2012年10月10日 (水) 掲載

◎野村水産がエコラベル$産加工品販売

 定置漁業と加工を手掛ける函館市南茅部地区の「久二(きゅうに)野村水産」(野村譲社長)が、日本の水産エコラベル制度「マリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)」のラベルシールを商品に付けて販売を始めた。定置で水揚げした魚にシールを付けるのは全国初で、持続的漁業をアピールする目印となる。

 MELジャパン認証は、生産段階と流通加工段階の2つ。まず、南かやべ定置漁業協会(会長・野村社長、11経営体19か統)が昨年5月に生産段階認証を受けた。続いて、同社加工部門が流通加工段階認証を今年3月に取得。これによりシールを付けて消費者まで届ける態勢が整った。

 加工本番を迎えた今月から本社、本通直営店、七飯直販店にシールが付いた商品が登場。イカやサケ、イクラなどの加工品で先行し、今後鮮魚にも拡大する考え。認証を受けていない他産地の魚と混じり合うのを避けて流通・加工することが必要で「会社を挙げてモラルをきちんと守る」と野村社長。

 シールを付けても高く売れるわけではないが、お客が差別化商品として認めれば、原料高による価格高騰時に応援してもらえることが期待される。野村社長は「お客が満足するいい製品を作って売る責任がさらに増す」と気を引き締める。(山崎大和)



◎世界新三大夜景に函館は落選

 夜景観光の普及を目指す民間団体が選んだ「世界新三大夜景」に、長崎、モナコ、香港が認定された。これまで一般的には函館、ナポリ(イタリア)、香港が世界三大夜景とされてきたが、新基準による再評価で函館は落選=B函館市は「従来も公式なものではなく、函館夜景が世界一という認識に変わりはない」と静観している。

 長崎市で5日に開かれた「夜景サミット2012in長崎」で公表された。夜景に詳しい「夜景鑑賞士検定」などを主催する一般社団法人「夜景観光コンベンション・ビューロー」(東京、丸々もとお代表理事)が企画した。

 新三大夜景は「港町の夜景であること」を条件に、全国約3500人の夜景観賞士の推薦のほか、夜景が見られる場所の数、観光的な取り組みなど11項目を基に選考。長崎は港を囲むすり鉢状の地形が多方向から鑑賞できることなどが評価された。

 主催団体によると、函館は国内外の約120都市から選抜した第2次ノミネートの18都市には残ったが、「函館山以外に俯瞰(ふかん)的に眺望できる場所が少なく、『裏夜景』もまだ定着していない。夜景ガイドなどソフト面の取り組みも弱かった」(丸々代表理事)といい、最終候補の6都市から外れた。

 一方、昨年5月にはフランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」改訂版で函館山からの眺望は最高評価の三つ星を獲得している。市観光振興課は「三大夜景や100万ドルといったブランドは自治体で公表したのではなく、見た方の高い評価から生まれたもの」と話し、今後も「世界一」として函館夜景をPRする方針だ。(森健太郎)



◎森町長選告示、4氏が立候補

 【森】任期満了に伴う森町長選は9日告示され、再選を目指す無所属の現職、佐藤克男氏(62)、いずれも無所属の新人で、元道議の河野光彦氏(71)、前副町長の増田裕司氏(59)、元砂原町長の梶谷恵造氏(56)(届け出順)の4氏が立候補した。投票は14日で、即日開票される。

 争点は、4年間の佐藤町政への評価。佐藤氏は、約14億円の財政調整基金を積み上げる財政改革を断行した一方で、町議会と対立し続けた。問責決議は2度可決、決算に至っては、3年連続で不認定になった。新人3人は、この激しい対立を批判し、町政の刷新を訴えている。

 この日、4陣営は、出陣式後に第一声を上げ、町内を回り支持を訴えた。

 投票は、14日午前7時から町内26カ所で行われ、午後9時に町公民館で開票を開始。同10時半ごろには大勢が判明する見通し。期日前投票は10日から13日まで。役場と砂原支所で行われる。

 8日現在の選挙人名簿登録者数は1万4774人(男性6900人、女性7874人)。(森裕次郎)


◎南北海道GH協会、市に虐待予防体制など要望書

 南北海道グループホーム(GH)協会(林崎光弘会長)と函館認知症の人を支える会(佐藤悠子会長)は9日、高齢者施設での虐待の予防や早期対応の仕組み作りを求めた要望書を函館市に提出した。

 今年3月、市内のグループホームの職員が入居者に虐待した事実が公になったのを受けて、両会は6月下旬、施設職員らを対象とした研修会を実施。合わせて出席者に虐待に関するアンケートを行い、結果を分析しながら虐待防止の対策を練った。

 この日は林崎会長や佐藤会長ら両会役員4人が市保健福祉部の川越英雄部長と面談し、要望書とアンケートの結果を手渡した。

 要望書では、アンケートの結果を踏まえ@1施設職員も市の相談窓口に通報、相談できる体制づくりA職員への虐待対応マニュアルの周知徹底B職場環境改善への対策C施設利用者の家族を対象とした合同家族交流会の開催—の4項目を盛り込んだ。

 林崎会長は「(アンケートから)職員のストレスの要因に人間関係や給与への不満が多く、職場環境は虐待の引き金になり得る。施設のオーナー、管理者の指導、研修も必要」と指摘し、「ガラス張りの体制を築いてほしい」と話した。

 川越部長は「要望をしっかり受け止め改善につなげていきたい。アンケートも今後の対応の参考としたい」と述べた。(鈴木 潤)


◎函館市、HPに大間原発への対応特設ページ

 函館市は9日から、公式ホームページで大間原子力発電所(青森県大間町)への対応をまとめた特設ページを開設した。工藤寿樹市長の声明や、会合の内容などを掲載している。

 電源開発(東京)が今月1日、建設工事を再開したことを受け、無期限凍結を求める姿勢を内外に広く発信する狙い。

 声明では函館が最短23`、晴天時には工事現場が見える至近距離にあることや、世界初のフルMOX原子炉の危険性、海上からのテロへの懸念を示しながら「原発の新設は、福島原発の大事故を起こした我々ではなく、将来世代の判断に委ねるべき」とする工藤市長の見解を掲載している。

 同原発をめぐる主な経過も掲載し、今月1日の電源開発訪問、同4日の高橋はるみ知事との会談の会議録も載せている。

 特設ページにはトップ画面から入ることができ、メッセージ用のアドレス(bousai@city.hakodate.hokkaido.jp)も掲載して全国からの後押しを求めている。市総務課によると、同原発への対応に関する意見は9日現在で159件寄せられており、うち151件は市長を応援、激励する内容。建設賛成への声は1件のみとしている。(千葉卓陽)