2012年10月11日 (木) 掲載

◎大野農高の乳牛 2年ぶり最高評価

 【北斗】日本ホルスタイン登録協会が行う体型審査で、大野農業高校が飼育している乳牛「ダイノーリンカーンオブロイ」(雌・8歳)が、最上位ランクの称号「エクセレント(EX)」を獲得した。同校では2年ぶり6頭目の快挙。生徒や職員からは喜びの声が上がっている。

 ロイは体重900キロ以上で、2010年にEXを獲得した母が同じ姉牛「ダイノーリンクスアミ」の妹牛にあたる。同校ではロイを含め、12頭の乳牛を農業科乳牛班の1〜3年生18人が飼育に当たり、授業時間以外の放課後も餌を与えたり、ブラッシングを行うなど世話をしている。

 同班の中村菜々さん(2年)は「牛の気持ちになって世話をするように心掛けている。病気など、生き物を育てる大変さを実感することもあるが、愛着を持って育てている牛がEXを獲得してうれしい」、服部良太農業科学科長は「代々引き継がれ、積み重ねてきたことが実を結んだ。卒業生たちにも報告したい」と喜びを語っていた。

 審査は9月29日に実施。牛の各部位の機能性を評価することで、生産できる乳量などを判断し、「体貌(たいぼう)と骨格」「乳器」などの4区分から点数を付ける。100点満点で90点以上がEXとなり、ロイは審査で90点を獲得。道内では一般酪農家の牛も含めて年間3万頭が評価を受け、EXは約100〜150頭という難関。通算6頭のEX評価獲得は全国の高校でもトップクラスという。(平尾美陽子)



◎ふっくりんこ初のテレビCM 13日から放送

 道南ブランド米「函館育ちふっくりんこ」の道南版テレビCMが完成し、13日からSTV(札幌テレビ放送)で放送が始まる。画面上に作り手831人分の名前が流れ、「道南の自信作」をPRする。

 ふっくりんこに特化した初のテレビCMで、北海道米販売拡大委員会が制作した。函館山や函館育ちライスターミナルをバックに、函館育ちふっくりんこ蔵部(くらぶ)部会長の木本勉さん(知内町)、副部会長の山田智稔さん(厚沢部町)、原田茂さん(せたな町)、今金町稲作部会副会長の吉本辰也さんが出演。撮影は北斗市内で行われた。4パターンあり、放送時間は1パターン15秒。

 11月12日まで計66回放送予定。ホクレン函館支所は「志高くコメ作りに取り組む生産者の思いを伝えたい」(米穀課)としている。

 ふっくりんこは約3000ヘクタールで生産、道南のコメ品種で最も作付けが多い。(山崎大和)



◎加藤さんヘアケアマイスターに 道南初の認定美容師

 毛髪診断を正しく行い、それに対する処置やアドバイスを的確にできる理美容従事者「ヘアケアマイスター」に、函館市大森町の美容室・ルルーディー(竹田青司代表)に勤務する加藤真人さん(25)が道南で初めて認定された。「お客様それぞれのスタイルに合うよう正しいものを選択し、疑問にもしっかりと答えていきたい」と話している。

 2009年に日本ヘアケアマイスター協会(東京)が制定。プライマリー、ミドルの試験に合格した者にマイスターの受験資格が与えられる。現在、全国の理容・美容免許を持つ従事者のべ5万1817人が受験し、マイスターの認定を受けているのはわずか481人。

 加藤さんは「信頼される受け答えができる美容師になりたい」という思いで、2年前から業務終了後に深夜まで勉強を重ね、4度の試験を経て合格した。

 道教育大函館校入学後、高校時から興味のあった美容師を目指すため、同大に通いながら札幌市の美容師養成施設の通信過程に入学。同大3年時に家族の反対を押し切って大学を中退し、美容師への道を決めた。2008年から同店で勤務し、翌年に美容師免許を取得。アシスタントを4年間務めた後、今年8月にスタイリストへ昇格した。「函館から全国に発信をできるような美容師を目指していきたい」と目標を掲げている。(金子真人)


◎函館市、アンテナショップ苦戦 専用ホームページなどでてこ入れ

 函館市が東京のローソン京橋駅前店内に開設したアンテナショップが苦戦している。オープン1周年を前に、取り扱う函館の物産品の売り上げが目標を下回る状況が続く。市は専用ホームページ(HP)を立ち上げたり、道外販売では異例の消費期限の短い乳製品を投入したりと、てこ入れに懸命だ。

 ショップは地場産品の販路拡大やブランド化を目指し、市が委託料など運営費200万円で昨年12月に開設。店の一角に約10平方メートルの函館の物産コーナーを設け、食品や飲料を中心に函館・近郊で製造された約100品目を販売している。

 開設直後は「他の自治体のアンテナショップを上回る勢い」(ローソン広報)だったが、その後は購買単価の減少などで売り上げが1日平均2万円を割り込み、目標の3万円に届いていない。市商業振興課は「ビジネス街にあり、ちょっとした買い合わせが多く、数量の割に売り上げが伸びていない」と打ち明ける。

 一方で、思わぬヒット商品も生まれた。当初は「テスト販売枠」だった薫製卵「函館物語」(141円)は月平均100個が売れる人気で、道内限定の「コアップガラナZERO(ゼロ)」(147円)などもリピーターが多いという。

 市は売り場を活性しようと、市職員の手作りで9月下旬に専用HPを開設。取り扱う商品の一覧や、写真付きの新商品、人気ランキングなどを掲載し、地場企業向けにテスト販売の募集案内もある。

 今後は輸送の問題で地元以外での展開が難しいヨーグルトなどを販売日や数量を限定して販売するほか、函館の地域情報を発信するため、地元のフリーペーパーの陳列も予定する。同課は「商品の回転を早め、購買客に商品が飽きられないよう試行錯誤したい」と話している。(森健太郎)


◎函病の救命救急センター 診療体制、道内で最高点 厚労省が評価

 厚生労働省が全国の救命救急センターを対象に実施する2011年度の診療体制の充実段階評価で、市立函館病院(木村純院長)が道内のセンターでは最高点となる81点をマークした。専従医師の増員や専門職員の配置などで体制を充実させ、前年度よりも8ポイント増。同院救命救急センターの武山佳洋センター長は「院内全体のバックアップがなければできないこと。病院の総力が評価された」と話している。

 同評価は、救命救急センター全体のレベルアップを図ることを目的に1999年度から実施しており、診療体制面の充実を主眼に置いた評価。「専従医師数」「年間に受け入れた重篤患者数」など37項目で点数評価し、各項目の合計点などを基に3段階(A、B、C)評価する。評価対象は前年度の実績で、評価結果はセンターの運営事業費の補助額に反映される。

 函病は新評価に移行した09年度、評価の合計点67点を獲得。10年度以降、病院としてセンターの体制強化や是正項目の改善を図り、その年の合計点が73点(是正項目ゼロ)にアップ。11年度は専門の救急医を前年度よりも4人増の6人にしたほか、患者の転院・転棟の調整を図る専門のソーシャルワーカーの配置などし、さらに8ポイント上乗せした。

 今回の81点は過去2年間道内トップだった手稲渓仁会病院(札幌、78点)を上回り、東北以北でも3番目の高得点だった。

 このほか、救急搬送件数(11年度4662件)、重篤患者の受け入れ人数(同1184人)なども高い評価につながった。武山センター長は「過酷な中でスタッフが頑張った成果。この体制を維持していくとともに医療水準、治療成績も向上させていきたい」と話した。(鈴木 潤)