2011年9月30日 (金) 掲載

◎まきストーブづくりピーク

 朝晩の冷え込みが増す中、函館市新川町28の大和金属(高岸良明社長)では、まきストーブづくりがピークを迎えている。震災被災地へ届けるものも多く、「すぐ温まるまきストーブで寒さ厳しい冬を乗り越えてもらえれば」とフル稼働で対応している。

 同社のまきストーブは鉄板の厚さが0・6_で熱の伝わりがよく、体の芯から温まれることで、漁業や農作業などの仕事場で重宝されている。

 震災発生直後の3月19日には、東北の被災地へ届けるものとして、国から受注があった。工場では職人が金づちで打ちつけて、器用に組み立てている。

 高岸社長は「ストーブづくりは職人の技術が物を言う。1個でも多く組み立てたいと、みんなで頑張っている」。作業のピークは11月いっぱいまで。1台4000円前後で、ホームセンターで販売している。

 問い合わせは同社TEL0138-23-1455。(田中陽介) 



◎旅で健康「一石二鳥」 ヘルスツーリズムで東京の健保組合が視察

 「健康」を観光に—。旅行を楽しみながら健康増進を目指す観光スタイル「ヘルスツーリズム」の可能性を探ろうと、健康保険組合連合会(東京)の城南地区方面会(44社加盟)の代表者16人が28日、視察のため函館入りした。参加者は西部地区を観光ガイドとともに散策する「まちあるき」を体験。市も健診を組み合わせた函館観光の新たな切り口をアピールしている。

 沿道のナナカマドが色づく秋晴れの大三坂。観光ガイドの案内で石畳の坂道をゆっくりとを歩いた参加男性は「車では見過ごしてしまいそうなことも知ることができ、おまけに歩いて健康になれば一石二鳥」と好感触だった。

 同方面会は都内大田区と品川区にある企業の健康保険組合員で構成し、加盟者数は家族を含め約64万8000人。健康意識の高まりや、内臓脂肪型肥満(メタボリック症候群)の特定健診などの受診率が低迷していることを受け、「健康旅行」という新機軸を打ち出そうと視察に訪れた。

 今回は同方面会の日本航空健保組合の田口創一郎事務局長の函館勤務の経験から候補地として白羽の矢が立った。市側も市内・近郊に医療機関が充実していることや、健康志向にマッチした食や温泉、街歩きなどの観光資源をPRし、新たな需要を掘り起こす狙いで全面協力した。

 一行は1泊2日の日程で同日午前に羽田から空路で函館入り。初日は昼食後、市内元町の教会群や坂道をボランティアガイドとともに歩いて巡った。夜には函館山からの夜景も見物し、29日には七飯町大沼でゴルフやノルディックウオークなどを思い思い楽しんだ。

 28日には旧イギリス領事館で市観光振興課の小笠原聡課長が連泊型の滞在観光の一つとして2泊3日のヘルスツーリズムのモデルコースを提案。初日は元町散策や地元食材の夕食を堪能し、2日目は七飯町内の病院で午前中に健診し、午後から大沼周辺でゴルフやカヌーなどを楽しむ。3日目に健診結果の報告を受け、夕方に東京に戻る。

 参加者からは「ドックでは食べ物や運動に制限が出るのでは」「温泉と医療を組み合わせられないか」と活発な意見が出され、市は今後、受け皿やメニューの拡充を図る考えを示した。田口事務局長は「従来の物見遊山ではなく、旅行するにも健康づくりという大義名分ができる。函館は東京から1時間余りで、ヘルスツーリズムの候補地としては魅力的」と話していた。(森健太郎)



恵山中学生が壁新聞づくり 「地域防災」を総力取材

 函館恵山中学校の生徒たちが、地域防災に特化した壁新聞づくりに励んでいる。漁協や老人ホーム、恵山支所などに取材し、全校生徒81人のアンケートを分析する徹底ぶり。10月1日の学校祭でお披露目し、秋の恵山地域文化祭でも初めて展示される予定で、生徒たちは「少しでも多くの住民に興味を持ってもらいたい」と語る。

 壁新聞づくりは、秋の学校祭で飾る同校伝統の文化活動。今年は3月の東日本大震災発生を受け、恵山地区の防災事情を取り上げた。

 トップ記事の見出しは「えさん漁協の心構え」。えさん漁協に、大震災発生当時の津波到達状況などを聞き、「関係者の迅速な連絡、船を沖に出すなどの対応が功を奏し、恵山での被害は特になかった。しかし、今後の津波対策には不安がある。この大震災は想定外で、命を守ることを考えた行動をしてほしい」(漁協幹部)。

