2011年9月15日 (木) 掲載

◎津軽海峡縦横断遠泳 豪夫婦挑戦へ

 オーストラリアの女性スイマー、ペニー・パーフリーさん(49)と夫のクリスさん(54)が単独で、函館市戸井地区汐首岬をゴールとする津軽海峡縦横断遠泳に挑戦する。東日本大震災の影響で来日控えがある中、「遠泳は安全性を国内外に伝える機会になる」と函館市や地元漁協など関係機関が全面協力する。2人は15日に函館入りし、戸井で合宿しながら、19〜24日の好天時の一日に遠泳する予定だ。

 パーフリーさん夫婦は、世界7海峡「オーシャンズ・セブン」横断遠泳に挑戦中で、これまでペニーさんがドーバー海峡(イギリス—フランス)やジブラルタル海峡(スペイン—モロッコ)など5海峡を渡った。残るは、津軽海峡とアイリッシュ海峡(アイルランド—スコットランド間)で、今回成功すると単独遠泳では世界初となる7海峡制覇に王手をかける。

 ペニーさんは、午前4時に松前町白神岬から青森県佐井村(直線40〜50キロ)に向けてスタートし、さらに佐井から戸井(直線約30キロ)まで計16時間かけて向かう。クリスさんも同6時に、佐井から戸井を目指し、9時間の遠泳を見込んでいる。

 遠泳者は護衛船に触れず、40分〜1時間ごとに水分と栄養補給する。午後5時半ごろから日没となり、疲れのピークとともに厳しい夜間の遠泳が予想される。

 夫婦をサポートするのは、1975年から津軽海峡で遠泳活動を監督、案内する東京のトラジオンスイミングクラブの石井晴幸さん(58)と荒川潤子さん(35)。

 石井さんが実行委の責任者となり、昨夏から関係機関と調整を重ねてきた。戸井支所が総括を担当し、道南・青森の漁協やフェリー会社、海上保安部などが協力する。

 パーフリーさん夫妻は14日、初来日し「日本に来るのが楽しみだった。この遠泳を頑張って成功させたい」と意気込んでいる。

 函館市戸井支所地域振興課は「遠泳成功に向けてできる限りの応援体制を敷きたい」としている。 津軽海峡は世界でも屈指の荒い流れで、特に汐首岬は潮流のうずが目に見えるほど。石井さんによると、近年の津軽海峡単独遠泳記録は、2006年に藤田美幸さん(当時40)が、青森小泊から福島町(11時間43分)、福島〜青森佐井村(15時間28分)、佐井村〜戸井汐首岬(10時間13分)を成功。単独日で連続しながらの往復遠泳の成功はこれまでない。(田中陽介)



◎受動歩行ロボット 一度停止も再スタート 次は80時間

 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)で12日から連続歩行ギネス記録に挑戦している「受動歩行ロボット」が、スタートから約10時間半後に記録をストップした。13日午前9時に再スタートし、同日中に名古屋工業大学が持つ記録13時間45分を更新。80時間連続歩行を目指し、安定した歩きを見せている。

 ロボットが停止したのは13日午前零時過ぎ。同チームメンバーが数分目を離したわずかの合間だった。今年5月に行った予備実験では、243時間の連続歩行を達成している同ロボット。失敗の原因は、ロボットを歩かせているルームランナーの速度が落ちたこと。気づいた時にはロボットがルームランナーの先端まで進み、止まってしまっていたという。

 不測の事態にメンバーはショックを受けつつも、同日午前9時にギネス記録計測を再スタート。「もう一瞬の気も抜くことはできない」と、ロボットが歩く位置を5分ごとにコンピューターにデータ入力するなど、万全の監視態勢のもとで計測を進めている。

 「停止は予想外だったが、とりあえず現時点で記録を更新できた。この調子で終了予定時まで頑張りたい」とメンバーの力石直也さん(23)。実験期間は最初に決めていた16日午後5時半までの予定だが、メンバーは「その後もロボットを動かし続け、当初の目標100時間を達成できれば」と意欲を燃やしている。(堀内法子)



