2011年9月4日 (日) 掲載

◎エコフェスタ、環境問題楽しく学ぶ

 環境問題を身近に考えるイベント「はこだて・エコフェスタ2011」(環境フェスティバル実行委主催)が3日、函館港緑の島で開かれた。環境保全に取り組む団体や企業が、エコやリサイクルを意識した体験ブースを出展。ステージイベントなども行われ、約7000人の市民らが足を運び、にぎわった。

 地球温暖化の影響やその対策、個人でできる環境問題への取り組みについて関心を持ってもらおうと、1989年に「環境フェスティバル」としてスタート。2001年から名称を「はこだてエコフェスタ」に変え、毎年開催している。

 会場には、環境に優しい製品や商品を見学できるコーナーやフリーマーケットなど31ブースを設置。衣類や日用品などが安値で売られたフリーマーケットには家族連れが足を止め、目当ての商品を買い求めていた。

 「ちょこっと『エコっと』〜未来の地球のために〜」というテーマに合わせた、リフォーム製品の無料抽選会や東日本大震災を支援するチャリティーバザーも行われ、“使えるものは大切に使おう”と来場者にアピールしていた。

 おがくずを使った鉛筆づくりや瓶入り飲料を購入・返却すると水ヨーヨー釣りが楽しめる体験ブース、キャラクターショーやエアロビックダンスショーは、子どもたちの人気を集めていた。

 札幌市から遊びに来ていた菊地拓馬君(6)は「仮面ライダーに会えて楽しかった」と笑顔。函館市の主婦(53)は「最近はエコバッグを持って買い物に行っているので、これからも手軽なエコとして続けていきたい」と話していた。(小杉貴洋)



◎函館市「事業仕分け」始まる、2事業廃止判定

 函館市の財源不足解消に向け、外部委員が事業の存廃を判断する「事業仕分け」が3日、市役所で始まった。初日は2班に分かれて10事業を審査し、一定年齢に達した高齢者に贈呈する「敬老祝い金」と、70歳以上の高齢者や身体障害者が対象の「交通機関乗車料金助成」の2事業を廃止と判定、7事業は改善が必要とした。制度設計のあり方や費用対効果などの面で、市民目線での厳しい指摘が相次いだ。

 事業仕分けは昨年の「事業レビュー」から一歩踏み込んで事業の必要性をふるいにかけ、今後の政策や予算への反映を前提に議論する。公募を含めた委員14人が7人ずつ2班に分かれ@事業の廃止A民営化の検討B委託化の検討C改善を図るD現行通り—の5つの選択肢から判定する。

 廃止と判定されたうち、77歳、88歳、99歳を迎えた高齢者に現金1万円を贈る敬老祝い金事業(本年度予算5129万円)に関し、市福祉部は「高齢者の生きがいと健康を高めるのが目的」と説明したが、各委員からは「金を受け取った高齢者が生きがいと健康を高めるという目的には納得いかない」「気持ちや心を届ける内容に衣替えすべき」と、疑問視する指摘が上がった。また厳しい財政状況から、他の事業や若い世代に財源を回すべきとの意見も出た。

 70歳以上の高齢者と身体障害者に市電・バスの半額・無料利用証を交付する交通機関乗車料金助成(同4億1785万円)では、利用実態調査が5年に1回程度で春と秋の年2回と少なく、2009年度の利用率が7・84%(市電を利用した70歳以上の高齢者)と、前回調査の05年度から約3%減少している。

 各委員は制度の運用面が不透明だと指摘。「サンプル数に変動要素があれば簡単に数字が変わってしまう」「交通部やバス会社に対する、事実上の補助金と取られかねない」と、廃止のうえで制度の再設計を求めた。

 このほか、総合福祉センター管理委託料(同1億9599万円)はこの日の判断を見送った。4日は午前9時から市役所8階の会議室で開かれる。(千葉卓陽)

 



◎樺太引揚者らの冥福祈る

 戦後の混乱期、樺太(サハリン)からの引き揚げ途中や上陸後に亡くなった人たちをしのぶ、「樺太引揚者上陸記念碑記念祭」(函館市主催)が3日、湯の浜ホテル(函館市湯川町1)で行われた。関係者約40人が参列し、献花台に花を手向け、故人の冥福を祈った。

