2011年9月19日 (月) 掲載

◎江差追分全国大会、深川の滝本さん日本一に

 【江差】第49回江差追分全国大会は最終日の18日、江差町文化会館で決選会が行われ、深川市の滝本豊寿さん(65)=深川支部=が追分日本一の栄冠に輝いた。熟年大会は網走市の榎本弥惣七さん(76)=網走声友会=、少年大会は登別市の松島翔香さん(11)=登別陽春会=が優勝した。

 昨年の全国大会は2位入賞の滝本さん。「今でもまるで実感がありません。夢のようですね」と満面の笑顔をみせた。優勝候補のプレッシャーを感じながらも、いぶし銀の歌声で栄冠を勝ち取った。

 せたな町北桧山区出身の滝本さんは「幼いころから母の背中で民謡の歌声を聴きながら育った。亡くなった母に優勝を報告したい」と少年時代に思いをはせた。民謡歴は40年以上。左官業を営みながら江差追分と出会ったのは23年前だ。「江差追分の奥深さをあらためて感じた。これから追分を伝承する立場の1人として歌い続けたい」と、固く握りしめた優勝旗に誓った。(松浦 純)

 各大会の1〜10位入賞者の氏名は次の通り。(かっこ内は所属支部、敬称略)

 【第49回江差追分全国大会】@滝本豊寿(深川)A杉本武志(菊水会)B川俣明彦(同)C黒森このみ(札幌南)D村川真奈美(苫小牧観昇会)E寺島真里絵(水堀愛好会)F高橋紗里(菊水会)G井上さつき(江友会)H杉野由美子(和春会)I柿沼初雄(宝優会)

 【第15回江差追分熟年全国大会】@榎本弥惣七(網走声友会)A木田弘(札幌東白石)B飯尾利雄(伊達湖声会)C鈴木弘(帯広)D細木利良(大平原)E山田実(伊達湖声会)F飯村幸子(函館)G奈良たか子(帯広)H国府克(京都大原野)I那須勇(追分大好き会千歳)

 【第15回江差追分少年全国大会】@松島翔香(登別陽春会)A田村つくし(かもめ会)B竹野留里(登別陽春会)C東美羽音(乙部鴎翔会)D前川みどり(厚沢部)E水野安奈(水堀愛好会)F高橋稜(菊声会)G大西莉華子(千歳)H福田花梨(厚沢部美和)I竹本祥千子(函館西)



◎函館子ども歌舞伎、1120人喝采

 函館・近郊の子どもたちが本格的な歌舞伎を演じる「第九回函館子ども歌舞伎」(同後援会主催、函館新聞社など後援)が18日、市民会館大ホール(湯川町1)で開かれた。名作「浪花の恋の物語|封印切の場」をメーンに全4演目を熱演。涙あり、笑いありの大人顔負けの名演技に1120人が見入った。

 3年ぶりの公演。出演者は園児から社会人までの34人で、主宰する函館の歌舞伎役者、市川団四郎さんの指導で3月から本格的な稽古に励んできた。

 「浪花の|」は商人の忠兵衛と遊女・梅川の駆け落ちを描いた物語。忠兵衛役の沼田彩香さん=函館本通中2年=は、公金300両の封印を切る見せ場で迫真の演技を見せた。遊女の身請けをめぐって登場した友人役の小林樹奈さん=同深堀中3年=も、忠兵衛をののしる芝居でユーモアたっぷりの大阪弁を披露して来場者の笑いを誘った。

 恒例の「白浪五人男|稲瀬川勢揃いの場」には最年少の5人が登場。元気いっぱいに見えを切る様子に盛んな声援が送られた。体験出演の花園大谷幼稚園児の一生懸命さにも拍手が沸き起こっていた。

 このほか、今回初めてという「蝶千鳥曽我物語|中村閑居の場」と、同歌舞伎卒業生でつくる「市松歌舞伎」による「傾城阿波の鳴門|どんどろ大師の場」が演じられた。(長内 健)



◎全日本パイプスモーキング選手権、愛好家130人参加

 3グラムのパイプたばこをどれだけ長い時間吸い続けられるかを競う「第38回全日本パイプスモーキング選手権大会」(日本パイプクラブ連盟主催)が18日、函館市末広町の金森ホールで開かれた。札幌から沖縄まで、20〜80代の愛好家約130人が参加。精神を集中させて煙をくゆらせていた。

 同連盟は、全国のパイプ喫煙愛好家団体の連合組織として1974年に結成された。同大会は本道では初開催で、主催クラブが存在しない都市でも初という。競技は国際パイプクラブ委員会の競技規則に従い、支給されたパイプに3cの葉を5分以内に詰め、マッチ2本で1分以内に点火した後、消さずに吸う時間を競う。審査は函館市民が手伝った。

 火が消えた人は退場していく。外に出た人は「葉の湿り気が多く、固めない方がよかった」などと話していた。石川の女性は「普段は吸わないが、この大会は仲間と交流できる大切な機会なので参加している。函館に来れることを楽しみにしていた」。東京の男性は「良識ある愛煙家はタバコを吸わない人との共存を考えている。伝統ある大会を守りたい」と話していた。

