2011年9月20日 (火) 掲載

◎「マタイ受難曲」市民有志が挑戦…来月16日に公演

 函館・近郊の市民有志らが、西洋音楽史上の最高傑作とも言われるJ・S・バッハ作曲の「マタイ受難曲」を10月16日に函館市公民館(青柳町12)で披露する。演奏技術が難しいため市民らの挑戦は道内でも珍しく、練習ピアニストを担う函館のチェンバロ奏者、森洋子さんは「人間の心に訴える力を持った名曲。一度聴いてみてほしい」と呼び掛けている。

 公演のきっかけをつくったのは、首都圏ではこの作品の公演に出演しているという函館出身の声楽家、鳥海寮(とりうみ・つかさ)さん(テノール)=東京在住。昨年1月、「生まれ故郷でぜひ一度、(「マタイ受難曲」の)演奏会ができれば」と森さんに呼び掛けたことから、森さんらが合唱愛好家の共演者を募り、今年1月から本格的な練習をスタートさせた。

 「マタイ受難曲」は、新約聖書「マタイによる福音書」の26、27章の、弟子の裏切りによって捕らえられ、十字架に貼り付けにされて死んでいく、キリストの最後の場面を描いた物語。バッハはこれを2部構成全68曲に作曲。劇的な展開をたどる音楽と詩で普遍的な人類のドラマを表現しており、語り手である福音史家(エバンゲリスト)とキリストを軸に、オーケストラ、合唱などで演奏される。

 今回は約40曲を抜粋した小規模編成の公演。函館・近郊からは次藤正代さん(ソプラノ)、千田彩さん(同)、関口美香さん(アルト)といった声楽家を中心にした「マタイ受難曲を歌う会」20人が混声4部合唱を披露する。アリア「主よ、私をあわれんで下さい」や二重唱「こうして私のイエスは今とらわれた」などが聴きどころで、日本語の字幕も用意する。

 鳥海さんは指揮をしながら福音史家を、鳥海さんの音楽仲間である声楽家の中川郁太郎さん(バス)=東京在住=がキリスト役を務める。オーケストラの代わりは鳥海さんの妻でピアニストの丸田千晶さん=同=が担う。

 森さんは「抜粋とは言え函館では数十年間は披露されたことはない」と話し「今回を皮切りに、ゆくゆくはオーケストラを伴った大規模編成で再公演ができれば」と夢を語る。

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 演奏会は午後2時から約2時間。前売り2000円(当日500円増)。問い合わせは事務局の関口さんTEL080・3265・7762。(長内 健)



◎ヘアメーク 華麗に変身…理容美容フェス

 函館理容美容専門学校(函館市中島町)の「函館理容美容フェスティバル2011」が19日、函館国際ホテルで開催された。2年生を中心にした多彩なヘアメークのステージ発表が行われ、来場した家族や高校生ら約370人が拍手を送った。

 毎年開催しており、学内で2回の発表会を経験したのちこの日を迎えた。2年生のほか1年生や卒業生も参加。「Infinity 理容の無限の可能性」や「艶」「MODE」などといったステージで、理容と美容の技術を伝えた。

 「ROMAN」では、大正時代をイメージした袴や豪華なドレスを身にまとい、衣装に合わせたヘアメークを提案。ウェディングでは、和装の花婿が花嫁の髪飾りなどを整えた。同校の大西忠彦教頭は「毎年発表の場として設けている。学校の様子を知ってほしい」と話していた。(小泉まや)



◎昨年度の子どもなんでも相談110番 過去最多356件

 函館市が2007年度から設置している「子どもなんでも相談110番」に寄せられた昨年度の相談件数が、前年度比29件増の356件となり、設置以降最多となったことが明らかになった。市福祉部は「宣伝カードを各公共施設に配布し、市の広報誌でPRするなど、周知を徹底してきた表れ」と受け止めている。

 このほど開かれた、市要保護児童対策地域協議会で同部が報告した。

 同事業は、児童虐待などの養護相談のほか、障害、子育て、非行など、子どもに関するあらゆる相談の窓口となっている。相談元は保護者が中心で、中でも乳幼児を持つ母親が多いが、まれに子ども自ら相談するケースもある。

