2011年9月17日 (土) 掲載

◎七飯で新米等級検査始まる

 【七飯】七飯町本町の成田悌一さん(60)=同町果樹組合長=の園地で15日、リンゴの収穫が始まった。成田さんは、たわわに実った果実を丁寧に摘み取り、木箱に移していた。成田さんは「太陽光を十分に浴び、朝晩ぐっと冷え込むにつれ、おいしいリンゴに仕上がってくる」と期待を込めている。

 【七飯】管内のトップを切って新米の等級検査が16日、新函館農協七飯基幹支店(町本町、小松正志支店長)で行われた。町鶴野の工藤大司さん(72)、誠一さん(42)親子が持ち込んだ「ほしのゆめ」を検査。サンプルを抽出し、水分含有量や整粒度などをチェックした結果、全量1等級と認定された。

 工藤さん方では約13fの水田に「ほしのゆめ」のほか、「ななつぼし」「きらら397」「ふっくりんこ」を作付けし、順次、稲刈り作業が進む。この日は今月5日までに収穫した、200袋(1袋30キロ)を出荷した。

 検査員が各袋からサンプルを抽出。食味の決め手となるタンパク値(基準6.8%以下)は6・8%、水分含有量(推奨基準15%以下)は14.7%で、整粒度にも問題がなかった。同農協の畠山良一組合長が「私が見ても1等米だ」と声をかけると、大司さんは「すっとしました」と笑顔を見せた。

 工藤さん親子は「昨年は高温障害があったが、今年は粒も大きめで出来はよかった。初検査は毎年緊張するが、1等米を目標に生産している。今夜はお祝いです」と話していた。

 同農協米穀課は、管内の収量は平年並みと見込む。同支店の小松支店長(53)は「雨が続き、稲刈りが満足に進んでいない。天候が回復し、適期を逃さずに作業ができることを望んでいる。各農家の苦労の結晶なので、北海道でおいしいお米が取れていることをPRしたい」と話していた。(今井正一)



◎尾札部道路、30日に縄文センターまで開通

 函館開発建設部は16日、函館市南茅部地区の国道278号尾札部道路(尾札部〜大船間14.8キロ)のうち、安浦〜臼尻間2.3キロを30日正午に開通させると発表した。10月1日の同市縄文文化交流センターと、併設する道の駅「縄文ロマン南かやべ」(臼尻町)オープンに合わせ、本年度開通予定の安浦〜豊崎間5.9キロのうち、2.3キロを前倒しで供用開始する。

 施設オープンに伴い、周辺道路の交通量の増加が見込まれることから、2.3キロ区間を先行して開通させることに。今回の終点となる臼尻と新施設はつながっており、函館開建は「施設へのアクセスは開通区間を利用してほしい」(道路計画課)と呼び掛けている。

 函館開建によると、開通区間は片側1車線で、車道の幅は片側3・25メートル、路肩1.5メートル、歩道3メートル。今回開通する区間を使い、鹿部町方面への通り抜けはできない。

 同日午前10時から、尾札部道路建設促進地域協議会(加藤詔三会長)主催の式典を安浦側で開き、開通を祝う。

 海沿いの現国道は幅が狭く、カーブも多い。これを受けて尾札部道路の整備には、物流や防災、交通安全などの面で地域の要望が強い。

 市教委によると、同センターの初年度(10月〜来年3月)の来館者はオープン効果もあって約4万人を見込む。2.3キロ区間の開通でアクセスが便利になり、来館者の順調な入り込みに期待を寄せる。

 尾札部道路は、尾札部〜安浦6キロが2002年度までに供用済み。残る豊崎〜大船間2.9キロは16年度以降の開通を予定している。函館開建によると、尾札部道路の総事業費は187億円で、全区間14.8キロに対する進ちょく率は81%(10年度末現在)。本年度の当初予算は14億7500万円。(山崎大和)



◎仏料理の名店「イリュージョン」、今月末で閉店

 函館市白鳥町の人気フランス料理店「イリュージョン」が、9月末で閉店することになった。先進国首脳が集うサミットで供された料理を再現するなどさまざまな企画を打ち、函館の料理界を盛り上げた同店だったが、オーナーシェフ岩城浩司さん(60)が体力の衰えなどを理由に店をたたむことを決めた。閉店までの間、通常2万1000円のコース料理を半額の1万500円で提供している。   同店は、東京やパリの有名ホテルでシェフを務めた岩城さんが2001年5月、地元函館に戻って開店。当初は1日2組限定の高級店だったが、4年目からは手ごろなランチなども加えた。

 2008年には洞爺湖サミットに合わせ、82年にフランスで開かれたベルサイユサミットの晩さん会で、実際に各国首脳が味わったコース料理を再現して話題を集めた。昨年もベルサイユサミットでの別メニューを再現するとともに、当時の総料理長を招いて“味の共演”を繰り広げた。