◎道南景気 明るさ強調

 日銀の金融経済懇談会が14日、函館国際ホテルで開催された。出席した日銀の宮尾龍蔵審議委員は、道南地方の景気について明るさを強調し、「特徴や優位性を生かした活性化に向けた取り組みが、さらなる発展につながることを強く期待する」などと述べた。

 懇談会は地方経済の現状を把握し、地域の声を日銀の金融政策などに反映させる目的で全国各地で開催している。函館では2009年7月以来で、地元側からは函館商工会議所や函館国際観光コンベンション協会、湯の川温泉旅館協同組合、渡島総合振興局の代表者ら11人が参加した。

 懇談会では冒頭、宮尾委員が国内外の経済状況や先行き、金利政策などについて説明。出席者からは東日本大震災の影響について「水産加工業は原料のイカなどが高騰しており状況見極めに不安がある」や、「観光客は戻っているが円高が海外客を遠ざけているのではないか」との懸念が示された。道新幹線関連工事の受注については「地元業者の受注は一部で、厳しい」との意見があった。

 懇談会後の記者会見で宮尾委員は「道南は非常に魅力的な観光資源と豊富な水産資源があり、強いブランド力を持っている」と評価。「これらを生かして一層の活性化を」と期待した。(小泉まや)


◎第三者委を設置へ 「天下り」基準明確化で市長意向

 函館市議会第3回定例会は14日、一般質問を継続し、4人が登壇した。工藤寿樹市長は、退職した市職員の再就職について「一定のルールを作るための第三者委員会を設置し、議論を深めていきたい」との意向を示した。市総務部は年度内にも委員会を立ち上げる方針としている。

 北原善通氏(市政クラブ)の質問に答えた。

 工藤市長は「天下り」の定義について、市があっせんを行って再就職した場合や、退職後に直接、補助金や交付金の交付団体に再就職した場合—と主張。「市の退職者が各団体や民間企業に再就職してはいるが、これまであっせんは行っていない」としたうえで「補助団体などへの再就職は原則禁止とし、団体にも自粛を求めていきたい」との姿勢をあらためて強調した。

 市総務部は第三者委員会について「本年度中に立ち上げて基準を明確にし、来年4月からの適用を目指したい」としている。

 また、国から受け取る介護給付費を誤って申請した問題で、福島恭二氏(民主・市民ネット)が前市長の責任について質問。工藤市長は「国の救済措置がなされた昨年度中に解決すべき課題で、その結論を出さないまま今日に至ったことは大変遺憾だ」と述べた。

 一般質問はこの日で終了。このほか阿部善一氏(民主・市民ネット)、小林芳幸氏(公明党)が登壇した。

 市はこのほか、本年度一般会計補正予算など2議案を追加提案。国の子ども手当特別措置法の施行に伴い、システム改修経費308万円を増額し、総額を1330億9004万円とする。

 16日には3常任委員会を行い、議案12件を審査する。(後藤 真、千葉卓陽)


◎任期半年「まだまだ課題」

 【松前】松前町議会第3回定例会が14日開会した。会期を27日までの14日間とすることを決め、一般質問に5氏が立った。前田町長は、来年4月に2期目の任期満了を迎えることについて「残された課題がまだまだこの半年にあるので、きちんと務めていくことが私にとっての最優先だ」と述べた。

 近江武氏の質問に答えた。また、次期衆院選の候補者となる自民党8区支部長に自身の名前が取りざたされていることを指摘され、「国政(に出ること)は簡単な話ではないし、軽々に話をできることではない」と述べた。

 また、前田町長は行政報告で、町内3支所のうち、小島と大沢の両支所の職員体制を、来年4月1日から、2人ずつ配置している正職員を嘱託員に切り替えることを表明した。職員数が減員したことや人件費の抑制を図るためで、来月に両地域で説明会を開き、住民の理解を求める。大島支所は来年度も職員3人の配置を維持する方針。(松宮一郎)