2011年9月5日 (月) 掲載

◎迫力のステージ函館熱く 野外フェス「黒船」

 音楽とファッションを組み合わせた野外フェス「HAKODATE黒船2011」(函館黒船地域活性化協議会主催)が4日、函館市大町の緑の島で開催され、主催者発表で3200人が来場。好天の中、プロと市内・近郊のオーディション合格者が共演し、大歓声を浴びた。関係者は成功を喜び、合言葉の「やればできる!願いはかなう」を胸に再会を誓った。

 イベントで地域の活性化を図ろうと春先から念入りな準備を進め、万全の警備体制を敷き、心配された台風12号もはねのけた。

 緑の島に巨大舞台が組まれ、観客は目の前でステージを満喫。デビューを夢見る地元のボーカリスト陣には温かな拍手が送られ、レッスンを重ねてきたモデルオーディション合格者のウオーキングにも歓声がわいた。 モデルの小森純さんや道端アンジェリカさん、ユージさん、人気歌手の青山テルマさんやミルキーバニー、キマグレンらが登場すると会場の熱気も最高潮に。また、東日本大震災で被災し、函館に移住した来場者に対し「助け合い、一緒に頑張っていこう」と司会を務めた同協議会の小林一輝会長らが呼びかけた。

 両親と来場した生島麻夕さん(10)、孝晟(こうせい)君(6)きょうだいは「ステージが近いので迫力があった。テレビで見る人ばかりで感動した」。市内桔梗町の黒萩キヨさん(86)は昨年に続き来場し「今年も良かった。両手を挙げて踊りたい気分になった」と満足の様子。

 モデルオーディションに合格し、憧れのプロと同じステージに立った市内木直町の佐々木美来(みく)さん(24)は実家のコンブ漁の合間を縫って練習し「緊張したけど、最高に楽しい時間だった」と笑顔。地元仲間が声援に駆けつけ「アンジェリカと同じくらいにウオーキングが上手だった」と話していた。       (田中陽介)



◎産業支援センターの管理委託料を廃止判定

 函館市の外部委員による事業仕分けは4日、市役所で12事業を審議した。経済部が所管する産業支援センター(桔梗町)の管理委託料について、利用者の少なさに対して固定費用が多いことなどを理由に廃止と判定した。改善が必要とした中には、放課後児童健全育成(学童保育)など、予算規模の拡充を求める意見もあった。

 市産業支援センターは函館地域産業振興財団が指定管理者となって運営している。その管理委託料(本年度予算2057万円)をめぐる審議では、インキュベータルーム(貸し研究事務室)への入居が現在0社で、歳入が少ないことへの指摘が続出。

 市経済部は「料金(1室月額9万4500円)の引き下げを検討している。増収増益は厳しく、長期的に企業を支援したい」と述べたが、同施設に以前入居していた委員が「長期的支援で見守る段階ではない。入居企業の支援も全くしていない」と批判し、制度を廃止したうえで内容見直しを求めた。

 「改善が必要」としたうち、放課後児童健全育成事業(同2億458万円)に対しては共働き世帯の増加などの面から、大半の委員が拡充を要望。「環境が良ければ預けたい人は多いはず」「保護者に対する意識調査を行う必要がある」などと指摘した。

 一方、恵山地区の風力発電施設管理運営費(同1060万円)では縮減に加え、廃止を求める声も。市経済部は「新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)から建設補助を受けており、廃止の場合は多額の補助金返還が必要」とし、2018年度まで行う考えを示したが、委員は「風が吹かない場所にあり、絶えず故障している」「いかに出費を防ぐか考えるべき」などと述べた。

 次回の事業仕分けは10月中旬を予定している。 (千葉卓陽)  



◎「復旧遠いが、人々に笑顔も」 

 函館聖ヨハネ教会の藤井八郎司祭(70)と妻の直さん(67)が7月5日から8月10日まで、東日本大震災の支援活動にあたるため、岩手県釜石市に入った。被災者に声かけをして、支援物資を用立てるなどの活動を実施。夫妻は「被災地はまだ復旧にはほど遠かったが、人々の顔には笑顔が戻っていた」と話している。

