げた新組織で、福島に限らず「3・11」で被災したすべての子どもたちを対象とする事業展開も検討している。

 大勢の子どもたちを受け入れる上で、学生ボランティアの資質向上や移動時間のロスなど、今夏の事業で見えた課題も多い。一方で、保護者からは、インターネット上などで好評価の声が広がり、来年の問い合わせも関係者には寄せられている。

 実行委員長の進士徹さん(54)は「北海道で子どもたちが元気になれた姿を報告し、継続した支援をお願いしたい。いずれは、オールジャパンキッズ≠ニ言われる事業に成長させたい」と話す。原発問題が収束し、福島県の安全が確認される日まで、関係者の挑戦は続いていく。(今井正一)


◎美しいまちづくり検討会初会合、「函館らしさ」重視へ

 函館市内の有識者がまちづくりのデザインやコンセプトを検討する「函館市美しいまちづくり検討会」の初会合が31日、函館市役所で開かれた。座長には木村健一公立はこだて未来大教授を互選し、デザイン性に優れた都市への指針づくりに向け、「函館らしさ」を重視したまちづくりの方向性を探った。

 検討会は市が目指す美しいまちづくりの推進に向け、工藤寿樹市長の政策的な提案で実現。学識経験者をはじめ、まちづくり関連の市民団体の代表や建築デザインなどの専門家ら委員9人で構成し、アドバイザーとして東大副学長の西村幸夫教授や日本政策投資銀行の藻谷浩介参事役が就いた。

 この日はアドバイザーを除く委員8人が出席し、市の都市建設や企画、経済など7部局の担当者約20人も臨席した。市の施策説明に続き工藤市長が「土木技術的ではなく、デザイン重視のまちづくりを進めるるために皆さんの知恵を拝借し、まち全体が公園のような函館を目指して他都市との差別化を図りたい」とあいさつ。

 委員らは「市民生活の先にデザインがある。都市のアイデンティティーを探るには素に戻る必要がある」「市内は4カ所に生活圏が出来上がってしまっている。人口減少を見据え、まちづくりにも選択と集中が必要」などと指摘。「古いDNAを持った新たなまちづくりを」と歴史性を考慮すべきとの声もあり、「函館らしさ」や「市民参加」がキーワードに挙がった。

 検討会は本年度内に残り5回ほど開く予定で、今後、アドバイザーからの提言も踏まえて市内の地区ごとにコンセプトを策定し、市はそれらを基に予算や事業化に反映させる方針。(森健太郎)