2011年9月11日 (日) 掲載

◎おさかな青空市場、ブリやマイカ…すぐ完売

 函館(臼尻)地域マリンビジョン推進協議会(砂田義稔会長)主催の鮮魚即売会「おさかな青空市場」が10日、函館市臼尻町の臼尻漁港で開かれた。新鮮なブリやマイカなどを浜値で提供、10分足らずで完売する人気で、漁業関係者が水産物PRと消費拡大に努めた。

 同協議会は南かやべ漁協と臼尻町内会、函館市農林水産部で構成。魚はこの日早朝に南茅部沖合の定置網に入ったもので、カンパチやソイ、ヒラメ、サバ、ガヤ、タナゴ、アブラコなどがずらり。5キロのマダラは1匹300円で、じゃんけんで購入者を決めた。

 マンボウの肝和えの試食もあり、「南茅部ならではの味だ」と漁師が調理法を伝授した。「今日はサケを用意できなかったけど、これから最盛期になれば出てくる」と同漁協。

 市内元町の会社員、宿村智さん(43)は「鮮度抜群で値段も安い。たくさん買ったので知人に届けたい」、長男の慎吾君(10)は「サバの塩焼きを食べるのが楽しみ」と笑顔だった。

 この即売会は、10月1日、11月13日も午前9時から開催(売り切れ次第終了)。また、函館空港で9月17日午前10時から行われる函館エアポートフェスタでも、南かやべと戸井、函館市の各漁協が即売会を開く。(田中陽介)



◎バルまち会議、イベントの在り方意見交換

 函館発祥のまちおこしイベント「函館西部地区バル街」を見習った、全国各地のバルイベントの関係者らが集う「バルまち会議inHAKODATE」(同バル街実行委主催)が10日、函館市末広町の五島軒本店で初めて開かれた。25団体約100人が参加し、バルイベントの在り方などについて意見を交わした。

 バル街は市内西部地区をスペインの立ち飲み居酒屋「バル」に見立て、参加店舗の特別メニュー、ピンチョス(つまみ)の食べ歩きを楽しむ飲食イベントで、2004年から年2回ペースで開催。ここ2年ほどでバル街のノウハウを取り入れたイベントが全国約30カ所に広がっている。

 会議では、バル街を発案した実行委の深谷宏治委員長が基調講演。始めたきっかけや人気イベントになった要因を話し「運営側が楽しいと思うことが大事。そう思っている限りまだまだ続けたい」と語った。

 その後、他地域でバルイベントを開催している運営関係者によるパネルディスカッションが行われ、今後の展望などについて討論。福岡市の「バルウォーク福岡」を運営する井出修身さんは、大都市で行う課題などに触れながら「お客さんが来続けるためには店のクオリティー維持は大事。函館のバル街を模倣しながらオリジナリティーを出したい」と述べた。

 兵庫県伊丹市職員で、伊丹まちなかバルを運営する綾野昌幸さんは、近畿地方でバルイベントが各地域で広がりを見せ定期的に近畿バルサミットを開いていることを紹介し、7月に青森県弘前市で初開催したレストラン山崎のオーナーシェフ、山崎隆さんは「来年以降、地に足を付けてやっていきたい」と述べた。

 このほか、IT(情報技術)の使用や行政の助成の是非などについても意見交換。バル街を研究対象としている函館大の松下元則准教授は「バル街は分かりやすいシンプルな仕掛けだが、ノウハウをそのまま踏襲するだけではにぎわいにつながらない。その地域で培われた魅力や工夫が必要」と指摘した。

 参加者も意見や感想を述べ、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市から来た商工会議所の職員は「バル街は幸せを感じるまちづくり。今後の復興でバルイベントができるようになれば」と語った。

 静岡県三島市のイベント企画会社代表、川村結里子さん(33)は「10月29日に初開催する三島バルに向けて勉強になった。三島には良い店がたくさんあることをアピールしてにぎわいを創出させたい」と意欲を見せていた。(鈴木 潤)



◎大韓航空、ソウル線チャーター便再開

 福島第1原発事故の影響で運休が続いていた大韓航空の函館—ソウル(仁川)間の定期路線で、同社のチャーター便が10日、函館空港に到着した。同路線は5月の大型連休以来4カ月ぶりの運航で、12月下旬まで運休が決まっている定期便の早期再開につなげたい考え。

 同路線は函館唯一の国際定期路線だが、東日本大震災や原発事故の影響で、ゴールデンウイーク期間を除き、3月から定期便は休止している。工藤寿樹函館市長らが6月に大韓航空本社などを訪れ、早期再開を要請する中で今回のチャーター便の計画が実現した。

 チャーター便は10、13の両日と、10月8、11の両日に各日1往復運航。今月は函館、仁川発ともチャーター便を利用したツアーが組まれ、144人乗りの機材はいずれもほぼ満員となった。10月には函館市が姉妹都市提携した韓国・高陽(コヤン)市の物産展に参加するため、工藤市長や地元経済界関係者らが渡航する予定だ。