 記念祭は、東雲町にある同碑の建立を記念して毎年実施しており、今回が35回目。悪天候のため同ホテルに会場を移して開催した。

 引き揚げ者と東日本大震災で犠牲になった人への黙とうに続き、市の川越英雄福祉部長が「さまざまな苦難に耐え、祖国への第一歩を踏んだ方々は平和な日本の礎を築いた。亡くなった方に哀悼の意を表す」とあいさつ。

 社団法人全国樺太連盟函館支部の敦賀敬之支部長は「苦労は察するに余りあり、上陸した方々がしのばれ、胸が熱くなる」と述べた。参列者は白い菊の花をささげ、手を合わせた。

 同碑は1946年から50年にかけ、同市に引き揚げた約31万人の上陸を記念するとともに、引き揚げ中に亡くなった1079人を慰霊するため、同支部が77年に建立し、96年に同市へ寄贈した。(小杉貴洋)


◎市経済再生会議初会合、「観光資源生きていない」

 首都圏など外部の有識者を招いて函館の経済振興について検討する「函館市経済再生会議」が3日、函館国際ホテルで開かれた。今回は外部委員6人のうち、8月27日の初会合に出席できなかった委員2人が市内を視察した後、地域経済の現状や可能性について意見を交わした。

 この日は工藤寿樹市長のほか、西岡幸一専修大経済学部教授とデザイン会社コボ(名古屋市)の山村真一社長が出席。委員2人は会議に先立ち、市内の工業団地や公立はこだて未来大、商店街などを車で回った後、会合では市経済部の担当者から市の施策や人口、観光客の推移などの説明を受けた。

 意見交換で西岡氏は「海や歴史、自然、食など函館の観光資源はありすぎるぐらいある」とする一方、「その割に歩きにくい街で、せっかくの資産が生きていない」と指摘。全国で函館と似たような都市と比較優位にあるベンチマーク(指標)の必要性を提起した。

 山村氏も「都市圏や海外への情報発信が足りない。いまある資源の再発見、再発信が大切」と強調。石川県の高級旅館などを例にもてなしの心の重要性を説き、「函館はまだまだ粗削りなところがあり、企業経営として末端までもてなす教育を浸透させなければ」と語った。

 このほか、委員からは「函館の看板には黄色や朱色が多く、美的感覚としてけばけばしい印象がした」(西岡氏)、「就職率の高い未来大をもっと売り込み、卒業生らのネットワークづくりを」(山村氏)との意見も出た。次回は11月上旬に開催する予定。(森健太郎)


◎前線影響、道南で強い雨

 本道付近に停滞する前線の影響で、道南地方は3日も荒れた天気となった。午前中は奥尻と桧山南部で、夕方からは渡島西部で強い雨となり、函館海洋気象台によると午後8時現在、福島町千軒で1時間に23・0ミリ、函館は同じく13・5ミリを観測した。同気象台によると、奥尻で1日午後3時から3日午後8時までの雨量が147・0ミリを観測。せたなで同じく142・0ミリとなった。

 午前中は晴れ間が広がり、蒸し暑かった函館市内も、午後から雨となった。JR函館駅前を歩いていた市内の高校生は「午前は汗で、午後は雨で体はずぶ濡れです」と話していた。

 また、市内の漁港では、台風12号の接近に備え、船をロープなどで結び、高波から守る作業が行われた。志海苔漁港では港内に停泊する2d級の漁船を等間隔にし、船同士をロープでつないだ。近くに住む古谷留芳さん(80)は「雨がやんだのを見てすぐ来た。夜中から朝にかけて天気が荒れると思うから、いつでも漁港に行ける準備をしておく」と話していた。

 この台風の影響で、JR北海道は3日、札幌—大阪間「寝台特急トワイライトエクスプレス」1往復2便を運休とし、約170人に影響した。また、全日空(ANA)は同日、函館—関西空港間1往復2便、同—名古屋中部空港間3便の計5便を欠航し、計422人に影響した。このほか、森町のJR森駅前広場で4日に予定していた「楽市楽座もりまち食KING市」は中止となった。

 気象庁によると、台風12号は4日朝に山陰沖から日本海に抜け、北へ。同日夜から5日午後にかけて本道の西海上を通過する見込み。引き続き、気象情報に注意を呼びかけている。