 内容別では、児童虐待が前年度比20件増の109件と最多。次いで児童虐待以外の養護相談が80件、不登校が29件、育児・しつけが24件だった。子どもからの相談ではメールを用いた匿名で、友達や教員との関係についての相談があるという。また本年度分は7月31日現在で137件となっており、そのうち養護相談が71件とほぼ半分を示している。

 市福祉部は「相談件数が増えるのは大変良いことで、気軽に相談してほしい。宣伝カードも新規に産婦人科や小児科に配布するなどし、引き続きPRに力を入れていきたい」としている。

 子どもなんでも相談110番は、市役所2階の福祉部子ども未来室次世代育成課内に開設。子どもの対象は18歳以下で、電話、FAX、電子メールと面談で受け付けている。相談は無料。開設時間は平日午前8時45分から午後5時半まで。TEL0138・21・3123。(後藤 真)


◎大間に向かい原発中止訴え…大森浜からデモ行進

 青森県大間町の大間原発建設の中止を求める「バイバイ大間原発はこだてウオークC」(実行委主催)が19日、函館市西部地区で行われた。今回は、対岸の同原発が肉眼で望める大森浜(大森町)に集合。市民ら約220人が函館から距離の近さを感じ取り、建設中止を訴えてデモ行進した。

 函館では5月28日、6月11日、7月23日に続く第4弾で、過去3回は千代台公園〜五稜郭公園をデモ行進。この日は全国規模で展開された「さようなら原発1000万人アクション」に賛同した。

 デモ行進に先立ち、参加者が大森浜で一列に並び、大間に向かって「函館〜大間20キロ」「大間原発近すぎる」などと声を張り上げた。

 サン・リフレ函館横を出発した参加者は「大間原発大間違い」「エネルギーシフト」などと連呼しながら電車通り、JR函館駅前、函館朝市などを約1時間15分かけて練り歩いた。街頭では、同原発の無期限凍結を求めている函館市の工藤寿樹市長が、8月30日に同原発を初めて視察したことに触れ、「大間町長や電源開発側には、その思いが伝わることは少なかったようだ。今こそ、私たち函館市民の取りやめるという意思表示が求められる」と強調した。

 七飯町から参加した工藤正人さん(60)は「子どもたちに空手を教えている。子どもに最も悪影響を及ぼす放射能を恐れずに空手に専念できる環境をつくりたい」と話していた。(山崎大和)


◎ガゴメ料理 食卓でいかが…「レシピ冊子」発行

 函館地域産業振興財団(松本栄一理事長)は、函館特産のガゴメコンブの料理方法を紹介する冊子「がごめレシピ」を発行した。ガゴメの特徴や調理の基本をはじめ、プロの料理人や大学教授が監修したメニュー24品が掲載され、ガゴメの消費拡大に一役買いそうだ。

 家庭で実用的にガゴメを使ってもらおうと、2008年に発行した第1弾を改訂し、料理の数や品目を拡充。ガゴメは葉に広がる凹凸が「かごの目」に似ていることから付けられたとされる名前の由来や、独特のとろみを生かすには60度以下で調理すると良いことも紹介している。

 料理は函館食品衛生協会の秋保栄指導員と、函館国際ホテルの木村史能総料理長が監修。水で柔らかく戻したガゴメを2時間半ほど煮込み、ミキサーでペースト状にしてからハンバーグやパスタに使う調理法のほか、刻んだガゴメをインスタントラーメンにのせた「とろみラーメン」、くずもちやクッキーなどデザートへの活用方法もある。

 紙面には同財団の専門員、三浦由貴子さん(25)が考案した耳と尻尾がガゴメの形状の犬のキャラクター「とろわん」も登場。調理の際の火加減などのワン<|イントや、料理の豆知識などを伝えている。三浦さんは「ガゴメとめんの相性は抜群。地元の方に日々の食卓に取り入れてもらい、活用の幅を広げてほしい」とPRする。

 冊子はB6判20ページでオールカラー。8月に2000部作製し、今月さらに4000部増刷した。冊子は渡島総合振興局(美原4)や専門店「がごめ昆布ねばねば本舗」(若松町)で無料配布している。問い合わせは同財団TEL0138・34・2600。(森健太郎)