2011年9月18日 (日) 掲載

◎宇宙アサガオ 色に変異 白百合学園栽培観察

 函館白百合学園中学高校で昨年から栽培・観察をしている「宇宙アサガオ」の第2世代が17日に開花した。昨年の第1世代には見られなかった色の変異があり、生徒らは生物と宇宙の不思議にさらなる興味を抱いている。

 2008年に国際宇宙ステーション(ISS)で約9カ月間保管されたアサガオの種を栽培しているもので、現在は2世代目。実験は、宇宙線が引き起こすアサガオの突然変異を調べて子どもたちに科学の面白さを体感してもらおうと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の教育プログラムとして全国各地の小中学校、高校で実施している。

 同校では昨年度、JAXAから種の提供を受けて栽培を開始。昨年は変異が見られなかったが、その時に採集した種を第2世代として同校理科部の生徒らが今年8月から栽培・観察していたところ、1つの鉢に、茎の色の変異が見つかった。

 同校の宇宙アサガオはムラサキ色の花を咲かせる系統。茎も同様に発色するはずだったが、着色が見られないことから、色素合成に関わる遺伝子に変異があることを予測。開花を心待ちにしていた。

 この日咲いた花は全体が純白。指導した同校の中村信雄教諭によると「この花の元来の色素『アントシアニン』の変異体と思われる」とし、JAXAに報告して遺伝子構造の分析を行い、変異が宇宙線によるものということを決定づけるという。

 栽培に関わってきた理科部の生徒は待望の「白い宇宙アサガオ」の開花を確認し、歓声。昆野晴香部長(高1)は「変異した白い花を実際に見て驚いた。今後も研究続けていきたい」と話していた。(堀内法子)



◎ロボット歩行100時間 ギネス記録更新

 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)でギネスブックの世界記録に挑戦していた「受動歩行ロボット」が17日、連続歩行100時間を達成し、専門家が記録を確認した。苦労を乗り越えての目標達成に、チーム一同喜びに湧いている。

 同研究は三上貞芳教授の研究室学生が7年前から実施。現在は大学院修士1年の力石直也さん(23)をリーダーに、4年の菅原学さん(22)、研究協力として大学院修士2年の佐々木啓太さん(24)が開発に携わる。従来の2足歩行ロボットに比べ、同ロボットは外部動力に頼らず、重力と慣性を利用して自分の力で前進する。

 これまでギネス記録は、名古屋工業大学のチームが持つ13時間45分(2009年ギネス認定)。12日午後1時半にスタートしたが、約10時間半後、目を離したすきに記録がストップ。監視態勢を強化し、13日午前9時に再スタートを切った。その後はトラブルもなく、ついに17日、目標達成。同日午後1時、外部の専門家4人が立ち会い、確認と証明書への調印を行った。

 連続100時間を達成し、力石さんは「多くの協力があったからできた。ギネス記録樹立が、函館発のロボットが世界にアピールするきっかけとなってもらいたい」と関係者にあいさつ。同大では初となるギネス挑戦成功に中島学長も「今後も若者の面白い研究を応援していきたい」と目を細める。

 緊張の連続だった約4日間を終えて、菅原さんは「研究や実験観察の大変さ、ロボット作りの楽しさを知った。今後も取り組みたい」、力石さんも「ロボットの安定構造を応用し、今後は高齢者向けの靴底の開発にも取り組んでいきたい」と意欲を語っていた。(堀内法子)



◎乳がん健診 定期的に 山田邦子さんが講演

 道南乳腺疾患研究会(代表世話人・木村純市立函館病院長)が主催する「第3回道南乳がんフォーラム」が17日、函館国際ホテル(大手町5)で開かれた。乳がん経験者でタレントの山田邦子さんが講師を務め、自身の体験や検診の大切さについて話した。

 山田さんは、1981年にドラマでデビュー後、数々のバラエティーに出演。2007年に乳がんが発覚し、手術後は、タレント活動の傍ら、体験本の出版や、がんに関わる活動などを全国で行っている。