 優勝は個人で、パイプ作家として知られる佐藤純雄さん(東京)が1時間38分4秒で輝いた。3人チームの団体は佐藤さんが所属するジョンシルバーパイプクラブC、レディースは、すみだ川パイプクラブ(同)の小滝広子さんが1時間20分36秒で獲得した。(山崎純一)


◎徳洲会医療救援隊が共愛会病院で講座

 国際的な医療支援活動を行うNPO法人「TMAT(徳洲会医療救援隊)」が主催する講座「災害医療・国際協力ベーシックコース」が17、18の両日、函館市中島町の共愛会病院で開かれた。同病院の医師や看護師ら約30人が災害時や事故現場で医療活動を行う基礎知識や技能を学んだ。

 同コースは災害救護や国際協力に携わる人材の育成を目的に開講した講座で、全国各地で定期的に開かれている。函館では初めての開講。同法人のインストラクターが指導に当たり、災害医療総論や感染症対策などの講義のほか、重症度に応じて患者を振り分け治療の優先度を決める「トリアージ」や通信機器の使い方などを学ぶ実技訓練を行った。

 17日はトリアージの訓練などを行い、受講者は負傷程度が異なる12人の傷病者を1人当たり1分間で症状の判別や処置をする実技に挑戦。同病院の職員や看護学校らの学生らが、腕や脚などに大けがをした時のメークを施して傷病者役や家族役を演じ、受講者は「歩けますか」「苦しくないですか」などと声を掛けながら傷病者の状態を確認し、トリアージの札を付けていった。中にはそばにいる家族役から「助けてください」「早く救急車で運んで」と詰め寄られ、対応に苦慮する受講者も見られた。

 共愛会病院の准看護師、平沢行男さん(32)は「貴重な経験になった」とし、同病院研修医の垣井文八さん(27)は「被災者を救うための適切な判断や知識、技能を学びたい」と話していた。改行 同NPO法人の清水徹郎理事は「誰もが同じレベルで対処できるよう人材の育成に努めたい」と述べた。(鈴木 潤)


◎函館の65歳以上の高齢者人口27.4%

 函館市がまとめた8月末の住民基本台帳人口によると、65歳以上の高齢者人口は7万6590人(男性2万9936人、女性4万6654人)で、総人口27万9751人(男性12万7938人、女性15万1813人)に占める割合は昨年同月より0.4ポイント高い27.4%となり、過去最高を更新している。総務省が発表した全国の同割合は23.3%(9月15日現在)、本道は24.6%(3月末)で、全国、全道平均より高い。また、市内では依然として、西部地区や旧4町村地区で高い傾向となっている。

 函館市の各年8月末の高齢者人口の割合は、2001年20.3%、02年21.0%、03年21.7%、04年22.2%、05年23.2%、06年24.1%、07年24.9%、08年25.8%、09年26.5%、10年27.0%と、10年の間で7.1ポイント上昇している。全国平均には6年前、全道平均には4年前に達している。

 支所別では、本庁30.2%、湯川29.2%、銭亀沢30.5%、亀田23.5%、戸井34.3%、恵山37.1%、椴法華37.2%、南茅部32.7%。旧4町村では合併直後の2005年1月から比べると、椴法華は28.5%から8.7ポイント、恵山は29.4から7.7ポイントと急増している。

 全人口を5歳ずつの段階で分けた層では、最も多いのは、高齢者世代に近い60〜64歳の9.6%。次いで55〜59歳が7.6%と1940年後半〜50年代に生まれた“団塊世代”などの層が厚い。国勢調査の統計によると、60(昭和35)年の函館(現在の市域で組み替え値)は年少(0〜14歳)の割合が31.3%、高齢者は5.0%だった。85(同60)年は高齢者10.7%、年少21.4%だったが、2005年は高齢者23.9%、年少11.7%となった。今年8月末の55〜64歳は17.2%で、0〜9歳の6.9%の約2.5倍。今後、高齢化率がますます高くなることが伺える。

 本庁管内の西部地区では入舟、住吉で42%を超えており、ともに年少人口の7倍を超える高齢者数となっている。一方、亀田支所管内では石川のほか、陣川、桔梗、昭和、北美原の各一部で、年少の割合の方が多く、高齢者の割合は10%台と低くなっている。買い物など生活の利便性が高く、若い世代が多い同管内の高齢者の割合は全国平均並みで、地域における「過疎化、高齢化、少子化」の格差は、函館でも広がりそうだ。

 このほか今年3月末で、道南で最も高齢者の割合が高いのは木古内の39.0%(全道6位)。人口10万人以上の市で、函館は小樽(31.6%)に次ぐ2番目。全道1位は夕張の44.4%。本道は全国の21位だった(岩手、宮城、福島は東日本大震災の影響で一部が含まれていないので順位外)。(山崎純一)