2011年9月2日 (金) 掲載

◎竹ざおで豪快コンブ釣り…恵山の伝統漁

 コンブの一本釣り—。海岸に寄るコンブを長い竹ざおですくう伝統漁が、函館市恵山町で行われている。うねる波間からコンブを豪快に取り上げ、「流れてくるコンブは立派なものばかり」と漁師は紹介する。

 この漁は、3〜6メートルほどの竹ざおの先にあるかぎにコンブを引っかけて行う。根付くコンブの採取は厳禁で、漂流するものに限る。竹を器用に扱う技術とともに、うねる波間に漂うコンブを見つける集中力も必要だ。

 秋にかけてコンブの根付きが弱まり、台風などで海がしけると寄るコンブは増す。独特のとろみが人気のガゴメコンブ(トロロコンブの仲間)が浜に寄ることも多い。

 岩場での漁は高波の危険があり「安全に気をつけて、無理しないことが一番」と地元漁師。このコンブ漁は午前6時〜午後5時までと採取時間が決められており、例年10月中旬ごろまで行われる。 (田中陽介)



◎虐待受理11件減70件…函館児童相談所

 本年度の函館市要保護児童対策地域協議会(川越英雄会長)代表者会議が1日、市役所で開かれた。函館児童相談所は、2010年度に児童虐待として受理した件数が70件となり、前年度比11件減となったことを報告した。内容別では、心理的虐待が30件と最も多く、次いで身体的虐待が19件、ネグレクト(育児放棄)が17件を示した。

 情報を得た経路は警察などが28件と最多で、虐待者は実父と養父が46件と集中した。同児相への昨年度の相談件数は、前年度比5件増の185件だった。

 一方、同協議会が受理した虐待件数は前年度比20件増の109件と、調査を始めた06年以降、最多を更新。市は「虐待内容は同児相に比べると軽度だが、市民の虐待への意識が高まって積極的に通報している結果」と受け止める。

 内訳は、ネグレクトが72件と最も多く、次いで身体的虐待が34件。虐待を受けた年齢は0歳から小学生までが99件に上り、虐待者は実母が99件だった。また過去4年間なかった性的虐待が1件あった。

 会議では、各関係機関が連携をさらに強化することを確認。同児相は「相談件数は増えており、引き続き対策を講じていかなければならない。今後も市と連携を強めていきたい」などと述べた。

 市福祉部は「日ごろから学校、保育園の先生や保健師などとコミュニケーションを密にし、どのケースにおいても、公民隔たりなく連携を取って解決していきたい。問題が深刻化する前に、第三者が介入することも必要」としている。(後藤 真)



◎万太郎トンネル貫通…北斗市長「新幹線開業に大きく前進」

 【北斗】道新幹線新青森—新函館(仮称)間の「万太郎トンネル」が貫通し、北斗市三好のトンネル坑内で1日、貫通式が行われた。同市や工事関係者ら約150人が工事の節目を祝った。道側の新設6本のうち、5番目の貫通。残る新茂辺地トンネル(同市)は東工区の掘削が終わり、今月7日から西工区の掘削が始まり来春に貫通予定。

 万太郎トンネルは、既に貫通した「渡島当別」「幸連」「札苅」「泉沢」に次ぐ貫通で、新函館駅に最も近い。総延長は530メートルと、6本の中で一番短い。2010年3月に着工、同12月に掘削を開始した。地質が柔らかいため月平均約70メートル(通常は約100メートル)のペースで慎重に掘り進め、ことし7月20日に貫通した。トンネル部分の工事費は約11億円。今後は坑内の覆工コンクリート工事を行い、来年4月に完成予定。

 万太郎工区全体に占めるトンネルの割合は37%で、63%を占める明かり工事(橋梁=きょうりょう=、土路盤工事)が残る。工区全体は13年2月の完成を予定している。

 式典では、鉄道・運輸機構道新幹線建設局の高瀬昭雄局長や高谷寿峰市長、永井正博渡島総合振興局長らが貫通点で握手を交わし、万歳三唱で貫通を喜び合ったほか、みこしで酒だるが運び込まれ、鏡開きも行った。

 高瀬局長は「距離は長くはないが、技術的には難しい工事だった。5本目の貫通で全線の工事がさらに推進されることを期待したい」とあいさつ。高谷市長は取材に対し「開業に向けて大きく前進し、感慨無量だ。安全に工事を進めて無事に完成させてほしい」と話した。

 同機構によると、新青森—新函館間の事業費ベースの進ちょく率は約47%(11年度までの累計)。(山崎大和)


◎震災後初の震災の日 函館市が防災総合訓練

 東日本大震災以降初の「防災の日」の1日、函館市の防災総合訓練(市防災会議主催)が函館港港町ふ頭で行われた。各関係機関や自主防災組織などから約1000人が参加して火災や家屋倒壊などを想定した訓練を行い、防災への備えを新たにした。

 警察や海保、自衛隊など29の関係機関と42の自主防災組織、4町会などが参加。2005年度から地震と津波被害を想定しており、本年度は青森県東方沖を震源とするマグニチュード8・0の地震が発生、函館で震度6強を観測し、太平洋沿岸西部に津波警報が発令された想定で行われた。

 訓練では市民約90人がバケツリレーを行い、燃焼する小谷の初期消火をしたり、ビルの屋上に避難している住民をはしご車やヘリコプターで救助するなど、34項目の訓練を実施。津波関連では沿岸付近住民への避難勧告や、避難所に誘導する訓練が行われたが「東日本大震災を踏まえてのものではない」(市総務部)と従前からの内容にとどまり、今後に課題を残した。

 同会議会長の工藤寿樹市長は「震災後初めての訓練で、例年にも増して緊張感を持ち、真剣にやっていただいた」と講評し、「ハード面とともに防災計画を見直し、防災に強いまちづくりを進めたい」と述べた。

 バケツリレーに参加した山の手町会防犯部長の佐藤襄さん(64)は「パニックにならず落ち着いた対処が大事。震災の経験を踏まえ、電気、空気と水が大事だと改めて感じた」と話した。(千葉卓陽)


◎自然体験事業 促進に期待…松前町が道教大と協定

 【札幌】松前町と道教育大(本間謙二学長)の相互協力協定の調印式が1日、札幌市中央区のホテルで行われた。町は、アウトドアライフについての学科や関連する研究室がある同大の岩見沢校(佐川正人副学長)が持つノウハウを活用し、自然体験交流事業の促進と受け入れ体制の充実を図り、交流人口の拡大を目指す。大学側も同町を活動の拠点に加え、研究の場を広げる考えだ。

 町が大学と協定を結ぶのは今回が初めて。町は自然体験観光に力を入れており、子どもの農漁業体験や民泊で町に長期滞在してもらう国の事業「農山漁村交流プロジェクト」を、町原口の「交流の里づくり館」を拠点に取り組んでいる。同大との連携によって、プロジェクトの定着と充実、さらには交流の促進によって高齢化が進む同地域の再生や活性化にもつなげる狙いがある。

 調印式には前田一男町長と同大の本間学長、佐川副学長らが出席。それぞれ署名し、協定書を交わした。協定書では@同プロジェクトの推進を図るための事業A生徒と地域の人的交流B施設の相互利用—などが盛り込まれている。

 本間学長は「松前町との連携を、芸術、スポーツ分野も視野に入れ拡大させていければ」とあいさつ。前田町長も「松前の自然を生かした体験交流事業を推進していきたい」と述べ、相互協力協定への期待を寄せた。連携事業の第1弾として11月上旬に同町でワークショップの開催を計画している。(松宮一郎)