 藤井さん夫婦は、日本聖公会北海道教区の活動として、釜石市を中心に避難所や仮設住宅の被災者を訪問し、被災者支援センター設立活動の支援を行った。

 震災から約4カ月たっていたが、道路の両側にはがれきの山、津波の被害にあった森林の一部は茶色に染まっていた。街灯がなく、夜は道を歩くことに恐怖を感じたという。藤井司祭は「辺りは一面に雑草が生い茂り、震災を風化してしまいそうで恐い」と話す。

 被災者の声に耳を傾けると、住民からは「元の場所に戻りたい」「この先がわからず不安」などの声が上がった。その一方で「仏壇前用の座布団が欲しい」「自由に過ごせる場所や遊び場が欲しい」と要望の声も。

 夫婦は、「できる限りのことを」と住民の要望に応え、他の支援者と共に座布団92枚を約40世帯に届け、ボランティア数人と支援センターの設立支援を行った。壁塗りや掃除をし、被災住宅一件を住民が集える場として開放した。同センターには「みんなと話ができてうれしい」と喜ぶ姿が見られた。

 函館に戻ってからも、2人は北海道教区内で連携を取りながら、毛布や漁業用の作業着50着などの物資を届けた。「震災からもうすぐ半年。年月がたっても、震災があったことは忘れないでほしい。自分たちにできる支援活動を続けたい」と話す。

 現在も函館を拠点に活動を続け、市内の人に新品の毛布や衣類などの提供を呼び掛けている。また、年内に釜石市を訪れ、声かけなどの支援活動にあたる。(平尾美陽子)


◎多彩なイベントで活気 NPOまつりに73団体

 道南のNPO法人や市民団体が集い、日ごろの活動をPRする「第7回NPOまつり」(実行委主催)が4日、函館市地域交流まちづくりセンターで開かれた。天候の事情で屋外にステージは設けず、イベントは屋内で実施し、大勢の市民らでにぎわった。

 2005年からNPO関係者らでつくる実行委が主催し、活動内容の周知と団体間交流を目的に毎年開催している。今年は、まちづくり、福祉、生涯学習、人との交流、環境保全など、さまざまな分野で活動する73団体が参加。ある団体は「今年は外でのイベントが無いためか、来場者はいつもより各ブースを熱心に見てくれている」、また、「この日を機に、あらためて活動に力を入れようという気持ちになる」と話していた。

 会場では、各団体が取り組みをチラシやパネルなどで紹介したほか、自分たちで作った飲食物や陶器、新鮮な野菜などを販売。このほか演奏などのパフォーマンスも行われた。来場した市内豊川町の西村智世さん(41)は「約3年ぶりに来たが、各団体の展示が前より充実している。自分も街や人のためにできることを考える気持ちになった」と話していた。 (山崎純一)


◎高校生の「自分から」手紙

 函館大谷高校(丸山政秀校長、生徒250人)は4日の学校祭に合わせて、10年前の全校生徒が自分への手紙を入れたタイムカプセルを開封した。在校生や教師らが見守るなかで開けられ、中から当時の生徒479人分の手紙を取り出した。

 タイムカプセルは2001年9月7日に、当時の在校生全員が参加して作った。「10年後の自分へ」のテーマで、未来の自分にあてた手紙を書いた。封印後は生徒玄関に置かれ、決められた月日がたつのを待っていた。

 この日は生徒玄関前の特設ステージで開封。在校生の代表が厳重に閉められたふたを開け、中からビニール袋に入れた手紙を取り出すと、会場に居合わせた人たちの注目が集まった。手紙には自分の住所と名前を書き、切手を張っており、ポストに投函するばかりの状態。

 当時担任を持っていた三島宏貴教諭(46)は入っていた名簿を見て、「進学コースのクラスだったのでほとんどの生徒が進学しました」と当時の様子を思い出し、「夢などが書かれているので返送されてきてもどうにかして全員に届けます」と話していた。 (小泉まや)