 この日は、市民ら470人が参加。乳がん発見後から約1カ月半をかけ、MRIやCTなどの検査を行ったことや手術前日の心境、様子など、自身の経験について語った。

 手術前夜は「もしも」を考え、もしかしたら「最後の食事」「最後のリンス」と心細く感じたという。しかし、手術で切る場所のマーキングをマジックで書かれ、「原始的な方法にびっくりした」など、ユーモアを交えた軽快な講話に、始終笑いが起きていた。

 最後は、「大きな声を出すと、免疫力が上がる」と伝え、会場一体で大合唱を行った。「がんは早期発見が大切。主治医との信頼関係を築くことと、定期的な検診を続けてほしい」と話し、「大丈夫だよ。がんばろう」と勇気と元気の言葉を贈った。(平尾美陽子)


◎ドコモ災害情報サービス 道南も導入進む 函館市20日から運用

 緊急情報をNTTドコモの携帯電話に一斉発信できる「エリアメール」を活用する自治体が道南でも増え始めている。渡島、桧山管内では七飯、八雲、江差町で導入済みで、函館市も20日から運用を開始する。緊急時に発令する避難勧告や大規模災害情報などを即座に配信できる手段として、注目が高まっている。

 エリアメールは、気象庁の緊急地震速報として、強い揺れが予想される地域にある携帯端末に配信されるほか、同社と契約した自治体は、避難勧告や警戒区域情報、地震以外の津波、噴火など、独自の災害情報を発信することが可能となる。利用者はメールアドレスの登録や申し込みが不要で、各基地局から行政区域内の住民だけではなく、観光客らの端末にも配信される。

 同社函館支店によると、東日本大震災を契機として、自治体が利用する場合の契約手数料や月額使用料などを無料にした7月以降、全国で導入する自治体が増えているという。10月から鹿部町などでの導入も決まっており、管内で検討中の自治体も多い。

 同支店の渡部優法人営業担当課長(58)は「これまで道内では普及していなかったが、3月11日以降、防災の取り組みが見直され、全国的に利用が進んでいる。エリアメールが緊急情報を知るひとつのツールとして、地域の安心材料になれば」と話す。

 導入を決めた函館市総務部は「市民のみならず、観光客にとっても、市内にいれば災害情報が入手できる利点がある。迅速な行動につなげてもらえれば」と話した。駒ケ岳を抱える七飯町総務課は「防災無線もあるが、多くの人に知らせるためにも情報伝達手段はいくらあってもいい」としている。

 おおむね2008年冬・春モデル以降の機種であれば、初期設定のままで受信可能。一部機種は、手動で設定するか、対応していない場合もある。詳しくはNTTドコモホームページhttp://www.nttdocomo.co.jp/へ。(今井正一)


◎間近で飛行機 大迫力 函館空港でフェスタ

 函館空港の開港50周年を記念した函館エアポートフェスタ(函館空港運営推進委員会、同空港開港50周年記念事業実行委員会主催)が17日、同空港で開催された。雨天にもかかわらず例年並みの約5200人が訪れ、航空機の展示やステージなどを楽しんだ。

 同空港は1961年4月に開港。最後に予定していたもちまきは天候の関係で配布となったが、家族連れなどが詰めかけた。青空市場では、農水産物や近隣自治体の特産物などが並び、屋台とともに目当ての品物を購入する人でにぎわった。

 ステージの催しは一部中止に。航空機などを展示したエプロン(駐機場)会場内には大勢の人が押し掛け、自衛隊機や消防車、支援車両など普段見ることのできない特殊車両を興味深そうに見ていた。

 航空機の「ポケモンジェット」は予定通り到着。七飯町から家族や友人で見に来た会社員の小林清実さん(38)は、「子どもがポケモン好きなので楽しみにしていた。近くで見られる貴重な体験」と話していた。(小泉まや)