 この日は函館空港で市や商工会議所などの関係者が法被姿でツアー客らを出迎え、ハングルで「ようこそ函館へ」と書かれた横断幕を掲げて特産のガゴメコンブ入りキャラメルを手渡した。ソウル市在住のソク・ソウギョンさん(38)は「放射能の影響は少し気がかりだが、北海道は福島と離れているので大丈夫だと思う」と話した。市は「今回のチャーター便運航を定期便の早期再開の弾みにしたい」としている。(森健太郎)


◎企画・再生への道 東日本大震災から半年B 支援…函館・桧山 動き活発に

 道内で最も東北と近く、物心両面で交流が盛んな函館市。津波被害を受けた一方、官民それぞれが被災地支援の動きを活発化させている。

 市は震災直後から公営住宅を確保して避難者の受け入れを開始。本庁舎1階には相談窓口を設け、身近な相談に応じている。9日現在で市内への避難者は85世帯217人(岩手8世帯17人、宮城25世帯58人、福島45世帯122人、その他7世帯20人)に上り、このうち44世帯122人が公営住宅に入居している。

 4月からは副市長をトップとする復興支援本部を総務部内に立ち上げ、専従職員2人体制で避難者のサポートに当たる。同本部は「避難につながる直接的な相談は落ち着いてきたが、なくなったわけではない」と話す。その言葉を裏付けるように、市は9月30日までとしていた同本部の設置期間を「当面の間」に改めることを決めた。「しばらくは避難者の支援を続けていく必要がある」(同本部)との判断だ。

 民間レベルでも多種多様な支援が行われた。6月には市内の5漁協が協力して使われていない磯舟をかき集め、岩手県久慈市の漁協に228隻を提供。民間団体「函館・むすびば」(丸藤競代表)は7月下旬からの1カ月間、被災地の19家族、58人を函館に招待し、親子がマスクを外して「当たり前の夏休み」を楽しむ光景が広がった。

 こうした支援の根底に流れるものは何か—。函館は明治から昭和にかけて幾度となく大火に見舞われ、その都度復興してきた歴史があり、「大多数は大火を知らなくても、市民の中に被災者を支援しようという意識があるのでは」と丸藤代表は指摘する。久慈への漁船提供も、1934(昭和9)年の大火の際に同市から義援金などの支援を受けた記録が残っていたことがきっかけだった。

 行政の支援にも限界があるだけに、丸藤代表は「長期的な支援に向け、民間レベルの取り組みがますます必要になる」と、支援の輪を束ねるコーディネート役となれる人材づくりの必要性を訴える。「東海大地震が起こると大都市が被災地になる。その際には北海道や函館が拠点にならざるを得ないことを、頭の片隅に入れておかなくては」と話す。

                 = ◇ =

 1993年の北海道南西沖地震では、甚大な被害を受けた奥尻町をはじめ、桧山管内の各町は、全国からの手厚い支援で早期復興を遂げた。

 こうした教訓から、桧山町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)は震災から間もない3月下旬に被災地への職員派遣を決定。岩手県町村会との協議により、支援の手が比較的薄い岩手県山田町への人的支援に乗り出した。桧山振興局も足並みをそろえ、管内7町と振興局の職員8人からなる第1陣が4月2日に現地入り。活動を終結した5月8日までに計48人の職員が、災害対策で手薄になった町役場の体制を補い、窓口業務や物資センター運営に当たった。同センターは、救援物資の受け入れや配分を行う体制の構築、自衛隊やボランティアとの調整で中心的役割を果たした。

 支援活動に必要な車両をはじめ、現地で不足している食料や飲料水などを持参するなど「自己完結性を重視した派遣体制の構築が最大の課題だった」(桧山町村会)。桧山振興局は「多様なノウハウを持つ振興局と役場が1つの支援パッケージを組み、手厚い支援を展開できた。全道でも例がない活動は、今後の被災地支援を考える上でモデルケースになる」とする。(千葉卓陽、松浦 純)


◎11月に「はこだて検定」

 函館商工会議所は、「第6回函館歴史文化観光検定(通称・はこだて検定)」を11月13日に実施する。今回も初級、上級の2つのレベルを設定しており、30日まで受験申し込みを受け付けている。同会議所は「仕事に生かしたい人や函館生活を楽しみたい人など、多くの人に受けてほしい」と呼び掛けている。

 同検定は函館への愛着を深めてもらおうと2007年に開始。前回までの受験者は延べ約3000人。初級は1160人、上級は70人が合格している。前回の受験者数は456人で、合格者は初級115人、上級33人だった。

 試験会場は北大水産学部を予定。問題は両級とも100問以内で、試験時間は90分。回答の仕方は、初級は択一式、上級は択一・筆記併用式となる。出題範囲は函館、渡島、桧山の歴史や史跡、文化、風習、自然、地理など。

 受験料は初級が3000円、上級は5000円で、学生や65歳以上、既に別の級で合格している人に対する割引制度がある。申込書は同会議所や市内の公共施設などで配布中。市内主要書店では公式テキストも販売している。問い合わせは同会議所企画情報課電話0138-23-1181。(小泉まや)