2011年9月24日 (土) 掲載

◎被災者にメッセージ 市内16中学校がビデオレター

 東日本大震災の被災者を元気づけようと、函館市の中学生が自分たちの歌う姿や応援メッセージを収録したビデオレターを制作している。23日は函館のケーブルテレビ局NCV(西桔梗町)で編集作業を開始。携わった生徒は「早く完成させて元気を届けたい」と意気込んでいる。

 このビデオレターは7月、市内の中学校32校の生徒会役員で構成する市中学校生徒会協議会の定例会議で「被災地にできることを考えよう」をテーマに話し合った際、北中学校(播磨博幸校長)の生徒会長・鎌田恵里花さん(3年)らが提案し、制作が決まった。

 各校に参加を呼び掛けたところ16校が同意。曲は人気アイドルグループAKB48の「誰かのために—What can I do for someone?」で、それぞれ夏休み中に収録を行った。同協議会の担当教諭がNCVにボランティアでの編集を依頼したところ、趣旨に賛同した同社から快諾を得た。

 各校は約4分の1曲全部か、抜粋して合唱。「スマイル・アゲイン」「がんばってください」など応援する言葉を黒板に書いたり、紙に書いて手に持つなどして元気に歌った。撮影場所も教室や校門など、バラエティーに富んだものが集まった。

 この日はNCVに北中学校の生徒5人が集まり、初めに全校の映像を確認。曲のどの部分をどこの学校にするかや、メッセージを入れるタイミングを話し合い、NCVの藤本章チーフプロデュサーが編集した。藤本さんは「素朴な映像だが、メッセージを伝えたいという気持ちが伝わってくる。当局でも放送できる機会があれば」と生徒の力作を評価していた。

 作業はあと1回行い、映像は5〜7分になる見込み。10月上旬に完成し、同中旬に函館の奉仕団体を通じ、岩手県内に送られる予定。鎌田さんは「歌う時は緊張して不安だったが、作業してみて被災者の気持ちに近づくことができた。被災地の人たちがこの映像をみて、元気になってほしい」と話していた。(山崎純一)



◎肝炎、大腸がん検診 早期受診を 市内対象者にクーポン券など

 市立函館保健所はこのほど、市内に住む約1万9500人を対象に、肝炎ウイルス検診受診票と大腸がん検診の無料クーポン券を送付した。同保健所は「いずれも自覚症状が表れにくく発見は遅れがちになるが、早期発見、早期治療することで悪化を防げる。一人でも多くの人に受診してほしい」と呼び掛けている。

 配布対象は、いずれも40歳から60歳までの5歳刻みの市民(4月1日時点)。

 肝炎ウイルスは、血液などを介して人から人へ感染し、肝硬変や肝がんに進行することもある。今回は国の「肝炎対策強化推進事業」に基づき、本年度から初めて未受診者を対象に受診票を送付した。また送付対象にならなかった場合でも、小学3年以上の未受診者であれば、自ら予約すると無料で検査できる。

 大腸がんは高齢になるほどかかりやすいが、早期発見するとほぼ100%完治する。昨年までは有料で検診を行っていたが、本年度は国の補助を受け、「働く世代への大腸がん検診推進事業」として無料クーポン券を送付した。また送付対象から外れても、40歳以上であれば随時有料検診を受けることができる。

 有効期限は肝炎ウイルス、大腸がんともに来年2月29日まで。同保健所は「肝炎ウイルスは一生に一度検診を受けると安心できる。大腸がんは今回の検診をきっかけに年に1回は受けるようにしてほしい」としている。問い合わせは同保健所健康増進課TEL0138・32・1515。(後藤 真)



◎秋の連休シーズン第2弾 市内に観光客

 23日は秋分の日。秋の連休シーズン第2弾の初日となり、函館市内は日中、さわやかな晴れ間が広がる行楽日和となった。観光名所は道内で休みを過ごそうとする本州方面からの観光客などでにぎわった。

 函館海洋気象台によると、この日の函館の最高気温はほぼ平年並みの20・5度。元町の大三坂では、ナナカマドの赤い実が鈴なりとなり、訪れた人は秋の彩りを写真に収めるなどして楽しんでいた。