 緊急時の弱者、高齢者への対応では、学校近くの特別養護老人ホーム恵楽園を取材。災害発生時などの対応に町内会などとの連携体制確立を目指す動きに触れ、「私たちの町と文化を築き上げた先輩たち。緊急時に高齢者の方が落ち着いて行動出来るように環境を整えたい」とした。

 活火山「恵山」にも言及。恵山支所防災担当者から噴気活動の説明を受け、万一の避難のポイントを具体的に示し、「自分たちのことは自分たちで守るという意識が大事」と結ぶ。

 編集は各学年代表2人が携わり、9月上旬から毎日2時間ほど紙面づくりに励む。編集長の3年、河内英里香さん(14)は「取材のお願いや写真撮影、紙面構成と手探りで頑張っている。多くの協力でこの町にとってよい紙面ができたと思う」、3年の藤谷美沙さん(14)らも「新聞づくりで貴重なものを学ぶことができた」と語る。改行 伊藤勝校長は「壁新聞には生徒の努力がたっぷり。学校祭当日にしっかり読ませてもらいたい」と話していた。

 学校祭は同校で10月1日午前9時—午後3時半。(田中陽介)


◎フェリー存続問題 大間側、財政支援求める 市議会と意見交換

 青森県大間町議会の議員10人が29日、函館市議会を訪問し、函館—大間間フェリー航路の維持存続について意見交換会を行った。大間町議会側は「町民負担を少なくする方法を見いだしたい」と、函館に財政支援など協力を求めた一方、議会と町との間で方針の違いもみられるため、函館市議会側からは意思の一本化を求める声が相次いだ。

 意見交換会は大間側の要請を受けて開催。工藤寿樹市長が今年7月の市議会で「財政支援も含めた何らかの支援を検討する」と述べたことを受け、その内容を確かめる趣旨。大間は石戸秀雄議長や、8月に設置した大間・函館フェリー航路対策特別委員会の宮野昭一委員長ら全員で訪問。函館側は23人が出席した。

 大間町は約26億円をかけ、老朽化が進む現在の船「ばあゆ」に代わる約2000d規模の新造船を計画。今年6月にプロポーザル(提案型公募)を行い、造船業者を内海造船(広島県尾道市)に選定。津軽海峡フェリーを指定管理者とする公設民営方式で、2013年4月からの就航を目指している。

 大間原発が14年11月に運転開始予定のため、町は15年度以降に同原発から入る固定資産税をフェリー建造の償還財源に見込んでいる。石戸議長はあいさつで「函館が望む原発凍結となれば固定資産税の見込みがなくなり、船を小さくしなくてはならないのかという気がしている」と述べた。

 大間町は予定通りのスケジュールで作業を進める考えを示している一方、出席した町議が「もう少し船を小さくしてもいい。財政負担をできるだけ少なくしたい」と述べるなど、議会内部で考えに開きがあることが判明。これに市議会側は協力姿勢を示しながらも、「県、町、議会を含めて一つの道をつくることが先決では」「しっかりした財政フレームをつくらないと、函館も意見がまとまらない。大間町議会も一本化してほしい」などの意見が出た。

 一行はこの後、市が本年度から整備事業を進める北ふ頭(浅野町)を見学した。30日に離函する。(千葉卓陽)


◎南茅部・川汲町内会が防災訓練 津波・地震時の避難対応確認

 函館市南茅部地区の川汲町内会自主防災会(会長・酒井鉄雄町内会長)による防災訓練が29日、市指定の避難場所である市南茅部公民館で行われた。地域住民ら約70人が参加。大地震や津波など災害発生時の対応を確認した。

 防災意識の向上を目的に年1回開催。今回は市南茅部支所、市東消防署南茅部支署、南茅部消防団第4分団、函館中央署南茅部駐在所の関係者も大勢集まり、青森県東方沖を震源としたマグニチュード(M)8・0の地震が発生した想定で行われた。

 防災無線で津波警報が発令されると、標高約30bの同公民館に住民が続々集まり、自主防災会のメンバーが迅速な避難誘導を実施。消火班ら10人が参加した初期消火訓練でも、消防署員の指導を受けながら放水の手順を学んだ。

 また、救急講習ではきれいな布やタオル、三角巾を使った止血を学習した。

 酒井会長(70)は講評で「人的被害を最低限に食い止めるためには避難が大切。津波警報や避難指示の発令時にはすぐに安全な場所に逃げるようにして」と呼び掛けた。(長内 健)