2012年10月12日 (金) 掲載

◎北斗の島津・中川農園が「JGAP」取得

 【北斗】北斗市内でコメを作る島津農園(千代田、島津清美代表)と中川農園(萩野、中川恒仁代表)が、食の安全や環境保全に取り組む農場の認証制度「JGAP」を取得した。道南での取得は2、3例目。コメに安全安心のお墨付きを与えるもので、消費者の信頼を高める強力な武器≠ニなりそうだ。

 道南で2008年にJGAP初認証を受けたのが、しみず農園(同市一本木、清水千万幸代表)。JGAP指導員の資格を持つ清水さん(50)の助言を受け、2農場は準備を進め、9月24日付で認証された。認証農産物はいずれもコメ。

 JGAPは農産物の安全、環境への配慮、生産者の安全と福祉、農場経営と販売管理の4テーマに沿って「農薬の使用を適切に記録しているか」など130に上るチェック項目がある。第三者審査機関による審査を受け、クリアできないと認証されない。

 15fで「ふっくりんこ」「ゆめぴりか」などを作る島津さん(55)は「日本がTPP(環太平洋連携協定)に参加して安いコメが輸入されれば競争になる。JGAPは消費者の信用向上につながる」と強調。

 3農場とも自社でコメ乾燥施設を持ち、消費者にじか販売している。3農場を含む同市、厚沢部町の計7農場で生産者組織も今年4月に設立。残る4農場も来年6月ごろまでにJGAPを取得する予定。清水さんは「いずれは生産部会に切り替えてロットを大きくし、大手スーパーなどと取引したい」と話している。(山崎大和)

 ◆JGAP NPO法人日本GAP協会(東京)が手掛ける「Japan Good Agricultural Practice」の略称。道内の認証農場は45ある。



◎記念ロゴ「百」節目PR…市電開業100年

 函館を走り続けて1世紀—。函館市電が来年6月で運行を始めて100年になるのに合わせ、市交通部は12日から、超低床電車「らっくる号」の車体に記念の「100周年ロゴ」をラッピングして運行し、世紀の節目をPRする。

 函館市電は明治後期の馬車鉄道を起源に、1913(大正2)年6月29日に東雲町—湯の川間で道内初の路面電車として開業。軌道の延伸や縮小、車両の更新、幾度もの大火などを経て、2013年に開業100周年を迎える。

 ラッピングは記念事業の第1弾。漢数字の「百」を電車の外観に見立て、公立はこだて未来大の学生らが手書きのロゴをデザインした。車体の乗車口付近の窓に赤地に白抜きの1b四方のフィルムを1年間貼り、市民や観光客にアピールする。

 同部事業課は「100年間走り続けられたのは市民の理解あってこそ。感謝の気持ちと、これから引き継ぐべき100年への思いを込めた」と話している。今後は方向幕や系統板にも記念のロゴを載せるほか、公式フェイスブックの開設など各種イベントを企画している。(森健太郎)



◎市文化賞に平方、原さん

 函館市文化賞審議会(座長・工藤寿樹市長)は11日、今年の市文化賞を版画家の平方亮三さん(71)と、北大名誉教授の原彰彦さん(65)=ともに市内在住=に授与すると発表した。表彰式は11月3日午前10時から市民会館で開かれる。

 平方さんは1941年長崎市生まれ。中学生から版画制作に打ち込み、78年に函館版画協会を設立。日本板画院北海道支部長に96年に就任し、今年から同院審査委員長を務めている。

 2008年には同院の最高4賞の一つである佐藤米次郎賞を受賞。描画力の高い作風が特徴で、建造物を描いた作品が多い。現在も函館協会代表として版画を通じた文化芸術の振興に寄与している。

 平方さんは受賞に当たり、「名誉ある賞をいただくことに戸惑いを感じているが、成果が認められてうれしい」と語る。

 原さんは1947年神奈川県鎌倉市に生まれ、71年北大水産学部卒業。北大医学部助手を約10年間経験するなどし、87年に同大水産学部助教授となった。2006年から4年間同学部長を務め、昨年から同大名誉教授となった。

 研究ではイトウの養殖方法を確立。また環境ホルモンの指標として、魚類血清中に現れる卵黄タンパク前駆物質(ビテロジェニン)研究の先駆者の一人であるほか、函館マリンバイオクラスター事業を推進した。

 原さんは「過去の受賞者が立派な人ばかりなので恐縮だが、光栄な思い」と話している。

 同賞は市の芸術、文化の発展に寄与した個人、団体を対象とし、今年で63年目。これまでの受賞者は今年を含め個人141人、16団体に上る。(後藤 真)


◎森町長選 終盤へ…各陣営 票固めに躍起

 【森】任期満了に伴う森町長選挙(14日投票)は、無所属の現職、佐藤克男氏(62)、いずれも無所属の新人で、元道議の河野光彦氏(71)、前副町長の増田裕司氏(59)、元砂原町長の梶谷恵造氏(56)=届け出順=の4氏が必死に支持を訴えている。選挙戦も残すところあと2日で、各陣営とも票固めに躍起だ。

 佐藤氏は、9日の出陣式で「過半数をとらなければ意味がない」と表明。その目標について、陣営幹部は「順調にきている」と語る一方で、終盤戦に向けては、「反応の良くなかった地域を重点的に回る」と気を引き締める。

 河野氏は、漁業の活性化が町全体にとって有効な経済対策になると力説。遊説する中で「現町政への批判の声を聞く」と語り、一定の手ごたえを感じているという。今後は、尾白内地区や濁川地区などを回り、最後まで支持を訴え続ける。

 増田氏陣営は、当確ラインを4000票前後とみる。陣営幹部は「砂原地区で想定していた以上の反応」と好感触を得たといい、今後は「世帯数の多い地区では浮動票も多く、いかに取り込めるかだ」として、追い込み体勢に入る。

 梶谷氏陣営が目指すのは「5000票プラスアルファ」(陣営幹部)。旧森町の住宅街をくまなく回り、「すでに200`以上は歩いた」と胸を張る。一方で「地元の砂原は大事にしたい」と、終盤に向け、砂原での演説会を予定する。

 投票は、14日午前7時から町内26カ所の投票所で行われ、午後9時に町公民館で開票開始。同10時半ごろには大勢が判明する見通し。期日前投票は13日まで、役場と砂原支所で行われる。(森裕次郎)


◎江差沖で竜巻発生

 【江差】日本海にある低気圧の接近に伴い、11日午後4時半ごろ、江差町の沖合で竜巻が複数発生した。江差海上保安署や江差署などによると被害は確認されていない。

 同保安署によると、竜巻は江差かもめ島の沖合約2`に計3本出現。発生直後、乙部側の1本が陸へ向かったが、到達する前に消えた。

 函館海洋気象台によると、当時、寒冷前線の接近で、大気の状態が不安定となり、竜巻の起きやすい状況だったという。12日午後にも、上空に強い寒気が入る見込みで、注意を呼び掛けている。

 竜巻の発生当時、ハートランドフェリーの江差発奥尻行きの便が近くを航行中だったが、乗員乗客49人にけがはなかった。

 江差町では2008年10月11日に、住宅など約30件の破損被害があった竜巻が起きている。町の防災担当の大坂敏文課長(51)は「あす12日の防災訓練の打ち合わせ時の竜巻発生で驚いた。4年前と同じ日に竜巻が起きた奇遇を、地域住民の防災意識強化につなげたい」としている。(田中陽介)