 埼玉県熊谷市の会社員村本明さん(52)は「住んでいるところは9月に入り、真夏日か大雨ばかり。函館はとてもすがすがしく、いい秋の旅になりそうです」と話していた。函館市本通の主婦山本晴美さん(67)は「25日は孫が通う幼稚園の運動会。この天気が続いてほしい」と話していた。

 同気象台によると24、25日の道南は曇りや晴れとなる見込み。(山崎純一)


◎ポールスター4周年記念祭 屋台やショーにぎわう ザンギ人気

 函館市港町1のポールスターショッピングセンターで23日、4周年記念誕生祭イベントが始まった。来場者は空揚げや手づくりパンの屋台販売、ステージショーなどを楽しんだ。24日も開催し、同センターは「おいしい料理と愉快なショーで感謝の気持ちを伝えたい」としている。

 イベントは駐車場の一部を主会場に実施。屋台村は、地元の食や文化・芸能情報の発信で人気の「タウン情報誌jam函館」が今年も趣向を凝らしてプロデュースした。

 目玉は、鶏のから揚げを実演販売する「ザンギなき闘い!!〜世界ザンギ祭in函館」。市内の人気惣菜店や食堂、居酒屋が実演販売し、香ばしいにおいに誘われて長い行列ができた。

 特設ステージでは、人気芸人ダブルネームのものまねライブ(23日のみ)やアマチュアによるマジックショーで盛り上がった。風船プレゼントや、道南人気店のスイーツがそろう一角もあり、好評だった。

 北斗市の整備士、佐野修平さん(27)は「気持ちいい青空の下で家族そろって楽しめた」、長女の心愛(ここな)ちゃん(4)は「カレー味のザンギがおいしかった」と笑顔だった。

 24日の屋台村は午前10時〜午後4時。スイーツ販売は午前11時からの予定。(田中陽介)


◎「日本人の温かさに感動」津軽海峡横断遠泳のパーフリー夫妻

 20日に津軽海峡縦断遠泳に挑んだ、オーストラリア在住のクリス・パーフリーさん(54)と妻のペニーさん(49)。東日本大震災を受けて来日控えがある中、「泳ぎを通じて日本の現状を世界へ伝えられる存在になれればと思った。復興活動に励む日本の皆さんを少しでも応援したい」と初来日。地元住民らと交流を深め、「今後も日本の皆さんの気持ちに寄り添っていくことができれば」と語る夫妻にその思いを聞いた。

 ——復興応援を込めての来日と聞きました。

 遠泳の計画は1年前から進めてきました。3月の大震災で一時、延期・中止も考えましたが、「前向きな姿勢を大事にしたい」と考えました。日本のスタッフからの情報を信頼し、日本の人々と気持ちを分かち合いたいという一心で函館に来ました。

 ——ペニーさんは成功し、クリスさんは途中で棄権となりましたが、遠泳を終えた感想は。

 津軽海峡は世界屈指の荒波でした。複雑な海流で、まるで洗濯機の中でグルグル回っているみたいで「ビックスイム」と表現したい。ただ、戸井での合宿中から景色や住民の皆さんの心の温かさに感動しました。

 ——遠泳には函館市や地元漁協など関係機関の協力がありました。

 戸井支所や漁協の船頭さんらには、親身に対応してもらいました。2人そろって遠泳成功とはなりませんでしたが、すてきな出会いが今回の最高の宝物です。オーストラリアでは、報道で日本の原子炉の話題が多く出ています。少しおおげさな面もあります。実際に来日して感じたことをもとに「日本は安全で大丈夫だ。函館には美しい自然があり、ご飯もおいしい」などと世界の友人に伝えたい。

 ——帰国前に、被災地の石巻を訪れるそうですが。

 足を運ぶことで何ができるか、また具体的な支援に結びつくかどうかは分かりませんが、現状を目に焼き付けることが必要だと感じます。こういうときだからこそ助け合いの気持ちを持って、被災地に向かいたいです。

 ——津軽海峡での再チャレンジの予定は。

 今回の遠泳は実に思い出深いものになりました。礼儀正しく、心温かく接してくれる日本の皆さんが大好きです。機会をみつけて、また津軽海峡で泳ぎたい気持ちでいっぱいです。皆さんと笑顔で再会できるのを楽しみにしています。復興へファイト!(田中陽介)