2012年10月16日 (火) 掲載

◎国に「凍結」要請書 大間原発で工藤市長ら

 【東京】電源開発(東京)が大間原発(青森県大間町)の建設工事を再開したことを受け、函館市の工藤寿樹市長ら道南の自治体の首長らが15日、政府や同社を訪れ、工事の無期限凍結を求める要請書を手渡した。要請先では十分な回答は得られなかったが、事故が起きた際の道南への影響の大きさを強調し、道南一丸で抗議の姿勢を明確にした。

 大間原発をめぐる国や事業者への要請活動は今年1月以来3回目で、工事再開後初めて。今回は工藤市長のほか、高谷寿峰北斗市長、中宮安一七飯町長、石山英雄松前町長、各市町議会議長、各経済団体、一次産業団体の代表ら14人。

 経済産業省では本多平直大臣政務官と会談。原発ゼロを目指し、新増設を行わないとする政府見解との矛盾や至近距離にある道南への危険性を強調し、「30キロ圏、50キロ圏の自治体の意見を聞き、手順手続きをやり直してほしい」と工事中断を求めた。

 工藤市長は会談後、記者団に対し「私たちの思いは受け止めていただいたが、今の法体系の中での容認という発言だった。それぞれの立場があり、即凍結や工事中断は難しいようだ」と述べ、今後、法改正が必要との認識も示した。

 一方、電源開発では1日に来函した渡部肇史常務らが応対。市は1日に工藤市長が口頭で質問した▽原子力規制委の新たな安全基準が未定なのに、なぜ工事を再開するのか▽事故が起きた場合の被害想定や対策は—など10項目の質問状を公文書として手渡し、10月末までに回答を求めた。渡部常務らは安全対策に対応する考えを述べるにとどめたという。

 一行はほかに首相官邸や環境省も訪ね、それぞれ斎藤勁(つよし)官房副長官、園田康博内閣府原子力防災担当副大臣に要請書を提出したが、具体的な要請への回答はなかった。工藤市長は電源開発訪問後、報道陣に対し「やはり建設ありきと感じた」と述べた。 (森健太郎)



◎魚の三枚下ろしに挑戦 函館大妻高校食物健康科

 函館大妻高校(池田延己校長、生徒426人)で15日、魚をさばく料理講習会(市水産物地方卸売市場魚食普及協議会主催)が開かれた。食物健康科3年生37人が、サンマやフクラギなどの三枚下ろしに挑戦した。

 今年で18年目。函館水産物商業協同組合の佐藤止昭理事長ら5人が指導した。

 初めに佐藤理事長が生徒の前でイカやサンマを使って下ろし方を実演。「身と骨の間に切り込んでいくのがこつ」「サンマの皮は頭部側からむけばきれいに取れる」と説明を加えながらの鮮やかな手さばきに、生徒らは見入っていた。

 生徒らはグループ別に鮮魚に向き合い、慎重な様子で内臓を取り除いていた。佐々木玲さん(18)は「さばき方だけでなく、ホタテの内臓は体に良くないという話がとても印象に残った」と話していた。(長内 健)



◎木古内中学校吹奏楽部全国一に 東日本大会で金賞

 【木古内】14日に青森県八戸市で開かれた「第12回東日本学校吹奏楽大会」(全国大会)で、中学校部門に出場した木古内中学校吹奏楽部(村上波月部長、部員29人)が最高位の金賞を受賞した。得点では全国1位になるという快挙も達成。生徒たちの頑張りに学校のみならず、町内は喜びに包まれている。

 木古内中学校吹奏楽部は先月2日に札幌市で行われた「第57回道吹奏楽部コンクール」で、出場校中最高点の94点を得て全国大会出場を決めた。いずれも函館地区大会に続き1位での通過だった。

 部員が29人と他校に比べ少人数で構成に苦労する部分もあったが、モットーとする「真心の音楽」を奏で続けてきた。日々の練習で演奏技術を磨くのはもちろん、姿勢が音に表れるとの考えから人間的な成長も重んじ、規律や礼儀なども徹底してきた。その結果、これまで全国大会に2年連続3回の出場経験を誇る、全国でも名の知られる存在となった。