 若者を指導しながら毎日厨房(ちゅうぼう)に立っていた岩城さんだったが、今年4月に還暦を迎え、体力面で疲れが見えるように。「完成度の高い料理が出せなくなるのならば…」と閉店を決めた。

 今後は東京に拠点を移し、妻の和子さん(59)が営む輸入雑貨店の業務に専念する。古里で過ごした10年を振り返り「あっという間だった。閉店も多くのお客様が惜しんでくれ、料理人冥利に尽きる」と話す岩城さん。店では料理教室も開いており「延べ100人近い生徒が来てくれた。教えたレシピを、各家庭などで役立ててもらえれば幸い」と笑う。

 閉店に合わせて用意したコース料理はフォアグラや和牛のほほ肉、マツカワガレイなど高級食材をふんだんに使った10品を提供。その日仕入れた食材によって内容は変わる。岩城さんは「まだ余裕があるのでぜひ予約を」と話している。問い合わせは同店TEL0138-40-3588。(千葉卓陽)


◎江差追分全国大会が開幕

 【江差】かもめの鳴く音にふと目を覚まし あれが蝦夷地の山かいな—。哀愁を帯びた独特の音調が聴衆の心に感動を誘う、第49回江差追分全国大会(主催・江差追分会など)が16日、町文化会館(茂尻町71)で開幕した。18日までの3日間にわたり総勢400人を超える出場者が追分日本一≠フ栄冠に挑む。

 午前9時からの開会式に続いて65歳以上の158人が出場する熟年大会、193人が出場する一般大会の予選会がスタート。出場者は念願のひのき舞台で、万感の思いを込めた追分節を披露した。

 午後7時過ぎにはアトラクションとして、100人を超える町民による江差追分大合唱も披露され、半世紀の節目を迎える、来年の第50回記念大会の成功に向けた機運を町民一丸となって盛り上げた。

 大会2日目の17日も一般と熟年の予選会が行われ、一般50人、熟年25人の決選会出場者が決まる。アトラクションは同8時45分から。子供たちの追分大合唱や、東日本大震災で被災した東北地方の会員が、復興への願いを込め、地元の民謡を披露する。18日は74人が出場する少年大会と熟年、一般の決選会を行う。表彰式は午後8時ごろ。17日の予選会は入場無料。18日の決選会入場券付きプログラムは2300円。問い合わせは大会本部TEL0139-52-3883へ。(松浦 純)


◎久慈の中学生、市漁協に義援船のお礼

 東日本大震災による津波被害で函館市内5漁協(函館市、銭亀沢、戸井、えさん、南かやべ)から義援船228隻の支援を受けた感謝の気持ちを伝えようと、修学旅行で来函した岩手県久慈市立夏井中学校(斉藤真理子校長、生徒79人)の3年生26人が16日、函館市漁協(橘忠克組合長)を訪れた。生徒たちは「函館からの支援が久慈の復興に勇気と力を与えてくれた」と報告し、誰かが困っている際には援助を行動に移す大切さを学んだ。

 一行は15日から2泊3日の日程で函館に滞在。市漁協には生徒のほか、斉藤校長、担任の佐藤和恵教諭、副担任の小関高博教諭が訪れ、市漁協の高谷広行専務、市水産課の芝井穣課長らが対応した。

 斉藤校長が「学区内には浜もある。久慈の漁師が義援船を活用し頑張っている姿や、感謝の気持ちを伝えたくて訪問させてもらった。久慈と函館の絆を再発見する旅行としたい」とあいさつ。生徒会長の佐藤瑞稀君(15)が「漁業体験や義援船を使っている漁師への取材を行ってきたので、久慈の漁師の思いがうまく伝わればうれしい」と話した。高谷専務が「人と人とのつながりが大事だと実感しており、交流を深めたい」と歓迎した。

 続いて、義援船を使った生徒によるホヤやウニ漁体験を収めたDVDを放映、生徒たちは「取材を通じ、漁師の生活の糧となる船がいかに大切か、そして函館の漁師の行動がいかに意義のあることかが分かった」と報告した。

 学級委員長の川端萌さん(14)が「誰かが困っているときは、私たちも行動を起こしたい」と力強く宣言。最後に、生徒全員で「学生歌」をアカペラで披露した。

 森岩遼(はるか)君(15)は「うまく感謝の気持ちを伝えられ、ほっとした。人の団結の力を知るいい経験になった」と話していた。

 修学旅行は当初、5月に東京方面を予定していたが、震災の影響で函館へ変更。報道で函館から義援船が贈られたことを知り「何か交流ができないか」と考え、久慈市や市漁協が橋渡しし、函館市漁協への訪問が実現した。(山崎大和)