 部員は中條淳也顧問の指揮で「喜歌劇『スペードの女王』」を披露した。7人の審査員中3人が技術、表現で10点満点という高評価。「曲を理解した楽しい演奏だった」などの講評が寄せられ、出場30校中金賞獲得校10校の頂点に立った。この結果に3年の村上部長と羽沢優里副部長は「本番では落ち着いて最高のコンディションで臨むことができた。支えてくれた人への恩返しの演奏ができたことがうれしい」とほほ笑む。

 中條淳也顧問は「驚くくらい子どもたちは本番で素晴らしい演奏をしてくれた」、演奏を見守った大森伊佐緒木古内町長も「楽しさが観客に伝わる演奏に感銘を受けた」と評した。3年生は今大会で引退する。次を担っていく2年の木本桃子副部長は「3年生の姿勢を見習っておごらず活動していきたい」と気持ちを新たにしていた。 (小杉貴洋)


◎梶谷氏が初当選 森町長選

 【森】任期満了に伴う森町長選挙は14日、投開票が行われ、無所属の新人で、旧砂原町長の梶谷恵造氏(56)が4295票を獲得、現職の佐藤克男氏(62)、いずれも新人で前副町長の増田裕司氏(59)、元道議の河野光彦氏(71)を下して初当選を果たした。

 今回の選挙戦は、現職の佐藤氏の1期4年間に対する評価が争点となった。議会との対立を批判し、融和の必要性を訴える新人3氏が立候補し、4人による激しい争いとなったが、投票率は73・97%と3人の選挙戦だった前回(2008年10月)を0・43ポイント下回った。

 当選した梶谷氏は、町内の河川を活用し、水力発電等の自然エネルギーによる売電事業の実施を公約に掲げ、選挙戦を戦った。出馬表明は8月と遅く、大きな組織票もなかった。しかし、女性後援会長や現職の女性町議、一部の町議や町民有志で構成する「森町を考える会」などを中心とした草の根の活動で、「相当数の女性票を取り込んだ」(陣営幹部)。さらに、陣営は、旧砂原町出身の梶谷氏が森町中心部で苦戦を強いられると読み、支援する町議らがそれぞれの地盤で丹念な活動を行った。

 梶谷氏は当選から一夜明けた15日午後、町役場で当選証書の附与式に出席。「気が引き締まる。改めて重大な任務をいただいたと感じている」と語り、喜びをかみしめた。

 一方、現職の佐藤氏は、4年間で財政調整基金の積み上げや役場職員の意識改革などを断行した実績をアピールし、選挙戦では「過半数をとらなければ意味がない」と宣言。梶谷氏を含め、対立候補が複数出馬したことから、現職有利の選挙戦との観測が広がったが、支持を固め切れなかった。

 前副町長の増田氏は、梶谷氏と同様、佐藤町政を批判。町政の刷新を訴え、町立国保病院の改革などを訴えたが、大票田の森町中心部での票が伸びず、敗れた。元道議の河野氏は最後まで独自の戦いを貫いたが、及ばなかった。

 梶谷氏は1956年、旧砂原町出身。足利工大卒。会社役員を経て、2002年に砂原町長就任。森町との合併に伴い05年に町長失職。同年から07年まで新しい森町の教育長を務めた。 (森裕次郎)


◎新島襄にオダギリジョーさん 来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」

 来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」(綾瀬はるかさん主演)で、俳優オダギリジョーさんが同志社大を興した新島襄を演じることが決定、ゆかりの地函館でも関係者から「適役だ」と期待の声が上がっている。

 NHKが11日発表。昨年6月の放送決定以降、八重の夫・襄を誰が演じるのか、関係者の間でひそかに注目を集めていた。同志社校友会函館クラブの濱谷信彦会長(68)=函館市東山=は「同じ名前で親しみがある。適役で、高い視聴率が得られるのでは。八重の心意気が福島、日本に希望を与えてくれるはず。ぜひ函館にも撮影に来て盛り上げてほしい」と話す。

 函館は襄が国外脱出を決行した地として知られるが、市民団体「新島襄・パトス(純粋な情熱)の会」の千代肇代表(81)=同市花園町=は「八重と襄の2人は1887(明治20)年7月、函館に滞在した」と、八重との関係も強調する。

 生徒による襄の脱国シーン寸劇を続ける函館水産高校の我妻雅夫教諭(59)は「オダギリさんはすごくいい演技をする。またとないタイムリーなドラマで、これを機会に寸劇を見てくれる人が増えればうれしい」と」と期待する。

 放送は来年1月6日から全50回予定。(山崎大和)